肝硬変とは 原発性胆汁性肝硬変 食道静脈瘤の原因 症状 治療について

肝硬変とは何か、肝性脳症、肝硬変による腹水、門脈圧亢進症、食道静脈瘤、肝不全、原発性胆汁性肝硬変の原因、症状、治療について解説します。

肝硬変

肝硬変とは

本来肝臓は再生能力が高く、炎症が起きても自ら修復する力を持っています。
しかし炎症が長期間続くと修復が追いつかなくなり、別の組織で穴埋めしようとする線維化(せんいか)という現象が起こります。

線維化が進むと肝臓は表面がでこぼこになった後、組織が硬くなっていきます。
また肝臓そのものが収縮して小さくなり肝機能も低下します。
この状態が肝硬変です。

代償性肝硬変と非代償性肝硬変

初期の症状があまり出ない時期を代償性肝硬変といい、肝硬変が進んで様々な症状や合併症が起こる状態を非代償性肝硬変といいます。

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肝硬変の原因

慢性肝炎を治療せずに放置した場合や、なかなか治らないものが肝硬変に移行します。
肝硬変の原因で最も多いのはC型肝炎による慢性肝炎(C型慢性肝炎)で約70%を占めますす。次に多いのはB型肝炎(B型慢性肝炎)で約15%、アルコールが原因のものは約10%です。

これら以外に原発性胆汁性肝硬変(後述)や原発性硬化性胆管炎自己免疫性肝炎から肝硬変になることもあります。

肝硬変の症状

肝硬変の初期である代償性肝硬変では症状がほとんどありません。

肝硬変が進んで非代償性肝硬変になると、クモ状血管腫(首から胸にかけて血管がクモの足のような形に浮き出る)、手掌紅斑(しゅしょうこうはん:親指の付け根や手の平が赤くなる)、女性化乳房(男性なのに、女性のように胸がふくらむ)、黄疸(おうだん:皮膚や白目の部分が黄色くなる)、出血しやすくなる、青あざができやすくなる、等の症状が現れます。

非代償性肝硬変では様々な合併症が起きますが、その中でも特に多いのは、食道静脈瘤、肝不全(腹水、肝性脳症)、肝がん(肝臓がん)です。 この他に、糖尿病胆石胃炎、消化性腫瘍、脾腫などが起こる場合があります。

肝硬変の治療

基本的には線維化してしまった肝臓を元に戻すことはできません。
しかし原因がウイルス性肝炎の場合、代償性肝硬変ではウイルスを排除することで、線維が吸収されることが分かっています。

非代償期に進んでしまったものは元に戻せませんが、原因となる疾患の治療は合併症の治療と共にとても重要です。

原因がアルコールなら禁酒あるいは節酒を続けることが大切です。
2014年に肝硬変で亡くなったものまね芸人の春一番さんは、肝硬変以外にも腎不全など様々な病気を患いましたが、アルコール依存に陥っており、なかなかお酒をやめることができなかったそうです。このような場合、原因となるアルコール依存症の治療が非常に重要になります。

肝機能の回復が困難で他に治療法がない場合、肝移植が検討される場合があります。

肝硬変による腹水とは

肝硬変によって門脈圧(門脈の血圧)が高くなると、血液中の血漿(けっしょう:血液中の赤血球、白血球、血小板を除いた液体成分)が血管の外に漏れ出たり、リンパ液がリンパ管から外に漏れて、腹部に溜まるようになります。

また血液中の水分は蛋白質の一つであるアルブミンにより維持されていますが、肝機能が低下するとこのアルブミンの合成が減ってしまいます。 すると血液中の水分は血管の外にしみ出してしまいます。

腹水の症状

肝硬変が進むと腹水が溜まりやすい状態となり、お腹が張ってきます。
また足のむくみなどで気付く場合もあります。

腹水の治療

まず塩分や水分の摂取を制限し、安静にします。
改善しない場合、利尿剤の投与で水分を体外に排出します。
血液中のアルブミンが減少している場合、点滴でアルブミンを補います。

重症の腹水の場合、お腹に穿刺(せんし:穴をあける)して管を通しそこから腹水を抜き取ったり、抜き取った腹水から余分なものを取り除きまた元に戻す、といった治療を行う場合もあります。

肝性脳症とは

肝硬変や劇症肝炎などで肝機能に障害が生じると、肝臓に送られてきた老廃物を処理して無毒化する解毒能力も低下してしまいます。原因物質は主にアンモニアだといわれていますが、アミノ酸のバランスが崩れることも原因の一つと考えられています。

本来アンモニアは肝臓で解毒処理をして尿素となり腎臓に送られますが、この機能が十分に働かないと、血液中のアンモニア濃度が高くなり脳に送られてしまうことで肝性脳症を発症します。

肝性脳症の症状

昼夜逆転、思考・判断能力の低下、錯乱、行動の異変などの精神・神経以上が起こります。
昏睡度という尺度でⅠ~Ⅴ度(軽症~重症)の5段階に分類されます。

昏睡度状態
昼夜逆転や抑うつ状態、気分がボーっとしたりする
時間や場所を間違えたり、状況にそぐわない異常な行動をとる
ほとんど眠っている状態だが興奮状態やせん妄状態になることがある
意識を失い昏睡状態だが痛みには反応する
深い昏睡状態で痛みや刺激にも反応しない

肝性脳症の治療

アンモニアを発する腸内細菌に対する抗菌薬の投与や、下剤によるアンモニアを含んだ便の排出、アミノ酸のバランスを是正するための分岐鎖アミノ酸輸液製剤の投与などが行われます。

門脈圧亢進症と食道静脈瘤について

肝硬変や慢性肝炎では門脈圧亢進が起こり、その症状として食道静脈瘤などが引き起こされることが多くなります。

門脈圧亢進症とは

門脈圧亢進症(もんみゃくあつこうしんしょう)とは肝臓に栄養をおくる為の血管である門脈の血圧が上昇して、他の病気を引き起こす状態のことをいいます。

門脈圧亢進症の原因

原因の大多数を肝硬変や重症化した慢性肝炎が占めています。
肝硬変になると、無数にできた結節により肝臓内の門脈が潰されて閉塞し、肝臓の中を血液が流れにくくなり、門脈内の血圧が以上に上がります。

門脈圧亢進症の症状

食道静脈瘤や肝性脳症、腹水などが引き起こされます。

門脈圧亢進症の治療

門脈の血圧を下げるための降圧剤が必要に応じて投与されますが、食道静脈瘤など二次的に起こった病気の治療が主体となります。

食道静脈瘤とは

門脈圧亢進症により引き起こされる病気の一つに食道静脈瘤があります。
静脈瘤(じょうみゃくりゅう)とは静脈の壁がこぶのように膨らんだ状態をいいます。

食道静脈瘤の原因

門脈圧亢進症により血管内の血液の流れに異常が起き、不自然にかかる圧力によって静脈に瘤(こぶ)が形成されます。

食道静脈瘤の症状

こぶができた状態だけでは無症状ですが、血流を確保しようとする体の働きで門脈にバイパスが作られる場合があります。このバイパスにより門脈血が肝臓で解毒されず肝性脳症の原因となる場合があります。

静脈瘤が破裂した場合、大出血が起き吐血します。
タール便(黒い便)などが出る場合もあります。

食道静脈瘤の治療

静脈瘤破裂が起きた場合でも現在は内視鏡の進歩により、命を救うことができるようになりました。

内視鏡によりゴムバンドで静脈瘤を縛る方法や、硬化剤を注入し血流を止める治療などが行われます。

また薬物療法として降圧剤などが投与される場合もあります。
内視鏡が使えない場合、外科手術が行われる場合もあります。

肝不全とは

肝臓の病気により肝機能が極端に低下した状態です。 黄疸、腹水、肝性脳症などが起こります。

急性肝不全は劇症肝炎などで起こり、非代償性肝硬変や重症の慢性肝炎により慢性肝不全が起こります。

広範囲に起こる肝細胞の壊死によるものと、肝細胞が残っていても門脈圧亢進症で血液が肝臓を迂回してしまうために肝機能が低下する場合とがあります。 肝硬変の場合はこの両方が混ざって起こります。

肝不全の治療とは、腹水や肝性脳症などの合併症の治療や原因疾患を治療するということになります。

原発性胆汁性肝硬変(PBC)とは

自己免疫によって肝臓内の胆管(肝管)が徐々に破壊され、次第に肝硬変へ進行していく病気ですが、現在では早くから治療を開始することで肝硬変に進むことは滅多に無いようです。

この病気は特定疾患(難病)に指定されています。
中高年女性に多くみられる傾向があります。

肝機能の数値であるASTやALTはそれほど高くならずγ-GTPやALPが非常に高くなるという特徴があるので、症状が無くても血液検査で診断可能です。

原発性胆汁性肝硬変の原因

正式な原因は不明です。
自己免疫疾患の原因についてはこちらの記事で言及しています。
アレルギー、自己免疫疾患、自閉症の原因は体内の生態系にあった!

原発性胆汁性肝硬変の症状

皮膚のかゆみ、黄疸、などが起こります。 症状が出ない場合も多くその場合「無症候性」と呼ばれます。 合併症として骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になる場合もあります。

原発性胆汁性肝硬変の治療

対処療法として胆汁の流れを良くするウルソデオキシコール酸(ウルソ)がよく効きます。
病気の進行が止められず肝機能の低下が著しい場合、肝移植が検討されます。

原因不明の自己免疫疾患にBスポット療法を行うことで症状を和らげることができます。
上咽頭炎の症状 体が弱い人はBスポット治療で免疫力アップ!

西式甲田療法

西式甲田療法では、初期の肝硬変や自己免疫疾患が治った例が報告されています。
必ず専門家の指導の元行うようにしてください。

難病 原因不明の病気が治る西式甲田療法とは 少食 断食の効果について

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参考文献

「肝臓病の最新治療」
泉 並木 著

「名医の図解 最新肝臓・胆のう・すい臓の病気をよくする生活読本」
横山 泉 著

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