糖質制限とは 糖尿病の食事と糖質制限食・糖質制限ダイエットについて

糖質制限とは何か、糖尿病の食事と糖質制限食、糖質制限ダイエットなどについて解説します。

糖質制限や糖質制限食という言葉は大分世間にも浸透しつつあり、様々な媒体でも取り上げられるようになりました。

これまで糖尿病の食事はカロリーや脂肪を制限することが主流でしたが、糖質制限を行うことでカロリー制限では困難だった血糖値のコントロールが大きく改善できることが分かってきました。

この糖質制限の第一人者である江部康二先生の代表的な著書「主食を抜けば糖尿病は良くなる!」を元に糖質制限及び糖質制限食のメリット・デメリットなどを考えてみたいと思います。

江部先生は自身が糖尿病を患っているということもあり、自分の体で血糖値などを確認しながら糖質制限食を考えているので信頼が持てると思います。

また糖質制限ダイエットと呼ばれる方法は、糖質制限食と同様の意味を持ちます。

ここで紹介する糖質制限食は糖尿病の人やダイエットをしたい人の為のものです。
健康な人が糖質制限をしないと不健康になるということではありません。

糖尿病とは 1型糖尿病の原因 症状 治療 インスリンと血糖の関係について
2型糖尿病の初期症状 検査 診断基準 原因 症状 治療などについて

糖質とは

まず糖質とはブドウ糖や果糖、乳糖、ショ糖(砂糖)、麦芽糖、でんぶん等のことです。
炭水化物イコール糖質ではなく、糖質=炭水化物-食物繊維となります。

砂糖とショ糖は厳密には違いますが、砂糖の主成分はショ糖なので、ここでは砂糖といった場合はショ糖を指すと思ってください。

糖質の代謝について

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糖質制限を行う場合の注意点

経口血糖降下剤を服用している人、インスリン注射をしている人は低血糖発作を起こす可能性があるので、医師と相談しながら行う必要があります。

肝硬変、活動性膵炎(急性膵炎など膵炎の症状がはっきり出ている人)、長鎖脂肪酸代謝異常症、糖尿病性腎症の第3期B以降(第3期でネフローゼ症候群や低アルブミン血症が起こっている人)、これらの人は行うことはできません。

従来の糖尿病食との違い

従来の食事療法はカロリーと脂肪を制限し血糖コントロールを行います。
1日の摂取カロリーは身長、体重からBMI22を標準体重として割り出します。

その決められたカロリーを炭水化物50~60%、蛋白質(たんぱくしつ)15~20%、脂質20~25%という割合で摂取します。

これに対して糖質制限食では摂取カロリーはあまり厳格にしていません。
最も糖質を制限するスーパー糖質制限食では、炭水化物12%、蛋白質32%、脂質56%の割合で献立を決めます。

従来の食事では半分以上を占めていた炭水化物に代わって脂質が大半を占め、蛋白質の占める割合も高くなっていることが特徴です。

糖質制限食のタイプ

江部先生の提唱する糖質制限食は3タイプに分かれています。
下の写真は主食を抜いた例ですが、ご飯が無い分おかずは豊富になっているので、制限された食事という印象は感じられません。

またご飯を食べる為に必要な濃い味も不要になる為、全体的に薄味で食べることができます。
糖質制限食

スーパー糖質制限食

3食とも糖質制限を行い主食は無しです。
糖尿病やダイエットに最も効果の高いものです。

スタンダード糖質制限食

3食のうち2食を糖質制限し、1食は主食を摂ります。このときの主食は玄米などGI値(下記)が低いものが推奨されます。この方法でも糖尿病、ダイエット共に大きな効果が得られます。

簡単に玄米食を試すには

プチ糖質制限食

3食のうち1食を糖質制限するものです。
糖尿病の人には不向きで軽くダイエットしたい人に適しています。

GI(血糖指数)とGL(血糖負荷指数)

糖尿病治療の為の2つの指標についてです。

GI(Glycemic Index:グリセミック・インデックス)

GIは食品に含まれる糖質がどのくらい血糖を上昇させる性質があるのかを表す数値です。

GI=「糖質50gを含有する食品摂取後2時間までの血糖曲線下面積」÷「糖質50gを含有する基準食(ブドウ糖)摂取後2時間までの血糖曲線下面積」×100

という式で表され、この値が高いほどその食品をたべると血糖が上がりやすいということになります。

GI70以上は高い、69~56は中程度、55以下は低いと評価します。

この値はバラツキがあり、この本ではブドウ糖100、白パン75、白米73、豆類15となっていますが、他サイトなどを見るとそれぞれ若干異なります。食パンは90位であったり、白米で大体75~89位となっています。

一番高いのはGI100を超えるグラニュー糖、白砂糖など。

次にGI80~100が菓子パン、チョコレートケーキ、生クリームケーキ、大福、食パン、フランスパン、じゃがいも、白米、もち、うどん、ビーフン等。

GI70以上がラーメン、コーンフレーク、そうめん、赤飯、ベーグル、チーズケーキ、山芋等。

GI60以上にスパゲティ、パスタ、かぼちゃ、カステラ、パオナップル、クラッカー等。

GI50以上に玄米、ライ麦パン、全粒粉パン、バナナ、ぶどう、さくらんぼ、ちくわ等。

GI50未満は肉類、魚類、貝類、野菜類、大豆、海藻類、みかん、りんご等となっています。

GIが非常に高いものとして白砂糖、次いで白パン、その次に白米となっており、精製した白い炭水化物を避けなさい、と言われる理由はここにあります。

以上のように血糖コントロールの目安としてGIを参考にします。

GL(Glycemic Load:グリセミック・ロード)

GL=「一人前の分量の食物に含まれる糖質のグラム数」×「その食物のGI」÷100

GLは以上のような式で表されます。
20以上が高い、19~11が中程度、10以下が低いと評価されます。

GIが食品の糖質が血糖値を上げる性質を表す指標なのに対して、GLは実際の食事で摂る分量を考慮し、実際にその食品によってどれだけ血糖値を上げてしまうのかを示します。

GIよりも分かりやすいとして最近特に欧米ではGLを用いる傾向があるとのことです。

糖質制限食の効果

糖質制限食は実施するとすぐに効果が現れます。翌日には尿糖が六分の一以下になるとのことです。

経口血糖降下剤を服用している人は糖質制限食を開始すると同時に中止できる上にインスリン注射を確実に減量できるそうです。少数ですが、インスリン注射を中止できる人もいるということなので、体への負担は大きく軽減できることが分かります。

糖質制限により、ブドウ糖を分解することでエネルギーを得ていた状態から、脂肪を分解することでエネルギーを得るようになるので膵臓を休ませることができるそうです。

糖質制限食が効く理由

糖質制限食が体に良い理由として、江部先生はアラスカで暮らすイヌイットの例を取り上げています。
イヌイットは生肉、生魚をメインにごく少量の山菜、果実、海藻を食べて生活しています。

このような食生活でイヌイットは動脈硬化に由来する心疾患や血管疾患が少なく、ガン、糖尿病、リウマチ、潰瘍性大腸炎、虫垂炎、歯槽膿漏など先進国に多い病気が非常に少ないことが分かっています。

また日本の縄文時代でも人々の食生活は木の実、魚、果物、野草、小動物、昆虫などを中心としており、穀物などの糖質の多いものを食べていません。

これらは糖質を摂るということが本来人間にとっては滅多にない機会であることを表しており、血糖を下げるホルモンがインスリンしかないことの理由としています。

糖質を摂ると脂肪として大切に蓄えようとすることで肥満も生じてしまいます。
これが糖質制限ダイエットが有効な理由です。

つまり糖質はごちそうとしてたまに食べるもの、あるいは運動するときや非常時などの短期的なエネルギー補給として食べるものであり、普通の生活で常食とすることは体に負担をかけるものである、と江部先生は主張しているのです。糖質制限ダイエット

本来のエネルギー源は脂質

現在日本の主食として食べられているものは米、パンなどの糖質を多く含む炭水化物ですが、イヌイットや縄文人が糖質にほとんど頼らず生きている(生きていた)ことを考えると、どうやら糖質をエネルギー源としなくてもいいことが分かります。

では何をエネルギー源とするかということを考えると、答えは脂質ということになります。

糖質をエネルギー源として使う状況は激しい運動時と血糖が上昇してインスリンが追加分泌されたときだそうです。

それ以外の寝ている時、テレビを見たり机に向かって仕事や勉強するとき、歩いているときなどは脂肪を燃やしてエネルギーとしているので、メインエンジンは脂質、糖質はサブエンジンとして考えるべきだというわけです。

糖質制限を行うことで糖質代謝メインから脂質代謝メインに変えることができ、ブトウ糖代謝を休ませることで血糖の乱高下を防ぐことができます。

 糖質制限食で食べて良いものと悪いもの

糖質制限食をまとめると、以下のようになります。

  1. 3食のうち少なくとも1食は主食抜きにする(糖尿病の人は2食以上抜く)
  2. でんぷんや砂糖など糖質の多い食品は不可
  3. おかずは、蛋白質と脂肪を主に含む食品を中心にする
  4. 脂肪は制限しないので揚げ物などどんな調理法でも可
  5. お酒は焼酎やウイスキーなどの蒸留酒を適量であれば可

これに野菜や海草を加えてビタミン等を補います。

主食とはお米、パン、麺類のことを言い、玄米やライ麦パンなども含みます。

でんぷん

でんぷんは主食以外にいも類、餃子、春巻き、しゅうまいなどの皮、かぼちゃ、くわい、ゆりね、れんこん等に多く含まれているので注意が必要です。

砂糖などの甘味料

甘いお菓子やアイスクリーム、ジュースなどの清涼飲料水はもちろん不可です。はちみつ、黒糖や粗糖、なども不可です。甘い乳酸菌飲料も控えたほうがよいものです。

牛肉や魚の大和煮の缶詰、さんまの蒲焼の缶詰、佃煮などにも砂糖は多く使用されています。缶詰やレトルト食品などは要注意です。

糖質の多い調味料としてソース、ケチャップ、白みそ、みりん、酒かす、などにも注意が必要です。また、コンシメキューブ、カレールー、クリームソースルー、ハヤシルーなども同様です。

牛乳も乳糖という糖質を含んでいるので避けたほうがよいものです。

おやつに食べていいもの

砂糖が含まれた甘いお菓子以外にも、せんべいやおかき、ポテトチップスなどはでんぷんが沢山含まれているので極力避けるようにします。

果物の果糖はGIが低く水分が多いので、いちご10粒、りんご半分食べるくらいは問題ありません。ただしドライフルーツは糖質の量が多いので避けるようにします。果物の缶詰も不可です。100%果汁ジュースの果糖も吸収率が上がってしまうので不可です。

かぼちゃの種、松の実、くるみなどのナッツ類、チーズ、天日干しの貝柱、うるめなどの干物、などは間食に適しています。

お酒

糖質制限食ではアルコールそのものは禁止されていません。
ただしビールや日本酒、ワインなどの醸造酒やカクテルは糖質が多いので不可となります。

焼酎やウイスキー、ウォッカ、ブランデーなどの蒸留酒は糖質を含んでいないので適量を飲むことが出来ます。
また赤ワインは糖質の量が少ないのでグラス2~3杯は可となります。

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こちらも参考にしてください。肉食中心の糖質制限MEC食。
MEC食とは?やり方 危険はないのか?肉大好き 野菜嫌いの人に!

参考文献

主食を抜けば糖尿病は良くなる! 新版: 糖質制限食のすすめ
江部 康二 東洋経済新報社 2014-03-14
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by ヨメレバ

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