脱水症状 浮腫 低ナトリウム血症の原因 症状 治療 水の代謝について

脱水、脱水症状、浮腫(ふしゅ:むくみ)、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症の原因、症状、治療や水・ナトリウムの代謝について解説します。

食塩

腎臓の尿細管では電解質の量や水分量を調整し、体内の水分量や電解質の濃度を一定に保つように働いています。

電解質とは、水に溶けるプラスイオンとマイナスイオンに分かれて電気を帯びる物質のことです。ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、クロール(塩素)などが電解質です。

水とナトリウムの代謝について

ナトリウムの関係は、しょっぱいものを食べると喉が渇く、ということを考えると理解しやすいでしょう。

食塩(NaCl)はナトリウム(Na)と塩素(Cl)からできています。つまり、しょっぱいものはナトリウムを多く含んでいるわけですが、ナトリウムを摂取すると体はバランスを取るために水も必要とするので喉が渇きます。

この現象は体が水とナトリウムのバランスを常に一定にしようとする働きから起こります。飲水や食事で摂取した水やナトリウムは、発汗、排便、排尿などで排泄され、摂取と排泄はほぼ同じになるようにバランスが取られています。尚、水は飲水以外に栄養素の代謝によっても産生されます。

水とナトリウムは体液(※)として細胞内液細胞外液にそれぞれ一定の割合で存在するように調節されます。

※成人男性の体重の60%、女性や高齢者は50%、乳児の体重の70%は体液です。体液とは電解質や栄養素を含んだ水分のことです。体液は細胞内に存在する細胞内液と細胞の外に存在する細胞外液(組織間液と血漿)の2つに分けられます。

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水とナトリウムのバランス異常

体内の水とナトリウムのバランスが乱れると浸透圧や細胞外液に異常が生じ、低ナトリウム血症高ナトリウム血症、(血管静水圧上昇による)浮腫(ふしゅ)、脱水などの状態になります。

脱水(脱水症状)とは

脱水は体液の喪失により生じます。
脱水症状とは、脱力感、倦怠感、口内の乾燥、発汗消失、脈拍増加、血圧低下、尿量低下、体重減少などを指します。

脱水状態の確認方法

手の爪を心臓より上の高さで爪をギュっと押して圧迫してから離すと、白くなっていた部分にすぐ赤みがさして元の色に戻ります。脱水状態では、白いまま元の色に戻るまで2秒以上かかります。

脱水確認

脱水の分類

脱水は血清ナトリウム濃度により高張性脱水等張性脱水低張性脱水の3つに分類されます。高張とは体液より濃いこと、低張は体液より薄いことを指します。汗や尿はほとんどが低張です。

水分補給の注意点

はナトリウムを含んでない低張です。経口補水液は水とナトリウムのバランスが体液に近くなっている等張です。

経口補水液を自分で作る場合、水1リットルに対して食塩3g、砂糖40gの割合です。

スポーツドリンクはナトリウムを少量含むもののやや低張です。ナトリウム濃度は低いので、運動時の発汗後など脱水の予防には良いですが、基本的には脱水時に飲むものではありません。また糖分が多く含まれているので注意が必要です。

高張性脱水

体液を喪失し、それに応じた水分補給が無い場合、体液は水不足となります。

原因は、水が飲めない状態、下痢、嘔吐、発汗、尿崩症などがあります。

通常の脱水症状に加えて高ナトリウム血症の症状(下記)が現れます。

応急処置としての水分補給はが適しています。

等張性脱水

水とナトリウムが等しく失われた場合に生じます。

原因は、出血や熱傷(やけど)などです。症状は通常の脱水症状です。

応急処置としての水分補給は、経口補水液が適しています。尚、水を補給すると低張性脱水へ移行します。

低張性脱水

体液を喪失し、さらに低張な水分を摂取した場合に起こります。体液がナトリウム不足となった状態です。

原因は、利尿薬投与、下痢、嘔吐、発汗、低アルドステロン症、水は飲めるが食事が取れないとき、などです。

通常の脱水症状に加えて低ナトリウム血症の症状(下記)が現れます。

応急処置としての水分補給は、経口補水液が適しています。

浮腫とは

浮腫(ふしゅ)とは医学的な表現で、一般的には浮腫み(むくみ)と言われるものです。体液の細胞外液のうち組織間液(間質液)が過剰に増加した状態です。

浮腫

浮腫の原因

腎臓に問題がある場合は顔と足の両方がむくむなど全身性浮腫が現れます。全身性浮腫は心不全などの心疾患、肝硬変などの肝疾患、甲状腺の異常などの内分泌疾患でも起こります。

またストレスや疲労が原因で起こる全身性浮腫を特発性浮腫といいます。

一方部分的にむくみが起こる局所性浮腫は静脈やリンパ管の障害によって起こることが多く、立ち仕事などで同じ姿勢を長時間続けることで起こる深部静脈血栓症や下肢静脈瘤リンパ浮腫、虫さされ等が原因となります。

浮腫の症状

体内に水分がたまり顔や手足が腫れますが痛みはありません。

腎臓や心臓由来の浮腫は内側に水がたまっているため、指で押すとベコっとへこみ、後が残ります。これを圧痕性浮腫といいます。

甲状腺機能低下症や特発性浮腫の場合、水分以外の物質も溜まっているため、やや弾力があり指で押してもすぐに元に戻ります。これを非圧痕性浮腫といいます。

浮腫の治療・対処法

原因となる疾患がある場合はその治療が最優先となります。

尿で水分を排出してむくみを取るために通常は利尿薬が投与されます。
ただし特発性浮腫は薬が効かないので利尿薬を服用すると症状が悪化します。原因はストレスなので、生活を見直す必要があります。

特発性浮腫や長時間立ち仕事をする人などは、足の浮腫みを防止する弾性ストッキングを使用するとよいでしょう。

↓CA(キャビンアテンダント)さんが使用する弾性ストッキング

仰向けに寝て両手両足を上に垂直に伸ばし、屈伸させたりぶらぶらさせて血流を促進させることが効果的です。空き時間や帰宅後に行うようにします。

入浴で血行を改善することも効果があります。シャワーではなく浴槽につかるようにしましょう。

低ナトリウム血症とは

体内の血清ナトリウム濃度が低下し体液が薄まった状態になることで起こります。
摂取した体液(水分)より濃い体液を排出することで生じるものです。

排尿によるナトリウム濃度の調節機能が衰えている高齢者に多くみられます。

細胞外液の浸透圧(張度)の低下から細胞内に水が流入し、細胞内浮腫の状態になります。脳の神経細胞に浮腫が生じる脳浮腫は重篤な神経症状を呈し、水中毒とも呼ばれます。

低ナトリウム血症の原因

下痢、水の過剰摂取、水の排泄障害により高張な尿を排泄する、などが原因で起こります。

水の過剰摂取は運動時の水分補給が原因になることが多く、喉が乾いたらその分だけ飲むようにすることが予防となります。マラソンなどで脱水を恐れて過剰に水分を摂取すると起こります。

低ナトリウム血症の症状

頭痛、悪心・嘔吐、脱力、痙攣(けいれん)、傾眠(けいみん:意識障害の初期段階、ウトウト眠くなること)、昏睡、認知機能低下などが起こります。

低ナトリウム血症の治療

細胞外液量の状態により治療方針が異なります。

細胞外液量が減っている場合、欠乏しているナトリウムを補います。
細胞外液量が増えている場合、水の摂取を制限し、場合によって利尿薬の投与により水を排泄させます。

水排泄障害がある場合、V2受容体拮抗薬などが投与される場合があります。

高ナトリウム血症とは

体内の血清ナトリウム濃度が上昇し体液が濃くなった状態になることで起こります。
水排泄過剰と水摂取不足により生じるものです。

口渇感が低下した高齢者や自発的に水が飲めない乳児、輸液量が不十分な入院患者などに多くみられます。

血漿が高張になることから細胞内脱水が起き、脳萎縮による神経症状が現れます。

高ナトリウム血症の原因

水が飲めない状態が続くことや、体の水分が不足しているのに喉の渇きを感じない高齢者が水を飲まない、下痢や発汗後にそれに見合った水分補給がない、利尿薬の使用、尿崩症、ナトリウムの過剰摂取(海で溺れたときなど)、などが原因で起こります。

高ナトリウム血症の症状

口渇感(高齢者などで感じない場合もある)、発熱(高熱)、痙攣(けいれん)などが起こります。重症の場合、昏睡、くも膜下出血脳出血、などが起こる場合もあります。

慢性の場合症状は軽度であることが多くなります。

高ナトリウム血症の治療

欠乏している水を補う為、水の経口摂取、5%ブドウ糖の輸液(点滴)、などが行われます。

細胞外液が増加している場合、利尿薬を用いてナトリウムを排泄させます。

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参考文献

複雑な腎臓の機能や体液、浸透圧の計算などを詳しく知りたい方にお勧めです。
病気がみえる vol.8: 腎・泌尿器
医療情報科学研究所 (編集)

「腎臓病の最新治療」
川村 哲也、湯浅 愛 (監修)

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