小腸(空腸 回腸)と大腸の働き・役割・長さは?腸内細菌とは

小腸、大腸の働き・役割・長さや腸内細菌について解説します。

小腸とは

小腸・大腸

Original Update by BruceBlaus

小腸は、十二指腸空腸(くうちょう)、回腸(かいちょう)の3つから構成されています。
ここでは主に、空腸、回腸について解説します。

空腸、回腸のは長さは6~7mです。空腸と回腸にはっきりとした境い目はありません。十二指腸側の前半約2/5が空腸で後半の3/5が回腸です。

小腸には膨大な数の腸内細菌(腸内常在菌)が棲み(すみ)ついています。
また小腸はパイエル板などの免疫組織が発達していて、腸管免疫に重要な働きを持ちます。

小腸の働き

内壁は絨毛(じゅうもう)で覆われていてここで栄養分の消化と吸収が行われます。
絨毛の中には毛細血管網と1本のリンパ管(体液を回収するための排水管のようなもの)が通っています。

脂質はリンパ管に吸収され静脈へ送られ、それ以外の栄養分は絨毛の表面にある栄養吸収細胞が素早く吸収し、毛細血管の血液に溶け込んで肝臓に送られます。

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各栄養素の吸収について

栄養素によって吸収の仕組みは異なります。
三大栄養素である、たんぱく質、炭水化物、脂質は最小単位の単分子まで消化分解されてから吸収されます。

単糖類アミノ酸は、小腸上皮細胞を経て血液に送られます。脂質は、タンパク質と結合しカイロミクロン(小腸で合成され、中性脂肪を体内の末梢組織へ運ぶリポタンパク)という水溶性の物質になり、リンパ管に入ります。

水溶性ビタミンは、小腸上皮細胞から血管に素通りします。脂容性ビタミンは、脂質と同じ経路をたどります。脂質は長鎖脂肪酸、短鎖脂肪酸など種類によって吸収方法は異なります。

水は1日に約9ℓが消化管内に入り、小腸で85~90%が吸収され、残りは大腸で吸収されます。

消化管の運動

消化物を十分混ぜ合わせる為に小腸では、分節運動振子運動と呼ばれる動きをします。
分節運動は小腸が収縮と弛緩を繰り返すことで消化物を混ぜ合わせます。
振子運動は、小腸が伸縮することで消化物を左右に移動し混ぜ合わせます。

消化物を先へ送る動きは蠕動運動(ぜんどううんどう)です。
小腸が収縮することで消化物を肛門側へ移動します。

大腸とは

大腸

大腸は成人で約1.5m~1.7mの長さがあります。
大腸の始まり部分であり特に役割の無い盲腸、大腸の大部分を占める結腸、肛門へ続く約20cmの直腸の3つで構成されています。

小腸(回腸)の最後の部分は盲腸の回盲部というところで繋がっています。ここには回盲弁という弁があり、盲腸から回腸への逆流を防いでいます。(上図に記載はありません)

結腸は、上行結腸(じょうこうけっちょう)、横行結腸(おうこうけっちょう)、下行結腸(かこうけっちょう)、S状結腸の4つの部分から構成されています。

大腸の働き

大腸では、小腸で栄養が吸収された後の液状の消化物の水分を吸収し、その残ったカスを大腸に棲んでいる腸内細菌(腸内常在菌)が発酵して分解します。
腸内細菌の数は最近の研究によると、3万種、1000兆個に達するといわれています。

大腸には消化酵素が無いので、一部のビタミンを除いてほとんど消化は行いません。

結腸では、粘液などが混ざり合って糞便が作られます。
直腸は消化吸収はせず、便が排出されるまでの溜まり場です。

便はどのようにつ作られるか

大腸には小腸(回腸)の末端から1日約1.5~2ℓの液状の消化物が入ってきます。
上行結腸では水分が吸収され消化物は液状から泥状になり、横行結腸でかゆ状になり、下行結腸では半かゆ状、S状結腸で半固形になり、直腸で固い塊(かたまり)となります。

便は蠕動運動により肛門側に送られていきます。
何らかの理由でこの蠕動運動が促進されないと、便秘の原因となります。

通常の便の約75%は水分です。残りの約25%が固形成分となります。
下痢のときは水分量が増えます。

固形成分の中には多くの細菌が含まれ、他に、脂肪、小腸で消化されなかった線維、たんぱく質、消化酵素、剥離細胞(はくりさいぼう:消化器官の表面からはがれた細胞)、腸内細菌などが含まれます。

腸内細菌とは

大腸の中には前述したように膨大な数の腸内細菌がいます。
これらは便宜的に、善玉菌悪玉菌日和見菌(ひよりみきん)の3つに分けられます。

善玉菌とは乳酸菌ビフィズス菌などのことで、腸の運動を促進し便通を良くしたり、悪玉菌の繁殖を抑え、さらに免疫力を高める等の働きをします。

悪玉菌はウェルシュ菌、一部の大腸菌腸球菌などのことです。
悪玉菌はアミノ酸を分解し腐敗させ、有毒ガスを作ります。ガスには臭気があり、おならや便で排出されますが、ほとんどは吸収されて血液に溶け込みます。それらのうち有毒な成分は、肝臓で解毒されます。

日和見菌とはどちらにもなり得る菌のことで、一部の大腸菌や胃の中にいるピロリ菌がこれに当てはまります。体が健康な状態なら善玉菌として作用することもありますが、不健康な場合は悪玉菌として作用することもあります。腸内細菌の大多数は日和見菌といわれています。

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排便の仕組み

1日に1、2回下行結腸やS状結腸にある糞便が一気に直腸に入る総蠕動(そうぜんどう)が起こります。するとその刺激により、直腸の蠕動運動が促されます。これを排便反射といいます。このとき内肛門括約筋は自動的に緩み(ゆるみ)ます

排便可能な状態なら、外肛門括約筋の収縮が解除されて排便が起こります。これを随意性排便といいます。外肛門括約筋は意思で収縮させることができます。
これに対して内肛門括約筋は自動的に収縮します。内肛門括約筋と外肛門括約筋の両方が収縮したときに排便が起こります。

排便反射を我慢することは便秘の原因となります。

便が液状やそれに近い状態のものが下痢です。
下痢の原因は、腸管運動の促進や低下による腸管内運動の異常や、腸管内の水分過多、細菌やウイルス感染によって腸管内の水分が増えるものなどがあります。

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参考文献

「カラー図解 生理学の基本がわかる事典」
石川 隆 (監修)

「病気がみえる 〈vol.1〉 消化器」
医療情報科学研究所 (編集)

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