バセドウ病の原因 症状 検査 治療 完治する?眼球突出等について

バセドウ病と甲状腺機能亢進症の症状について解説します。

首

Original Update by Chris Tazewell

バセドウ病とは

ホルモン分泌が亢進して(盛んになり過ぎる)甲状腺中毒症を引き起こす甲状腺機能亢進症の中で最も多く見られるのがパセドウ病です。

病名はこの病気についての論文を発表したドイツのバセドウ医師の名を取っていますが、海外ではグレーブス病(バセドウ医師よりも早く論文を発表した人の名を取っている)と呼ばれることが多いようです。

男女比は約4:1で女性のほうが多くなっています。 バセドウ病は免疫が正常な細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つです。

バセドウ病の原因

原因の一つとされているのは、遺伝です。
ただしバセドウ病になりやすい体質が遺伝するだけで、必ず発症するわけではありません。

遺伝的な素質に何らかの環境要因(アレルギー、ストレス、喫煙等)が加わり、免疫系が働いて自己抗体が作られるときに病気になると考えられています。

自己免疫疾患の原因についてはこちらの記事で言及しています。
アレルギー、自己免疫疾患、自閉症の原因は体内の生態系にあった!

バセドウ病の発症のメカニズム

自己免疫によって甲状腺を異常に刺激する抗体(TSH受容抗体)ができ、この抗体がTSH(甲状腺刺激ホルモン)の代わりに甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンを過剰に作らせてしまいます。

甲状腺ホルモンが多くなるとTSHの分泌はほとんどされなくなり、脳からのコントロール不能状態となり、機能亢進の状態となります。

※甲状腺ホルモンの分泌は脳の直下にある下垂体から出る甲状腺刺激ホルモン(TSH)により調節されています。

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バセドウ病の症状

首の腫れ

免疫の攻撃を受け、無理やり働かされることで甲状腺のある首が次第に腫れてきます。
腫れの大きさと症状の重さは比例しませんが、腫れが大きい人は治りにくい傾向が見られます。腫れによる痛みはありません。

甲状腺は蝶が羽根を広げたような形をしており、この形のまま(「びまん状」といわれる)腫れていきます。 この腫れが甲状腺によるものなのか見分ける方法の一つは、鎖骨の上あたりを触ってみて「しこり」があるかどうかです。

また、甲状腺が腫れていると、食べ物を飲み込むときに腫れ自体が喉仏(のどぼとけ)と一緒に動きます。 この2点が確認できるようなら、甲状腺が腫れていると判断することができます。

眼球突出などの目の症状

目が出る原因も自己免疫の為と考えられるようになっています。

眼球の奥には眼球を動かすための筋肉や脂肪が詰まっていて、この筋肉の組織や脂肪が自己抗体により刺激を受け、炎症やむくみを起こし眼球突出の原因となります。

バセドウ病により眼球突出が起こる人は20~30%といわれています。 日本人に激しい突出を起こす人は少ないようです。サングラス

眼球突出症について
  • 炎症を起こして充血し、涙が出たり痛みを伴うことがあります。
  • 突出が激しいと眠っているときにまぶたが閉じず、角膜に傷がつくことがあります。
  • 眼球運動に障害が出て複視(物が二重に見える)になることがあります。
  • 視力障害を起こすことがあり、まれに失明することもあります。
まぶたの腫れ

まぶたが腫れることがあります。 腫れが進むと”ひさし”のように眼球をおおうこともあります・

黒目の上の部分に白目が出る

下を見る時にまぶたと眼球の動きが連動せず、上まぶたと黒目の間に白目が見えるようになることがあります。

眼球運動の障害

眼球がうまく動かなくなり、左右の眼球が同じ方向を向かなくなることがあります。 複視や頭痛、眼精疲労が起こります。

機能亢進による全身の症状(甲状腺機能亢進症の症状)

甲状腺機能亢進症の症状は全身の新陳代謝を活発にするホルモンが過多になるため、肉体も精神も興奮状態になってしまうことが原因で起こります。

症状には個人差がありますが、一般に下記のような症状が起こり得ます。

頻脈、動悸、高血圧

バセドウ病の患者に最も多く見られる症状の一つです。

安静にしているのに心臓がドキドキしたり、脈が速くなることがあります。 脈が平常でも動悸がしたり息切れすることがあります。 不整脈が起こることもあります。

最高血圧が高くなり、最低血圧との差が大きくなります。

食べているのに痩せる、下痢をする

カロリーが無駄に消費されるため、食べても太らない、あるいは痩せてしまうということが起こります。ただし女性患者の約2割に、食欲のため逆に太ってしまうという人も見られます。

また消化管の働きが活発になるため下痢になりやすくなります。

疲れる、筋肉が弱る

体中の細胞が必要以上にエネルギーを消費するため、動いていないのに体力を消耗してしまい疲れやすくなります。 筋肉が弱くなり、腰痛や関節の痛みが出る手足の麻痺(マヒ)人もいます。動悸

手指が震える

指先が細かく震えます。
文字を書いたり細かい作業をするときに震えに気付くことも多く、ひどくなるとそれらの作業に支障を来すようになります。
震えが全身に及ぶこともあります。

手足の麻痺(マヒ)

男性患者の5%くらいに、手足が動かなくなり金縛りのようになる周期性四肢麻痺の症状が出ることがあります。

暑がり、多汗

代謝が高まり、体内の発熱量が多いので基礎体温が上がる傾向にあります。 暑くて水を飲むと汗の量も増えます。

このため冬は平気ですが夏の暑さが体にこたえます。

イライラや興奮、集中力の低下が起こる

そわそわと落ち着きが無くなります。
エネルギッシュに見えてもすぐ疲れてしまいます。

興奮しやすく、早口になったり短気になるなど性格が変わったように見えることがあります。

一つのことに集中できず子供や学生は成績が下がって病気に気付くこともあります。

一方老人の場合は鬱(うつ)病のように活動が鈍くなる傾向があります。イライラする猫

脱毛、色素沈着、白斑、爪の変化

毛が細くなり脱毛が起こったり、白髪が増えることもあります。
いずれも治療後は元に戻ります。

皮膚のかゆみや湿疹が見られる人もいます。

皮膚が日焼けしたように黒くなったり、白い斑点ができる場合もあります。
この白斑は治療しても残ってしまう場合が多いです。

爪が伸びるのが早くなり、縁(ふち)がギザギザになります。 また爪の表面が剥がれる爪剥離症や、スプーン状に反転するスプーン爪といった症状が起こる場合もあります。

月経の異常

女性患者の20~30%に何らかの月経異常が見られます。
ほとんどは月経の量が少なくなる過小月経ですが、無月経になる人もいます。

月経不順や周期が長くなる希発月経になることもあります。 ただし排卵がなくなることはないので、妊娠は可能です。

バセドウ病の検査

パセドウ病の検査は内科、または内分泌科で行います。 検査

採血による検査

血液中のホルモンの数値や抗体を調べます。

放射性ヨード検査

甲状腺ホルモンの材料となるヨードと同じ性質を持つ放射能を含むヨードを飲み、ヨードがどれくらい取りこまれたかを測定します。

またシンチグラムと呼ばれる写真を撮ることもあります。

その他

甲状腺の腫れの状態を診断するため、超音波(エコー)検査を行います。
組織の一部を採取して顕微鏡で観察する生検が行われる場合もあります。

バセドウ病の治療

バセドウ病の治療は以下の3つがあり、日本では薬物療法が中心です。

薬物療法

最も多く用いられている方法は「抗甲状腺薬」の服用です。
甲状腺ホルモンの合成を抑える薬ですが、寛解(かんかい:症状が治まること、根治ではない)までに時間がかかります。

寛解する、しないは個人差があり、5年の投薬で寛解する人は約32%、10年で75%以上というデータがあります。

飲み始めて1月くらいで効果があらわれ、動悸、息切れが軽くなり精神的にも落ち着いてきます。

甲状腺の機能が低下した場合、薬をやめる、或いは量を減らすことで元に戻せます。

抗甲状腺薬の副作用

薬には副作用がありますが、個人差があります。 起こり得る副作用は、のどの痛み、発熱、体がだるい、吐き気、食欲不振、発疹、筋肉痛、髪がぬける、等です。

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アイソトープ(放射性ヨード)治療

薬物療法で効果が見られない場合、放射性ヨードを用いたアイソトープ療法を行うことがあります。

アイソトープとは放射線を出す元素のことです。
このアイソトープの入ったカプセルを服用し放射線で甲状腺の一部の細胞を壊し、甲状腺の働きを抑える治療がアイソトープ療法です。

放射線を扱うので設備の整った病院でしかこの治療は受けられません。

放射線といっても微量なので副作用はほとんどないと言われています。

アイソトープ治療のリスク

甲状腺機能低下症になる可能性がある

薬が効きすぎた場合、甲状腺機能低下症になるというリスクがあります。

甲状腺機能低下症になってしまうと、その後は一生甲状腺ホルモン剤の服用を続ける必要があります。そのため、中高年向に勧められることが多いようです。
(もし若いうちに甲状腺機能低下症になってしまうと、とても長い期間ホルモン剤を服用しなければばらばいので)

胎児や母乳に影響が出ることがある

妊婦が服用した場合胎児の甲状腺に影響が出る恐れがあるので、妊娠、出産を控えている人はこの治療は避けたほうがよいとされています。

また母乳にも同様の影響があるので、授乳中の人も避けたほうがよいです。

手術

甲状腺を切り取ることで甲状腺ホルモンの分泌を抑えるあるいは完全に無くしてしまう方法です。

全て切り取ってしまう全摘と一部を残す亜全摘の2種類があります。

手術時間はどちらの場合も1~2時間程度、入院から退院までの期間は1~2週間位です。

亜全摘の場合

甲状腺の一部を残す場合、残った甲状腺がホルモンを分泌しますが、どのくらい切り取ればいいのかいまだに正確に分かっていないという問題があります。

そのため手術後も症状が再燃したり、多く切り取ってしまった場合は機能低下を起こしてしまうということが起こり得ます。

全摘が主流

以上から、現在では全摘が主流になっています。
全摘の場合甲状腺の機能は失われるので、その後一生甲状腺ホルモン剤を服用する必要があります。

しかし、甲状腺ホルモン剤は安価で副作用がない上、全摘することでバセドウ病の症状は完全に抑えられ、専門医へ通院の必要もなくなります。

バセドウ病は完治するのか?

バセドウ病は原因がはっきり分かっていない為、治療はいずれも対症療法です。
対症療法とは症状を抑えることが主眼です。

従って上記した3つの治療方法はいずれも完治すると言い切れる方法ではありません。 原因となる可能性のあるストレスを生みだす環境の改善や心のあり方を改善することも大切です。
これらが免疫システムを狂わせている可能性があるからです。
喫煙の習慣があるなら禁煙することも必要です。

西式甲田療法

西式甲田療法では、自己免疫疾患が完治した例が多数報告されています。
専門家へ相談してみることをお勧めします。

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Bスポット治療

症状を抑えるのに有効な方法としてBスポット治療があります。
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参考文献

甲状腺の病気の最新治療―バセドウ病・橋本病・甲状腺腫瘍ほか (よくわかる最新医学)
伊藤 公一 監修

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