不妊治療とは?人工授精 体外受精 顕微授精 タイミング法などについて

不妊治療とは何か、タイミング法、人工授精、卵巣刺激、体外受精、顕微授精などについて解説します。

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不妊治療とは

不妊治療とは不妊症のカップルが妊娠するための医療のことです。

自然妊娠できるように治療や指導することや、自然妊娠が不可能あるいは困難な人のための生殖補助医療(ART:不妊の原因を治療せずに妊娠させる)のことをいいます。

※記載した費用などは「不妊治療を考えたら読む本」に書かれているもので、著者の浅田先生のクリニックの場合です。

不妊治療の基本的な流れ

不妊治療の流れは以下のようになります。

タイミング法(タイミング指導)→卵巣刺激法→人工授精→体外受精→顕微授精

基本的に簡易的な方法から始めて妊娠できなければ次の段階にステップアップしていきます。

タイミング法で妊娠できればそれ以上は必要なく、体外受精でも妊娠できない場合、顕微授精が行われます。

尚、人工授精の次は体外受精ではなく顕微授精を行うパターンもあります。

タイミング法・人工授精

タイミング法人工授精のことを一般不妊治療といいます。
一般不妊治療は不妊治療の初期段階に行うシンプルな方法です。

妊娠しやすい日を知るタイミング法

不妊状態であっても不妊検査で異常がなかった場合、タイミング指導により自然妊娠できる可能性があります。

特に女性の年齢が若い場合はしっかりここから始めるべきです。

排卵した卵子が受精できる時間は約1日、精子は3~5日間生きています。

排卵日ではなく、排卵日前に精子が待機している状態が妊娠しやすく、最も妊娠する確率が高いのは排卵日の2日前、次に1日前と3日前というデータがあります。

排卵日の5日前~排卵日までが妊娠しやすい期間なのでこの間に性交するようにします。

浅田先生によると性交の回数は多いほどよいが、男性が禁欲してから行う必要はないとのことです。

排卵日を知るためには基礎体温を測り推測する方法や市販の排卵検査薬を使うことである程度知ることができます。

最も正確なのは医師による超音波検査です。
自分でタイミング法を行っても妊娠しない場合はやはり医師に診てもらうのがよいでしょう。

病院では薬を使わない方法と注射により薬で排卵を起こす方法があります。

薬を使って行うタイミング法の費用は1周期あたり1~2万円くらいです。

人工授精とは

タイミング法の次に行われる不妊治療は人工授精です。

カテーテル(医療用の柔らかい管)を膣内に挿入し、雑菌を取り除いた精液を注入します。

精子が泳いで子宮に到達する負担を減らし、子宮に達する精子の数を増やせるので、妊娠する確率が上がります。

タイミング法で妊娠できない場合や抗精子抗体がある場合、男性の乏精子症、精子無力症、ED(勃起不全)、逆行性射精、女性の頸管粘液分泌不全などの場合に有効です。

精液は自宅で採取したものを持参するか施設の採精室で採ったものを使います。

人工授精にかかる費用は1周期あたり2~3万円です。

排卵誘発剤を使った卵巣刺激法

排卵誘発剤とは

排卵誘発剤とは排卵が起きにくい人に排卵を促す薬のことです。

タイミング法だけでうまくいかない人に使用されます。

また、排卵がきちんとある人にも、複数の卵胞を育てて妊娠率を上げる為に使われたり(体外受精の場合)、排卵日を人為的にコントロールしてスケジューリングを調節するために使われたりします。

排卵誘発剤の副作用

副作用として卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と多胎妊娠(双子以上の子供が生まれること、医学的リスクが高い)があります。

卵巣刺激法とは

排卵誘発剤を使って卵子を得ようとすることを卵巣刺激、または卵巣刺激法といいます。

卵巣刺激法には大きくわけて簡易刺激調節卵巣刺激があります。

卵巣刺激に使う薬代は2~30万円くらいです。

簡易刺激

一般不妊治療で確実に排卵を得るためによく行われる方法です。
月経不順や無月経の女性に確実に排卵させるために有効です。

また、体外受精時に調節卵巣刺激を行っても十分に卵子が採れない場合に行います。

内服薬のクロミフェン、シクロフェニル、アロマターゼ阻害薬のいずれかを服用します。

調節卵巣刺激

調節卵巣刺激は通常体外受精で用いられ、複数の卵胞を育て妊娠率を上げます。

一般不妊治療で行う場合は多胎妊娠を避ける為少量の薬剤を使用します。

体外受精時には医師が採卵する前に排卵されないよう自然に起こるLHサージを抑える薬も使います。

調節卵巣刺激には、GnRHアゴニストショート法、GnRHアゴニストロング法、GnRHアンタゴニスト法などの方法があり、ゴナドトロピン製剤(hMG製剤、FSH製剤)、hCG製剤、GnRH製剤などの薬剤が使用されます。

調節卵巣刺激で使う薬は注射がメインです。

注射は10~13日間くらい打たなくてはならないので、自分でお腹に注射してもらうことが多いようです。これは通院の負担を減らすためとクリニックの混雑を防ぐためでです。

体外受精・顕微授精

体外で受精させて胚を子宮に戻し妊娠させる技術をART(生殖補助医療)といいます。

ARTの流れ

排卵

女性は排卵誘発剤を使用し排卵を誘発後、卵子を採取する採卵を行います。

採卵

採卵は膣から針を卵巣に入れ、超音波によるモニターを見ながら卵子を吸引します。
麻酔をして行うので痛みはありません。10~20分程度で終わります。

採精

男性は自宅あるいは施設でマスターベーションにより精子を提出します。

体外受精(IVF)

受精障害が無ければ体外受精を行います。

体外受精とは、培養液の中で採卵した卵子と採精した精子を受精させることです。

自然妊娠では射精された精子は膣から子宮内へと泳いでいき、卵巣から排卵され卵管采からピックアップされた卵子と卵管で出会い受精し、受精卵となります。

受精卵はやがてとなります。胚は、初期胚→桑実胚→胚盤胞と成長し、胚盤胞の段階で卵管から子宮に到着し子宮内膜着床すると妊娠となります。

体外受精では、培養液内にて卵管で行われているように精子は卵子に向かって自力で泳いでいき受精が行われます。これを媒精といいます。

体外受精や顕微授精は保険適用外で費用は20~80万円くらい、採れる卵子の数により大きな差が出ます。顕微授精のほうが料金は高くなります。

顕微授精(ICSI)

男性不妊など受精障害がある場合、体外受精で妊娠できない場合に顕微授精が行われます。

媒精ではなく、顕微鏡下で胚培養士が卵子の殻を人為的に破り精子を中に注入します。

顕微授精は高度な技能が必要なので胚培養士の技術差で妊娠率が変わってくる可能性があります。どこで治療を受けるかしっかり吟味しておく必要があると言えるでしょう。

胚移植(ET)

体外受精や顕微授精で得られた胚(受精卵)を子宮腔内に移すことを胚移植といいます。

以前は受精卵の段階で子宮に移すGIFTやZIFTという方法も行われていましたが、現在は技術の進歩により胚盤胞まで培養できるようになったので、これらはほとんど行われていません。

現在はIVF-ETという方法が主流で受精卵を胚まで培養してから移植します。

また、胚を凍結保存する技術も進歩しており、この技術を使うことで妊娠率は上がっています。

胚移植は超音波で確認しながら移植用のカテーテルを子宮内に入れて胚を送り込みます。

痛みは無く、所要時間は5~10分程度です。

胚移植にかかる費用は12~16万円くらいです。

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不妊治療のリスクは?顕微授精で障害児?始める前に知っておくべきこと

参考文献

不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」
浅田 義正、河合 蘭 著

「病気がみえる vol.9: 婦人科・乳腺外科」
医療情報科学研究所 (編集)

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