オキシトシンとは ストレス緩和 社交性を高める愛情ホルモン

オキシトシンとは何か、愛情ホルモン、幸せホルモンであるオキシトシンの社交性を高めストレスを緩和する等の心と体の健康面への作用について解説します。

愛

ここでは、「人は愛することで健康になれる」(高橋徳 著)という書籍に基づいて、普段の生活でオキシトシンがどのように作用しているのかについて考えてみます。

オキシトシンとは

オキシトシンは脳下垂体後葉から分泌されるホルモンです。
オキシトシンの臨床で重要となる作用については下記に説明しました。
下垂体後葉ホルモン オキシトシン バソプレシンの基本的な作用について

授乳中の母親はオキシトシンが分泌されることで不安を感じにくく、ストレスは軽減されます。これらからオキシトシンが出産や授乳など育児の為に大切なホルモンであるということが分かります。

さらに高橋先生の本の副題は「愛のホルモン・オキシトシン」です。これまで「愛」や「愛情」という抽象的な概念と思われていたものについてもオキシトシンで多くのことが説明可能になってきています。

子育てに限らず男女共にオキシトシンが分泌されている状態というのは、ストレスや不安、恐れを感じにくい状態であり、人を信頼する気持ちが起こりやすい状態であるとのことです。

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社交性とオキシトシン

オキシトシンが分泌されている母親は子供の面倒見が良く、愛情豊かな人と言えそうです。
スキンシップの多い子供はやはりオキシトシンが多く分泌され、将来においても体質的にオキシトシンが分泌されやすくなるようです。

スキンシップが少ないと、子供はオキシトシンが分泌されにくく、ストレスを抱えやすくなります。ストレスがかかった状態では副腎からコルチゾールが分泌され、マウスの実験ではコルチゾール過多のマウスは相手に対して敵対的になるそうです。

このことは、最近増えているいわゆるキレやすい人による犯罪の原因なっていると推測できます。幼少期に十分に愛情を注がれなかった人はオキシトシンの分泌が少なく、人(動物などにも)に対して敵対的になりやすいといえるでしょう。

またオキシトシンの分泌が少ないと、人と一緒に居ることが心地良いと感じられず、人と距離を置く傾向があるようです。さらに相手の目を見て話す人はオキシトシンが良く分泌されている傾向があるとのことです。

社交性とオキシトシンには密接な関わりがありそうです。

受け継がれる育児パターン

母親に虐待を受けたり、孤児院で育った女性は育児の場面で子供に挑戦的な態度を取ってしまう傾向があるとのことです。虐待を受けた子供が大人になったとき必ずしも子供に虐待を加えるわけではありませんが、虐待する母親の70%は過去に虐待を受けた人達です。

この虐待の傾向は生後すぐに親から離されたサルの実験でもはっきり現れます。
また虐待を受けたサルは50%以上の確率で自分の子供に虐待を加えるそうです。

世話好きな母親は乳幼児との接触後にオキシトシン濃度が高まり、そうでない人は増加しないそうです。これは機械的に育児をしてもストレスが軽減されないことを表します。

どうやら義務的に育児をする人は乳幼児と接触することでストレスが増し、オキシトシンが分泌された状態で子供と接触する人は、その行為自体がストレス軽減になるので育児が喜びにつながりやすいようです。

もちろん母親のそのときの気分や体調などもありますが、オキシトシンの分泌は育児ノイローゼにも大きく関係しているといってよいでしょう。

育ての親が重要

ラットの実験では、子育てに熱心な母親から生まれても、子育てに熱心でない母親に育てられると、子供が親になったとき子育てを熱心にしないそうです。逆に子育てに熱心でない母親から生まれても、子育てに熱心な母親に育てられると、親になったとき自分の子供を熱心に育てるそうです。

これはオキシトシンの分泌が遺伝するのではなく、後天的に決まることを表しています。
もし親に育児放棄されても、子供に愛情を注げる人が代わりに面倒を見れば、子供は愛情豊かに(オキシトシンがよく分泌する子に)育つということを示唆しています。

恋愛とオキシトシン

恋愛においてオキシトシンが分泌されるのは言葉を使わない愛情表現を感じる時だそうです。特にカップルになってから6ヶ月の間は男女共にオキシトシンの合成及び分泌が高まります。

性行為においては男女で分泌のタイミングが異なりますが、快感が強いほど分泌量は増えるようです。

男性の鼻腔からオキシトシンを吸入させると、性的興奮が高まるとのことです。
また性欲が低下した男性に投与すると能力が回復したという報告があるそうなので、EDなどの治療にも使えるかもしれません。

オキシトシンとバソプレシン

オキシトシンは同じ下垂体後葉ホルモンであるバソプレシンと表裏一体の関係にあるとのことです。その理由にオキシトシンが子供やパートナーに対して等、利他的に作用するのに対して、バソプレシンは自分を守るため(水分の保持、血圧コントロール、興奮など)に働くこをと挙げています。

さらに視床下部でバソプレシン濃度が上昇すると不安や攻撃性が増加するとのことです。
利他的なオキシトシンと利己的なバソプレシン、片や愛情を司り、もう一方は不安や恐れ、と相互補完関係にあるというのはとても興味深いものです。

オキシトシンを分泌させるには

オキシトシンが分泌される状態というのはストレスが緩和され不安や恐れが抑えられた状態です。麻薬として知られるMDMAはこのオキシトシンを大量に分泌させる作用があり実際医療現場で治療に使われることもあるようですが、使用方法、使用量を厳格にコントロールしないと大きな危険を伴います。

オキシトシンを分泌させるには、育児などの他に、「肌の触れ合い」「温かい空気」「心地良い音」などの感覚刺激が有効のようです。
鍼治療の効果についての記述も本にありますが、信頼関係がある人同士のスキンシップは恋人や家族以外でもオキシトシンの分泌を促します。

動物がグルーミング(毛づくろいなど)し合うことはお互いのオキシトシン分泌を促し、治療効果も大きいとのことです。

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参考文献

人は愛することで健康になれる (愛のホルモン・オキシトシン)
高橋徳 知道出版 2014-12-17
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by ヨメレバ

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