酵素とは?種類 効果 酵素を意識した食事とはどういうものか? 

酵素とは何か、酵素を意識した食事等について解説します。

「酵素」の謎

鶴見クリニック院長で酵素栄養学の第一人者である鶴見隆史先生の著書『「酵素」の謎』に沿って酵素とは何かをみていきたいと思います。

酵素とは

この本では酵素は9番目の重要な栄養素として位置づけられています。
9つの栄養素は以下です。

  1. 糖質(炭水化物)
  2. 蛋白質
  3. 脂質
  4. ビタミン
  5. ミネラル
  6. 食物繊維
  7. ファイトケミカル(ポリフェノールやカルテノイド等)
  8. 酵素

エネルギーを作りだすことも、細胞の入れ替えも、組織の修復、有害な毒素(老廃物)の排泄も、すべて酵素の力なのです。そして、体内にある100兆個のすべての細胞が、酵素を必要としています。酵素がなければ、私たちは何もできず、その存在なくしては生きていくことができません。

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下記に述べる酵素栄養学に対する反論もあることを加筆します。
「腸内酵素力」で、ボケもがんも寄りつかない (講談社+α新書)
この本の中では酵素栄養学には根拠が無いとして、生の物を食べることで酵素を摂ることはできないと述べられています。

ただし生食を与えるようにした動物園で動物が病気になる率が下がったという下記のエビデンスがある限り、生食と加熱食は半々で摂るようにしたほうが良いのは間違いありません。

酵素の種類

体内で働く酵素である体内酵素(潜在酵素)は人体に存在しています。体内酵素には消化酵素代謝酵素の2種類があります。

各消化酵素についてはこちらを参照してください
胃と十二指腸の働きと消化 胃液の成分 胃酸 消化酵素などについて
膵臓の働きとは?構造と分泌されるホルモンや膵液などについて
肝臓の働きとは?肝機能の数値 肝臓の位置 代謝 黄疸とは

これに対して体外から取り入れる体外酵素として食物(植物や動物)に含まれる食物酵素があります。

酵素についてはまだ解明されていないことも多く、人間の体内には2万種類以上の酵素があり、消化酵素はそのうちの24種類、代謝酵素は3,000種類あるということが分かっているだけでその他はまだ未知のものらしいです。

酵素には限りがある

体内酵素は睡眠中に作られるとのことです。
寝ている間に細胞核の中で作られるので、睡眠を取ることがいかに重要かが酵素という観点からみても理解できます。

酵素は無尽蔵に作られるわけではない上に、「耐用期間」があるということです。短いもので数時間、長くても数十日で消滅すると考えられています。

酵素を生産する能力は20歳でピークを迎え、あとは衰える一方なので体内酵素は大切に使わなくてはならないと鶴見先生は述べます。この能力は個人差が大きく、DNAで決められるようです。

ビタミン、ミネラルは酵素の補佐役

酵素が9番目の栄養素となっているのは単に研究の遅れによるもので、実際の働きはビタミンミネラルが酵素を補佐する役割(補因子)である、と鶴見先生は述べています。

ビタミン、ミネラルは酵素の子分という位置づけとのことなので、酵素がいかに重要であるかが分かります。

これを表す言葉として補酵素(コエンザイム:coenzyme)というものがあります。補酵素はビタミンのことを指し、コエンザイムQ10はビタミン様作用物質としてビタミン同等の位置づけの成分ということのようです。ちなみに酵素は英語ではエンザイム(enzyme)です。

ミネラルは補助因子という位置づけで酵素を補佐します。

酵素の働き

消化酵素は食物を消化するための酵素で、それ以外の酵素はすべて代謝酵素です。

酵素の生産量は一定なので、消化酵素を沢山使ってしまうと代謝酵素が少なくなってしまいます。

消化酵素

代表的な消化酵素には炭水化物を分解するアミラーゼ、蛋白質を分解するプロアテーゼ、脂質を分解するリパーゼがあります。

これらの酵素により炭水化物は単等類、蛋白質はアミノ酸やジペプチド、脂質はグリセリンと脂肪酸に分解された後、体内に吸収されます。

消化酵素を沢山使ってしまうと代謝酵素に回す分が無くなってしまうので、健康な体を維持する為にはなるべく消化酵素を節約できる食生活を送る必要があります。

控えるべき食品

酵素を大量に消費してしまう食品は、インスタントやレトルトなどに代表される加工食品白砂糖の入った食品、食品に含まれる添加物とのことです。

その他に高GI食品(糖質を多く含む食品、GIについてはこちらを参照してください⇒糖質制限とは 糖尿病の食事と糖質制限食・糖質制限ダイエットについて)、高タンパク食品残留農薬トランス脂肪酸などの悪い油脂、加熱処理された無酵素食品などがあります。

これらの食品を常食することは病気、老化の大きな要因となってしまいます。

代謝酵素

代謝酵素は細胞の入れ替えや組織・遺伝子の修復などあらゆる生存活動に関わっています。

代謝酵素は各細胞、各組織に存在します。(中略)
これらの各酵素群が、継続的に100万種類以上の異なった化学反応を行い、体内のそれぞれの部分で決められた役割を分担しています。エネルギーの産生や解毒、細胞再生、遺伝子の修復など、その仕事は生命活動そのものです。

また酵素は体内で発生する活性酸素を除去する最大の抗酸化物質であると鶴見先生は述べています。

食物酵素

体内で作られる酵素には限界があるということが分かりました。ということは、体外から酵素を摂取することで体内の足りない酵素を補うことが重要といえそうです。

酵素を消費するということは代謝が多いということになります。
「代謝量が多くなる」とは、

  1. 過度の運動
  2. 睡眠不足
  3. 過食
  4. 消化不良

などにより酵素が過剰に使われたことを指します。

これらに当てはまる人は特に酵素を意識した食事が必要となります。
また妊娠している人も生野菜や果物など酵素を沢山摂ることで、体内酵素の生産能力が高い子供にすることができるとのことです。

酵素を摂る方法

酵素は生の物に含まれる

酵素は自然の植物や動物に存在していますが、加熱することで失われてしまいます。

以前は動物園でも人間と同様に加熱調理したエサにビタミンやミネラルを加えて食べさせていたそうですが、いわゆる人間における生活習慣病に似た病気を発症することが多かったとのことです。

そこでシカゴの動物園で生の肉や骨、果物や生野菜を与えるようにしたところ、健康状態が見違えるほど変わったので、他の動物園も見習うようになったということです。果物・野菜

イヌイットの食生活

北極圏に住むイヌイットは肉食中心の食生活なのに生活習慣病がほとんど無いことで有名ですが、その秘密は肉や魚を生で食べることにあるようです。

「糖質制限」の江部先生はイヌイットの食生活を糖質の少ない食事という観点から優れた食事としていますが、酵素という観点からも優れた食生活と言えるようです。

どちらの観点においても共通していることしては、加工食品を食べない、自然のものをそのまま食べる、ということです。

酵素は熱に弱い

酵素は熱に弱く、48度では2時間、50度で20分、53になると2分で効力を失ってしまうとのことです。ただし酵素の活性が高くなるのは44~50度、人間の体内では38度~40度の時とのことで、「50度洗い」(野菜などを50度のお湯で洗うこと)は理にかなっているということです。

病気で発熱し40度くらいまで体温が上がるのは酵素の作用を最大限に生かそうとする体の反応とのことです。

酢豚にパイナップルを入れるのもプロメリンという蛋白質分解酵素が豊富なため、理にかなっています。ただし加熱し過ぎると効力を失うので、調理の最後の方に入れるようにします。(理想は50度くらいにする)

焼き魚に添えられる大根おろしには、100種類以上の酵素が入っているそうです。これも焼き魚の消化を助ける理にかなった食べ方とのことです。

外国にも同じような知恵がみられるとのことなので、地方に伝わる伝統的な食べ方にはこのように健康を助ける深い意味があるものが多いと思われます。

また、キュウリに脂肪分解酵素であるホスホリパーゼが大量に含まれていることが分かったのは、最近のことだそうです。脂っこいものを食べるときはキュウリをつまみながら食べると良さそうです。

果物を食べる

果物こそ、人体の構造や機能から、私たち人間がすんなりと受け入れられる唯一の食物だと思います。
果物は果糖が多いから体に悪い、と敬遠する人もいますが、これはたいへんな誤解です。果物ほど、すばらしい食物はほかにはありません。
まず酵素が豊富です。また、消化にほとんどエネルギーを遣わないので、潜在酵素の消耗を防ぐことができます。ビタミンCやファイトケミカルなどの抗酸化物質も豊富です。また、何より果物の70~90パーセントはきわめて良質の水です。食物繊維も豊富で、少量ながらの良質の脂肪酸やアミノ酸も含まれています。

果糖が心配な人はお菓子の代わりに果物を食べることをお勧めします。砂糖より確実に体に良いですし、甘いものを食べたいという欲求を満たしてくれます。

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生食と加熱食の比率は?

ここまで読むと食事は生を主体にするほうが健康的のように思えますが、鶴見先生が理想とする割合は生食60%、加熱食40%、それが無理なら50%ずつでも良いとのことです。

動物は人間が与えない限り生の物だけを食べて生きています。
それに対して人間の場合、長い期間加熱した物を食べてきたので、膵臓や唾液腺は加熱処理された食物に適応するために肥大したそうです。

また生食100%を勧めない最大の理由としてアミノ酸やビタミンB群は動物性食品から摂取する必要があることを挙げています。日本では生肉は限られたものしか食べることができません。

それに加えて現在の野菜や果物の栄養価が落ちている為、それらに含まれる酵素の量も減っているとのことです。

とは言え、鶴見先生は動物性食品を取り過ぎることは注意が必要と述べています。肉や魚を取り過ぎることは腸内細菌叢を悪化させ、リーキー・ガット症候群(下記参照)を引き起こします。そしてリーキー・ガット症候群はガンを含む様々な病気の原因になるとのことです。

さらに加熱したほうが栄養価が上がる食品があることや、生食ばかりではストレスが溜まってしまうことも大きな問題としています。

日本には魚を刺身で食べる素晴らしい習慣があります。動物性食品を食べるとき、焼肉やステーキ、唐揚げなどの加熱食品と魚の刺身(もちろん牛刺しや馬刺しでもよい)の割合を6:4、あるいは5:5にすればバランスを取ることができます。

鶴見先生は1日のエネルギー摂取は野菜や果物など植物性の食品を80%、肉や魚など動物性の食品を20%が理想と考えています。

様々な食品を生食、加熱食を交えてバランス良く摂ることが最も大切なことのようです。

リーキー・ガット症候群

健康な人の小腸の壁は分解された栄養素しか通れないようになっています。リーキー・ガット症候群とは、小腸の壁が爛れて(ただれて)テニスラケットのガットが広がってしまったような状態です。

こうなると本来体に吸収してはいけないものまで体内に取り込まれ病気の原因となってしまいます。

リーキー・ガット症候群が起こる原因として、動物性食品の摂りすぎ(高タンパク食)、薬の飲み過ぎ(化学薬剤の摂取)、喫煙、アルコールの過剰摂取が考えられます。

 鶴見先生の考える健康的な食事

病気のときは食べない

病気の時は食欲が落ちますが、その感覚に従うのが正しいようです。
病気と戦っている状態は代謝酵素が大量に必要となるため、食べることで消化酵素として酵素を消費するのを避けるべきとのことです。

病気のときに、食べて体力をつけなくてはいけない、という考えは逆効果のようです。

少食のほうが長生きする

消化酵素を節約して代謝酵素に回せば体を若く保てることになります。
なので食事は1日2食で十分とのことです。3食食べたい人は朝食を生野菜や果物中心にするといいそうです。

酵素を効率的に摂る

酵素が摂りやすいのは生野菜や果物をジュースにして飲むことだそうです。
胃が空のときに飲むと消化・吸収がスムーズに行われます。

しぼりかすがある場合、それは食物繊維なのでジュースと一緒に摂るか、ドレッシングをかけて食べるようにします。

糖尿病など血糖値が高い人は野菜ジュースを飲むようにします。

また、すりおろすことで食物の細胞膜が破れ酵素が大量に出るとのことなので、リンゴや大根はおろすと良さそうです。

他に山芋、にんじん、生姜、セロリ、かぶ、ニンニク、れんこん、玉ねぎなどもおろして食べると良いものです。

酸化を防ぐ為に、食べる時は時間をおかず、すぐに食べるようにします。

発酵食品を食べる

納豆や漬け物、ヨーグルトやチーズなどの発酵食品も、食物酵素補助食品とのことです。納豆などのネバネバしたものは良く混ぜるほど酵素もうまく摂れます。

魚料理から酵素を摂る場合、一番良いものは刺身、二番目が西京漬けや味噌漬けなどの発酵食品、三番目は煮魚、焼き魚という順になるそうです。

その他のポイント

良く噛んで食べることも消化を助け酵素の節約につながります。

また良質の水は酵素を働かせる作用を助けるとのことです。
水にについては藤田先生の考えとほぼ同じです。
水道水と塩素 ミネラルウォーター 水素水 炭酸水 硬水 軟水の違いについて

鶴見先生は糖質制限にはやや批判的です。
体内にはブドウ糖しかエネルギーにできないものが、肺の粘膜、神経組織の内膜、眼の水晶体、血管壁と4つあるので、ある程度の糖質はきちんと摂る必要があるとのことです。

また、蛋白質を摂りすぎると腸内で腐敗してしまうことや、ケトン体を増やし過ぎると酸性の分子のため血液が酸性に傾き体に悪影響がでる可能性があることを挙げています。

参考文献

「酵素」の謎――なぜ病気を防ぎ、寿命を延ばすのか(祥伝社新書314)
鶴見 隆史 祥伝社 2013-03-02
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