胎児の成長 妊娠週数、胎盤とは?絨毛、羊水、臍帯などについて

妊娠週数と発生週数、胎児の成長について、胎盤とは何か、絨毛、羊水、臍帯などについて解説します。

胎盤

Original Update by BruceBlaus

妊娠週数と発生週数

妊娠週数受精前の最終月経日から数え始めます。

これに対して発生週数受精の日から数え始めるので、発生週数と妊娠週数は2週間のずれがあります。

妊娠週数の0週~2週間は実際には妊娠していないということになります。

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胎児の成長過程

妊娠週数2週目で受精が行われ4週目まではまだの状態です。

胎芽

5週目くらいに胚から胎芽(たいが)という状態になり、体の様々な器官の形成が始まります。
この時期を器官形成期といい5~11週頃がこの期間に相当します。

器官形成期に母親が気をつけなくてはならないこと

器官形成期に重篤な先天異常(奇形)を避けるために気をつけなければならないことがあります。

それは、

  • 感染症(風疹ウィルス、水痘・帯状疱疹ウィルスなど)
  • 薬剤
  • 放射線
  • 高血糖(糖尿病合併妊娠)

です。

これらは、催奇形因子といいます。
器官形成期に母親が催奇形因子にさらされると先天異常の原因となります。

注意すべき薬剤

妊娠中特に特に注意すべき薬剤は、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、アミノ配糖体、ワルファリンなどです。

テトラサイクリン、クロラムフェニコール、アミノ配糖体は抗菌薬(抗生剤)の一種です。

ワルファリンは抗凝固薬です。

これらは妊娠中の母子に重大な障害を引き起こす可能性があります。

またこれら以外のどんな薬剤でも胎児に悪影響を及ぼす可能性があると考えておいたほうがよいでしょう。

胎児

器官形成が進み8週目くらいなると胎児と呼ばれる状態になります。 

胎児と胎盤系

胎盤

 胎盤とは

胎盤は妊娠することで形成され、胎児の生命維持の役割を果たす重要な臓器です。

母子間の栄養・代謝物質の輸送やガス交換を行ったり、胎児の成長に必要なホルモンなども産生されます。

胎盤は妊娠7週頃から作られ始め、妊娠4ヶ月末までに機能や形態が完成し、妊娠10ヶ月頃まで増大し続けます。
胎児を出産後、子宮から剥離(はくり:はがれること)し、排出されます。

胎盤の構造と働き

胎盤の構造

胎盤は胎児の絨毛(じゅうもう)が母体血(母体血管である子宮動脈、子宮静脈により循環)につかっているような構造になっています。母体血と胎児血は原則として混ざりません。

絨毛を介して母子間の物質交換が行われます。

母親の飲食した物の栄養素や吸った酸素が胎児に送られ、胎児の出す二酸化炭素や老廃物が母親に送られます。

また、胎盤で産生されたホルモン(hCG、hPL、エストロゲン、プロゲステロン)は母子に送られます。

臍帯(さいたい)

臍帯とは俗に言う「へその緒」のことで、胎児と胎盤を繋いでいます。

臍帯の中には2本の臍動脈と1本の臍静脈が通っています。

妊娠末期になると、太さは1~2cmで長さは25~70cmになります。

長さが25cm以下は過短臍帯、70cm以上を過長臍帯といい、妊娠中や分娩時に障害となることがあります。

卵膜

卵膜は胎児と羊水を包む薄い膜で、脱落膜絨毛膜羊膜の3層構造になっています。

脱落膜

脱落膜は子宮内膜が受精卵の着床により肥大・増殖したものです。

絨毛膜

絨毛膜は絨毛細胞質と絨毛間質からなり、妊卵(受精卵)の全表面を覆います。

羊膜は羊膜腔を覆う一層の膜です。胎盤表面から胎児皮膚へ移行します。

羊水

羊水は羊水腔を満たす弱アルカリ性の液体です。
外からの衝撃をやわらげ胎児を守ります。
また、胎動の空間ができることで運動空間を確保し、筋や骨格の発達を促進します。

胎児の肺は呼吸運動と同様の動きで羊水を肺に取り込み、吸い込んだ羊水は尿として羊水に排出され循環します。(酸素の取り込みや二酸化炭素の排出は臍帯を通じて行われます)

胎児は尿を羊水に排出し、その羊水を飲んでいるわけですが、老廃物は臍帯を通じて母体に排出されるので羊水は常にきれいな状態です。

胎盤ホルモン

胎盤で産生されるホルモンには蛋白ホルモンであるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)ヒト胎盤性ラクトゲン(hPL)、ステロイドホルモンであるエストロゲン、プロゲステロンがあります。

排卵後の黄体は妊娠すると妊娠黄体となりエストロゲン、プロゲステロンを産生します。妊娠によってできた胎盤がhCGを産生しhCGは黄体を妊娠黄体へと変化させ、ホルモン産生を促すためです。

妊娠が成立し胎盤が形成され7週頃になると、エストロゲン、プロゲステロンは産生場所を妊娠黄体から胎盤へと移し、12週頃にはほとんど胎盤で産生されるようになります。

ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)

hCGは絨毛の細胞から産生される糖蛋白ホルモンであり、妊娠検査の指標になったりします。通常、女性が妊娠したときのみに産生されるホルモンです。

妊娠4週頃に母体の尿中に現れるため、妊娠検査の判定に用いられます。

妊娠8~10週頃にピークとなり、以降は減少します。

hCGの働き

妊娠初期に妊娠黄体を刺激しエストロゲン、プロゲステロンを産生させます。

甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンの分泌を亢進させます。

胎児が男性の場合、精巣のテストステロン産生を促進します。

妊娠中期にエストロゲンの原料となるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)を胎児の副腎から分泌させます。

ヒト胎盤性ラクトゲン(hPL)

hPLは胎盤の細胞から産生される蛋白ホルモンであり、胎児の発育・成長を促進させませす。

胎児に優先的にグルコース(ブドウ糖)を送るため、母体のグルコース取り込みを抑える抗インスリン作用と、母体への栄養補給のための脂質分解作用を持ちます。

hPLは妊娠すると分泌量を増していき、胎盤の娩出とともに激減します。

hPLの働き

hPLの抗インスリン作用により母体に取り込まれなかった余剰分の糖を胎児に送ります。

このため妊婦の食後血糖値は非妊娠時に比べ高くなります。

エストロゲン

非妊娠時のエストロゲンの働きについてはこちらを参照してください。
女性ホルモン エストロゲン・プロゲステロンの作用について

妊娠時のエストロゲンの働き

妊娠維持のために子宮筋を肥大させ、子宮の血流量を増やします。

乳汁分泌の準備として下垂体前葉からプロラクチン(PRL)を産生させ、乳管を増殖させます。

妊娠中の乳汁分泌を抑制します。
(出産するとエストロゲンの減少により乳汁抑制は解除され乳汁の分泌が開始されます。)

分娩の準備として妊娠末期に子宮頸管を軟らかくします。

プロゲステロン

非妊娠時のプロゲステロンの働きについてはこちらを参照してください。
女性ホルモン エストロゲン・プロゲステロンの作用について

妊娠時のプロゲステロンの働き

下垂体前葉からのLH分泌を抑制し、妊娠中に排卵しないようにします。

乳腺組織のPRL受容体を減少させ、妊娠中の乳汁分泌を抑制します。
(出産するとプロゲステロンの減少により乳汁抑制は解除され乳汁の分泌が開始されます。)

乳腺小葉を増殖させ乳汁分泌の準備をします。

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参考文献

「病気がみえる vol.10: 産科
医療情報科学研究所 (編集)

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