絨毛膜羊膜炎、頸管無力症、前期破水の原因、症状、治療について

絨毛膜羊膜炎、頸管無力症、前期破水の原因、症状、治療について解説します。

具合の悪い妊婦

絨毛膜羊膜炎とは

絨毛膜羊膜炎は卵膜(絨毛膜、羊膜)に細菌が感染して起こる炎症性疾患です。
発症すると短期間で早産に至り、早産の原因として最も多いものです。

顕性不顕性のものがあり、不顕性のものは自覚症状がありません。
不顕性の状態を放置すると顕性へ進行しますが、そのまま切迫早産になる場合もあります。

顕性は発熱などの自覚症状があり、妊娠継続は困難です。
不顕性の時点で治療を行うことが早産予防につながります。

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絨毛膜羊膜炎の原因

絨毛膜羊膜炎に至る過程として、細菌が膣から侵入し細菌性膣症となることが始まりとなります。

細菌性膣症

本来膣に常在している乳酸菌は乳酸を作り出すことで膣内を酸性にして守っています。

しかし細菌が侵入するなどして乳酸菌が他の菌に置き変わると、膣内は弱酸性になってしまいます。

この状態を細菌性膣症といい、症状として帯下(おりもの、たいげ、こしげ)が増加、また魚の生臭い臭いがすることがありますが大半は無症状です。

原因の一つとして性行為があります。

細菌性膣症の段階で治療することで絨毛膜羊膜炎などを防ぐことができます。

上行性感染

細菌性膣症を放置するとさらに感染が上に広がり膣炎となり、やがて膣炎は子宮頸管炎となります。

さらに感染が子宮内に進むと絨毛膜羊膜炎羊水感染臍帯炎となり胎児感染に至ります

このように感染が上方に進んで行くことを上行性感染といいます。

絨毛膜羊膜炎の症状

顕性の場合、38度以上の発熱、子宮の圧痛(押すと痛い)、膣分泌物の悪臭などがあります。

絨毛膜羊膜炎の治療

不顕性の場合

治療により進行を止めることができます。
抗菌薬、子宮収縮抑制薬、副腎皮質ステロイド(34週未満の場合)の投与が行われ、妊娠を継続させます。

顕性の場合

進行を止めるのは難しく、早期に胎児を取り出す必要があります。
34週以降の場合、陣痛を待って分娩または分娩誘発や帝王切開を行います。

26~34週の場合、抗菌薬、子宮収縮抑制薬、副腎皮質ステロイドを使用し妊娠を継続するかどうかはケースバイケースです。

胎児が26週未満の場合、抗菌薬、副腎皮質ステロイドを投与し妊娠の継続を計りますが、早産を止められない場合も多いです。

羊水感染がある場合、妊娠の継続は困難となります。

頸管無力症とは

子宮頸管の強度が低下することにより妊娠を維持することができなくなるものです。

頸管に強度がなく、しまりがないため、胎児の発育による子宮内圧上昇に耐えられなくなり、前期破水、流産・早産に至ります。

流産・早産の原因の20%を占めています。

頸管無力症の原因

先天的に子宮頸が短い・子宮奇形などがある、前回の分娩時に頸管裂傷を負った、子宮内容除去術を行った際無理に子宮頸管を拡張した、子宮頸部円錐切除術を受けた、などが原因となります。

頸管無力症の症状

自覚症状はなく、前期破水が起こり流産・早産に至ります。

頸管無力症の治療

経過観察で様子を見つつ、場合によっては手術(頸管縫縮術)により頸管の強度を上げます。

前期破水

前期破水とは陣痛が来る前に破水(卵膜が破綻し羊水が流出すること)してしまうものです。

前期破水の原因

最も多いのは絨毛膜羊膜炎によるものです。

その他に、羊水過多、多胎妊娠、胎位異常、頸管無力症、頸管円錐切除術の既往、喫煙、妊娠中の性行為などが原因となり得ます。

前期破水の症状

自覚症状として、羊水の流出感、水っぽい帯下(おりもの)などがあります。

また、羊水が流出し、羊水過少が原因となることで、臍帯脱出、子宮内感染(絨毛膜羊膜炎など)、胎児機能不全、肺低形成、四肢の変形、関節拘縮、常位胎盤早期剥離などが起こる場合があります。

前期破水の治療

絨毛膜羊膜炎や胎児機能不全の疑いがある場合

分娩誘発や帝王切開により出産させます。
ただし妊娠26週未満の場合その限りではありません。

感染がなく胎児の状態が安定している場合

32週未満では感染予防のための抗菌薬と肺の成長を促すためのステロイドが投与され妊娠を継続します。

34週未満では抗菌薬を投与し妊娠を継続します。

34週以降では分娩誘発を行うか陣痛を待ちます。

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参考文献

「病気がみえる vol.10: 産科」
医療情報科学研究所 (編集)

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2017年8月4日 絨毛膜羊膜炎、頸管無力症、前期破水の原因、症状、治療について はコメントを受け付けていません。 婦人科・産科