骨粗鬆症の原因 症状 検査 予防 治療 食事と骨の代謝について

骨の代謝、骨粗鬆症とは何か、骨粗鬆症の原因、症状、検査、治療、予防、食事等について解説します。

骨粗鬆症

骨の代謝

はコラーゲン組織やミネラル(主にカルシウムやリン)などにより構成されています。骨の表面は骨膜という組織に覆われ、その内側には皮質骨(ひしつこつ:硬くて丈夫な骨)と海綿骨(かいめんこつ:皮質骨より軟らかくしなやか)の2種類の骨があります。

骨は常に吸収(骨吸収)と再生(骨形成)を繰り返して組織の更新を行っています。吸収、再生の1サイクルはおよそ3~6ヶ月で終了し、全身のあらゆる場所で行われます。
これを骨のリモデリングといいます。

骨のリモデリング

骨のリモデリングは荷重に対する適応も同時に行っています。このため宇宙飛行士が無重力状態で生活すると、荷重が全くかからないので、骨量が大幅に減ってしまいます。これは寝たきりや運動不足でも骨が弱くなってしまうことを意味します。

また骨に損傷があった場合もリモデリングにより修復されます。

骨吸収と骨形成

古くなった骨が分解・吸収される過程を骨吸収といい、再生される過程を骨形成といいます。

骨吸収は破骨細胞と呼ばれる多核の巨細胞により行われます。破骨細胞により分解された部分には骨芽細胞という細胞が誘導され、コラーゲンを分泌し骨形成を行います。骨芽細胞は自ら骨基質に埋入し骨細胞となります。

骨密度骨質

骨の強度は骨密度骨質の2つの要素により決まります。その割合は骨密度70%と骨質30%です。

骨密度は骨の中のミネラル(主にカルシウム)量により表され、骨質は骨の構造やコラーゲンの状態、石灰化度などの品質を意味しています。

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骨粗鬆症とは

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は骨の強度が低下することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。
閉経後の女性に特に多くみられる傾向があります。

骨の強度の低下とは、骨密度の低下と骨質の劣化が合わさったものです。

高齢者の骨折は寝たきりとなる原因の一つで、動けない生活がさらに骨の強度を低下させるという悪循環を生みだします。

骨粗鬆症の原因

骨粗鬆症には原発性と続発性のものがあります。原発性は閉経や加齢が原因で起こるものです。通常、骨粗鬆症といった場合は原発性を指します。

原発性骨粗鬆症の原因

加齢や遺伝的要因に加え、食生活(カルシウム摂取不足等)、運動不足、喫煙、アルコール等の生活習慣などが原因となります。

特に女性の場合、閉経と共に女性ホルモンであるエストロゲンが欠乏することが大きな要因となります。エストロゲンは破骨細胞の働きを抑制し骨吸収を抑える働きがあります。

エストロゲンが減少すると急速に骨吸収が進みますが、骨形成はそれに追いつかない状態となり、骨量が低下します。

母親が脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ:骨密度低下等により僅かな力で骨折してしまうこと)したことがあるなど家族に骨折歴がある人は特に注意が必要です。

続発性原発性骨粗鬆症の原因

続発性原発性骨粗鬆症は他の疾患に伴って発症する骨粗鬆症です。
以下のような疾患や病態があります。

性腺機能不全、クッシング症候群、ステロイド性骨粗鬆症、副甲状腺機能亢進症、胃切除後吸収不良症候群、原発性胆汁性肝硬変慢性腎臓病糖尿病等の生活習慣病骨粗鬆症、不動性・宇宙空間(無重力)、関節リウマチ、アルコール多飲(依存症)

骨粗鬆症の症状

自覚症状は無い場合も多く、骨折することで、骨が弱っていることに気付く、ということが多く起こります。

背骨の圧迫骨折は半分くらいが知らない間に骨がつぶれ、強い痛みを感じずに骨折しているということも多いです(形態骨折)。

自覚症状がある場合は、背中や腰に痛みを感じる背中や腰が曲がる2~4cm以上背が低くなる、ということが起こります。高齢になりこれらの症状が現れた場合、圧迫骨折の疑いがあります。

骨折する前に骨粗鬆症に気付く為には、検診・検査を受けるしかありません。
原発性骨粗鬆症は骨密度の大幅な低下や脆弱性骨折により診断されます。

骨粗鬆症により特に骨折しやすい場所は、背中や腰、足のつけ根、手首、肩の4ヶ所です。転んだり、ちょっとぶつけただけで骨折してしまうということが多く起こります(臨床骨折)。

骨粗鬆症の検査

骨粗鬆症の検査は、症状が無いうちに行う骨密度の検査と、骨密度が低い場合や何らかの症状がある場合に行う精密検査の2つがあります。

骨密度の検査

骨密度の測定は自治体の検診を受けることで知ることができます。
国が行う骨粗鬆症検診は40、45、50、55、60、65、70歳という節目に女性を対象に行われているので、保険所や役所に問い合わせてみると分かります。

検診は生活習慣や食事などの問診と、測定機器による骨量検査が行われます。

検診の結果、骨密度が一定のレベルに達していない場合、医療機関にて二次検査(骨粗鬆症の検査)を受けることになります。

骨粗鬆症の精密検査

痛みや骨折など骨粗鬆症の疑いがある場合や検診で骨密度が低かった場合は、骨粗鬆症の精密検査が行われます。

検査内容は、問診、身体所見、脊椎のエックス線検査、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)や超音波による骨密度検査、骨代謝マーカーを含む血液検査・尿検査、などです。

早期の圧迫骨折の診断にMRI検査が行われる場合もあります。

骨粗鬆症の予防と治療、食事

骨粗鬆症の予防と治療には共通するものがいくつかあります。
以下の要因を改善することは予防になると共に、すでに骨粗鬆症の人は治療効果があります。

カルシウム摂取不足、ビタミンD摂取不足と日照不足、ビタミンK摂取不足、リン過剰摂取、食塩過剰摂取、極端なダイエット、運動不足、長期臥床(がしょう:寝たままでいること)、喫煙、アルコールの過剰摂取、コーヒーの過剰摂取。

骨粗鬆症の食事と日照不足

カルシウム摂取不足

カルシウムは骨の主成分です。

牛乳・乳製品、豆類、緑黄色野菜、魚介・海藻類などを食べることでカルシウムを摂取できます。

カルシウムを摂る際は、マグネシウムの摂取も必要となります。
マグネシウムは海藻、ナッツ、豆類などに多く含まれています。

ビタミンD摂取不足と日照不足

ビタミンDはカルシウムの吸収を促進します。

キクラゲ、サケ、干しシイタケ、うなぎ、塩ざけ、さんま、卵黄やきのこなどに多く含まれます。

また直射日光を浴びることでビタミンDは皮膚でも作られます。
窓を開け、顔と肘から先の腕を太陽の光に15分以上当てることで骨に必要なビタミンDが生成されるといわれています。

ガラス越しでは効果が得られません。UVクリームを塗っている場合は長めに日に当たる必要があります。

ビタミンK摂取不足

ビタミンKはカルシウムの骨への沈着を促進したり、カルシウムが骨から流出するのを防ぎます。

納豆、ブロッコリー、ほうれん草、モロヘイヤ、パセリ、アシタバ、のり等に多く含まれています。

リン過剰摂取

リンはインスタント食品、加工食品、清涼飲料水などに多く含まれています。
これらを控え、なるべく自然のものを食べるようにすることでリンの過剰摂取を防げます。

アルコール、コーヒー等の過剰摂取

アルコールやカフェインは、カルシウムの尿への排泄増加につながります。

蛋白質を摂取する

蛋白質(タンパク質)は骨にとって大事なコラーゲンを作ります。

コラーゲンは鶏の手羽先や皮、豚足、フカヒレ、うなぎ、などのプルプルしたものに多く含まれますが、それだけではなく、肉類、魚類、牛乳・乳製品、大豆製品などの蛋白質をバランス良く食べることが大切です。

運動療法

運動することで骨量の維持や増加を図ることができ、筋力を上げることは転倒の予防になります。

年齢の若い人はウエイトトレーニング(筋トレ)やテニス等の無酸素運動の効果が高く、中高年の人はストレッチやウォーキングなどを行うとよいでしょう。

薬物治療

骨折を予防する薬

骨代謝調整薬は腸管からのカルシウム吸収率をアップさせます。主に活性型ビタミンD3製剤が使われます。副作用として高カルシウム血症が起こる場合があります。

骨吸収抑制薬は破骨細胞に作用し骨吸収(骨の分解)を抑制します。代表的なものにビスホスホネート製剤、SERM(サーム)、デノスマブがあります。

骨形成促進薬は骨芽細胞に作用し骨形成を促進させます。活性型ビタミンD3製剤やビタミンK2製剤、PTH製剤などが用いられます。

痛みを抑制する薬

カルシトニン製剤により痛みを抑えます。

薬の副作用

以下の副作用が起こる場合があります。

活性型ビタミンD3製剤:高カルシウム血症
ビスホスホネート製剤:胃腸障害、顎骨壊死
SERM(サーム):深部静脈血栓症
デノスマブ:低カルシウム血症
PTH製剤:高カルシウム血症

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参考文献

「病気がみえる vol.3: 糖尿病・代謝・内分泌」
医療情報科学研究所

「骨粗鬆症の最新治療―いまからでも実行できる寝たきりにならない方法」
石橋 英明 (監修)

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