気管支拡張症 びまん性汎細気管支炎 非結核性抗酸菌症について

気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、非結核性抗酸菌症(非定型抗酸菌症、肺MAC症、肺カンサシ症)の原因、症状、治療について解説します。

気管支拡張症とは

気管支

Original Update by J E Theriot

何らかの原因によって気管支が太くなり、元に戻らなくなる病気です。

気管支が拡張すると痰(たん)の分泌量が増え、これを排出する能力も低下します。結果的に拡張した気管支に痰がたまって慢性の感染が起こります。感染が起こるとますます痰の量が増え、悪循環に陥ります。

気管支拡張症の原因

先天的なものと後天的な原因の場合があります。
後天的なものとしては、何らかの感染症が主な原因です。

原因となり得る感染症には、慢性扁桃炎副鼻腔炎、乳幼児の肺炎・麻疹(ましん:はしか)・百日咳など、肺結核、非結核性抗酸菌症(下記)、真菌症、HIVなどのウィルス感染症、マイコプラズマ肺炎、などがあります。

また気管支内の腫瘍や異物、リンパ節腫大、膠原病(こうげんびょう)が原因となる場合もあります。

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気管支拡張症の症状

慢性の咳(せき)、大量の痰が出る(膿性のものや、血痰)、発熱、喀血などです。
また、ほぼ無症状で乾いた咳が出る、と言う場合もあります。

気管支拡張症の治療

原因となる疾患の治療が基本になります。

痰の排出を促進させるために体位ドレナージ、呼吸リバビリ、去痰薬の投与などを行います。

※体位ドレナージ(体位排出法)とは、痰がたまっている肺の位置が高くなるように姿勢(体位)を変え、重力により痰を肺から気道へと誘導する排痰方法です。
体位ドレナージを絵で確認する

慢性の気道感染を止めるために薬物療法として抗生物質であるマクロライド(エリスロマイシン)を少量長期投与します。
また、細菌の二次感染による増悪(症状が急速に悪化すること)時には適切な抗菌薬の投与が行われます。

びまん性汎細気管支炎とは

呼吸細気管支気管支の最末端で肺胞につながる部分のことです。
びまん性汎細気管支炎とはこの呼吸細気管支に慢性的な炎症が起こる病気です。

炎症は両方の肺全体に広がり(びまん性)強い呼吸障害を起こします。

多くの場合、慢性副鼻腔炎の既往や合併がみられます。

以前は気管支拡張症、または慢性気管支炎と診断されていましたが、近年これらとは別の病気として扱われるようになりました。

びまん性汎細気管支炎の原因

東アジアに多く、欧米にはほとんど存在しないことや、患者のほとんどが子供の頃から慢性副鼻腔炎を患っていることから、先天的あるいは遺伝的要因が考えられています。

びまん性汎細気管支炎の症状

咳、膿性の痰が出る、副鼻腔炎、進行すると労作時(動作時)呼吸困難や、ばち指(酸素不足により指の先が太くなる)が現れる場合があります。

びまん性汎細気管支炎の治療

マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン)の少量持続投与が行われます。
増悪時には気道感染に応じた抗菌薬投与も行われます。

咳や痰が出るといった初期症状から、呼吸困難などの症状が現れるまでに数年~数十年かかるので、初期のうちにしっかり治療しておく必要があります。

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非結核性抗酸菌症(非定型抗酸菌症)とは

非定型抗酸菌症は古い呼び名で、現在は非結核性抗酸菌症と呼ばれています。
結核菌、らい菌(ハンセン病の病原菌)を除いた抗酸菌である非結核性抗酸菌による感染症です。

非結核性抗酸菌は水や土壌など広く環境中に存在する細菌です。
結核が人から人へ感染するのに対して非結核性抗酸菌症は人からの感染はありません。

非結核性抗酸菌症には7~8割を占める肺MAC症(肺マック症)と残りの肺カンサシ症があります。

非結核性抗酸菌症の原因

肺MAC症

MAC症の原因菌はアビウム菌とイントラセルラーレ菌です。
広く自然界に存在しますが、浴槽や排水溝など浴室内で発見されたという報告もあります。(http://qq.kumanichi.com/medical/2009/07/post-498.phpより)

肺MAC症にはさらに3つのタイプがあり、中高年女性に多い中葉舌区型COPDなどの肺疾患のある男性に多い空洞形成型、AIDS(エイズ)など重度の免疫不全に陥ってる人に多い全身播種型があります。

肺カンサシ症

カンサシ菌が原因となる菌ですが、重度の喫煙者や粉じんの吸入歴がある人に多くみられるという特徴があります。

非結核性抗酸菌症の症状

咳、痰、血痰、発熱など肺結核と似た症状の場合も多いです。
一部、潰瘍、結節など皮膚に病変がみられることもあります。

非結核性抗酸菌症の治療

薬物療法として抗結核薬と抗菌薬が併用して投与されます。
肺カンサシ症では抗結核薬が良く効きますが、肺MAC症の場合、効きにくいことも多く、その場合外科手術による肺葉(下記)の切除も検討されます。

※肺葉とは肺の区分です。左肺は上葉・下葉、右肺は上葉・中葉・下葉に分けられます。

参考文献

「病気がみえる vol.4 呼吸器」
医療情報科学研究所 編集

これだけは知っておきたい呼吸器の病気」
福地 義之助 総監修

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