肝臓の働きとは?肝機能の数値 肝臓の位置 代謝 黄疸とは

肝臓の働きや役割、肝機能の数値、肝臓の位置、代謝、黄疸とは何か、門脈や肝細胞などについて解説します。

肝臓の位置

肝臓 肝臓の位置はや横隔膜のすぐ下、右上腹部にあり、肋骨に守られています。 が自分から見て左側にあるのに対して、肝臓はやや右側、みぞおちのすぐ右が肝臓、左が胃です。

肝臓の仕組み

肝臓は横・約25cm、縦・約15cm、一番厚い所・約10cm、成人男性で重さ約1.5kg、女性で1.3kgある人体最大の臓器です。
小腸で吸収された栄養素のほとんどが肝臓に運ばれ、代謝解毒貯蔵が行われます。

肝臓は手術などで70%位を切除しても半年ほどで元の大きさに戻り、機能も完全に回復します。これを肝再生といいます。

予備の細胞を沢山持ち、余裕を持って働いている為、機能が低下してもなかなか症状に現れず、沈黙の臓器と呼ばれています。

見た目上は肝鎌状間膜(かんかまじょうかんまく)によって大きく右葉と左葉に分かれますが、機能的には門脈の枝分かれに沿って8つの部分に分けられます。

門脈とは

門脈

門脈は、胃、腸、脾臓(ひぞう)などほとんどの腹部臓器から血液を肝臓に運ぶ為にある特別な静脈です。消化管から吸収された栄養は門脈により血液と共に運ばれ、肝動脈からは心臓で肺循環を終え酸素が取り込まれた血液が、肝臓へと送られてきます。

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肝細胞・肝小葉(かんしょうよう)とは

肝臓の主要な働きを担っているのは肝実質細胞である肝細胞です。
肝細胞は肝臓を構成する細胞の約60%を占めています。
残りの40%は肝非実質細胞といい様々な種類の細胞が肝実質細胞を守る為に働いています。

肝臓内で門脈と肝動脈は枝分かれして細くなり、約50万個の肝細胞の集まりである肝小葉に栄養と酸素を届けます。肝細胞には肝小葉内の類洞(るいどう)と呼ばれる毛細血管により栄養と酸素が運ばれます。

肝小葉は肝臓内に約50万個あるので肝細胞は50万×50万=2500億もあるということになります。

肝小葉の中心には中心静脈があり、中心静脈に入った血液は肝静脈に集まり肝臓から出て行きます。

胆汁は肝細胞で作られ、毛細胆管から小葉間胆管へと流れ胆管(肝管)を通って胆嚢へと流れます。
(「胆嚢 胆管 胆汁 胆道とは 胆嚢 総胆管の場所と働き・役割について」を参照)

肝小葉2423 Microscopic Anatomy of Liver by OpenStax College – Anatomy & Physiology, Connexions Web site. http://cnx.org/content/col11496/1.6/

肝臓の働き・役割

肝臓には沢山の役割がありますが、代表的なものは、代謝解毒胆汁の合成・分泌,栄養の貯蔵などです。

代謝(たいしゃ)とは

食べ物を摂取すると、胃や腸で消化・吸収を行った後に肝臓に運ばれ化学反応により体が利用できる形に作り変えられます。この一連の機能を代謝といいます。

一部のビタミンは補酵素として代謝を円滑に行う為の潤滑油のような働きをします。

炭水化物・糖質の代謝

糖質にはいくつか種類があります。
最も基本的なものは単糖類といい、グルコース(ブドウ糖)フルクトース(果糖)ガラクトースを指します。

二糖類は単糖類が2つ結合したもので、代表的なものに、スクロース(ショ糖、砂糖)ラクトース(乳糖)マルトース(麦芽糖)などがあります。

多糖類は複数の単糖類が結合したもので、代表的なものに、でんぷんグリコーゲンセルロースなどがあります。

例えばスクロース(ショ糖、砂糖)はグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合した二糖類です。砂糖を食べると、このままでは体が利用できないので、小腸から分泌されるマルターゼやスクラーゼという消化酵素により最小単位の単糖類であるブドウ糖と果糖に分解され吸収されます。

単等類は肝臓に運ばれ、ブトウ糖に変換された後全身の臓器に運ばれます。使われずに余ったブドウ糖(グルコース)は肝臓に貯蔵されますが、グルコースの形では貯蔵されず、グリコーゲンという多糖類の形で肝臓に蓄えられます。
血液中のブドウ糖が不足すると、グリコーゲンはグルコースに戻って血液に取り込まれます。

ちなみに多糖類であるでんぷんの場合は、口の中で唾液に含まれるアミラーゼで第一段階の分解(消化)が行われデキストリンという物質になり、十二指腸で膵臓から流れてきたアミラーゼによりさらに分解が進みマルトース(麦芽糖)になります。小腸にてマルターゼにより分解され最終形であるグルコースとなり吸収されて肝臓へ運ばれます。

ブドウ糖は脳にとって重要な栄養素であり、その他にも人間の活動源となる大切な栄養素です。

糖質の代謝を助けるビタミン

糖質の代謝を助けるビタミンとして、ビタミンB1、B2、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸があります。

蛋白質(たんぱく質)の代謝

蛋白質の消化は胃で始まります。 胃でペプシンによりペプトンという物質に分解され、次に十二指腸や小腸にてトリプシンによりトリペプチド、ジペプチドという物質に分解されます。

小腸でアミノペプチターゼという消化酵素により最小単位のアミノ酸となり吸収され肝臓に運ばれます。

アミノ酸は皮膚や筋肉を始めとして、酵素、ホルモンなど体に必要な様々な物質の原料となるものです。肝臓では、血液中に必要なアルブミンなど様々なアミノ酸を作りだします。

肝臓に貯蔵されたグルコースが不足した場合、アミノ酸からグルコースが作られます。これを糖新生といいます。

蛋白質の代謝を助けるビタミン

蛋白質の代謝を助けるビタミンとして、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビオチン、パントテン酸があります。

脂質の代謝

脂質にはリン脂質、コレステロール、中性脂肪の3つが存在します。
リン脂質とコレステロールはそのまま小腸に吸収されます。

中性脂肪はまず唾液中の少量のリパーゼで分解されます。 次に胃液に含まれるリパーゼにより分解され、十二指腸で胆嚢から流れてくる胆汁により乳化(水に溶けやすくする)されます(ミセル化)。十二指腸でも膵液に含まれるリパーゼにより脂肪酸に分解されます。

小腸でもリパーゼによる分解が行われ、グリセリンと脂肪酸に分けられ吸収された後、リン脂質やコレステロールと共に血漿(けっしょう:血液の白血球、赤血球、血小板を除いた成分)中の蛋白質と結合してカイロミクロンというリポタンパクになり、肝臓へ運ばれます。

脂質はそのままでは血管内に詰まってしまうので、このようにリポタンパクの形で移動します。

肝臓でカイロミクロンはVLDLというリポタンパクに再合成され血液に入ります。 リポタンパクやコレステロールなど脂質についてはこちらを参照してください。
動脈硬化の原因 脂質異常症(高脂血症)善玉 悪玉コレステロールについて

脂質の代謝を助けるビタミン

脂質の代謝を助けるビタミンとして、ビタミンB2、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸があります。

解毒

肝臓ではアルコールや薬物などの有害物質を解毒し、無害にします。

アミノ酸を分解するときに生じるアンモニアなどの有害物質を尿素に変え腎臓にて尿として排泄します。アルコールはアセトアルデヒドに酸化し、さらにアセトアルデヒド脱水素酵素により酢酸(さくさん)に変え代謝します。

本来自然に取り込まれることのない保存料などの食品添加物は化学的に合成されているものが多いので肝臓に負担をかけます。薬剤も同様です。
加工食品も自然の形から化学物質を加えられています。

これらの有害物質は少量ならば肝臓が処理してくれますが、摂り過ぎるとあらゆる病気に繋がる可能性があるので注意する必要があります。

胆汁の分泌

胆汁は肝細胞で絶えず作られています。
胆汁はコレステロールが酸化した胆汁酸と、脾臓で破壊された赤血球の一部であるビリルビンなどが混ざったアルカリ性の液体です。

肝臓ではビリルビンを水に溶けやすい形に変えて胆汁に加えます。
胆汁は胆管(肝管)を通って胆嚢へと運ばれます。

小腸に排出された胆汁酸のほとんどは再び小腸で吸収され、門脈を通って肝臓に戻り再利用されます。

胆嚢 胆管 胆汁 胆道とは 胆嚢 総胆管の場所と働き・役割について

栄養の貯蔵

肝臓では様々な栄養素が必要なときに出せるように貯蔵されています。 糖質であるグリコーゲン、造血のために必要な鉄、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)、心臓に行く血液を調整する為に多量の血液も貯蔵されています。

肝機能の数値について

健康診断を受けると肝臓の状態を表す数値をいくつか知ることができます。
お酒をよく飲む人や、肥満傾向にある人、食生活や生活習慣が乱れていると感じる人はしっかりそれらを把握し自分の肝臓がどういう状態にあるか知っておく必要があります。

肝臓は忍耐強い臓器なので多少問題が生じていてもなかなか症状として現れません。症状が現れたときには病気が大きく進行していたということも珍しくないので、これらの数値に異常が見られれば、食生活や生活習慣を改める必要があります。

血液検査で分かる肝機能

AST(GOT)、ALT(GPT)

肝細胞中に含まれる酵素です。何らかの原因により肝細胞が破壊されるとこれらは血液中に流れ出てきます。これらの値は高いほど肝臓に何か障害が起こっていることを示唆します。

AST(GOT) 基準値 30U/ℓ以下
ALT(GPT) 基準値  30U/ℓ以下

ASTとALTが共に高い場合、急性肝炎の疑いがあります。
AST>ALTの場合、肝硬変、肝がん、アルコール性障害、NASHの疑いがあります。
AST<ALTの場合、慢性肝炎脂肪肝の疑いがあります。

γ-GTP(γ-GR)

肝細胞内に存在する胆道系酵素で、アルコールに敏感に反応する性質を持ちます。 アルコール性肝障害にかかっている人の多くはこの数値の上昇が見られます。

γ-GTP(γ-GR) 基準値 50U/ℓ以下

ALP

肝臓で合成されるリン酸化化合物を分解する働きを持つ胆道系酵素です。
胆道に障害が発生すると、ALPは胆汁中に排泄されず、血液中に溶け込んでしまうのでこの数値が上がります。

肝臓の病気や甲状腺疾患でも上昇しますが、胆道系の病気の場合、数値が急上昇するので区別できます。

ALP 基準値 104~338U/ℓ 

黄疸(おうだん)について

黄疸とは何らかの原因でビリルビンが血液中に増加した為に、皮膚や粘膜などに沈着した状態です。血液中のビリルビンの増加は肝臓病や、胆道のどこかに閉塞があり胆汁がうまく流れていかない状態の時に起こります。

通常、皮膚の色よりも白目の部分(眼球粘膜)が先に黄色くなるので、黄疸があるかどうかは、この白目部分を見ると分かります。

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参考文献

「カラー図解 生理学の基本がわかる事典」
石川 隆 (監修)

「肝臓病の最新治療」
泉 並木 著

「肝機能の数値が悪い人がまず最初に読む本 最新版」
広岡 昇 (監修)

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