膵炎とは 急性膵炎 慢性膵炎 自己免疫性膵炎の原因 症状 治療について

膵炎とは何か、急性膵炎と慢性膵炎(膵石症)、自己免疫性膵炎の原因、症状、検査、治療、食事について解説します。

飲酒 膵炎とは何らかの原因により膵臓に炎症が起こる病気のことで、急性膵炎慢性膵炎があります。その中でも原因不明のものを特発性といい、それぞれ特発性急性膵炎特発性慢性膵炎とよびます。

急性膵炎とは

膵臓の分泌する酵素が活性化され、膵臓自身や周囲の臓器を自己消化することで炎症などが起こる病気です。飲酒する中高年男性に多くみられる傾向があります。

たんぱく質を分解する酵素であるトリプシンは、通常膵臓内ではトリプシノーゲンという酵素としての働きを抑えられた前駆体の状態になっています。本来、消化酵素として作用するのは十二指腸に流れ出してからです。

しかし何らかの原因で膵臓内でトリプシノーゲンが活性化されトリプシンになってしまうと、他の消化酵素も活性化され、臓器の炎症などを引き起こすことになります。膵臓内でなぜこのような酵素の活性化が起こるのかはまだ十分に原因が解明されていません。

重症化すると特定疾患(難病)になる

急性膵炎は症状や検査から軽症急性膵炎重症急性膵炎の2つに分けられます重症急性膵炎と診断された場合、特定疾患(難病)の扱いとなります。 重症急性膵炎は膵臓以外の臓器に異常が生じることで致死率も高くなります。

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急性膵炎の原因

急性膵炎の原因として最も多いのはお酒(アルコール)の飲み過ぎで、次が胆石によるものと原因不明の特発性のものです。

ただし女性の場合は胆石によるものが最も多く、次に特発性のものとなっており、アルコールが原因のものは少ないようです。

他に慢性膵炎、手術や治療・薬剤によるもの、脂質異常症、膵腫瘍、腹部外傷、ウイルス感染などが原因となり得ます。

急性膵炎の症状

発症直後は、お腹の上部・へその上・胃の部分などの痛み、悪心(おしん:吐き気やむかつきなど)・嘔吐、背中や腰の痛みなどが起こります。

進行すると腹部が硬くなります。

重症の場合、発病直後から腹部全体に激しい痛みを感じ、それが長く続きます。

重症急性膵炎の症状

重症急性膵炎では、膵臓以外の臓器も侵される為、血圧の低下、意識障害、呼吸困難、高熱、皮下出血、尿量減少などが起こります。

黄疸急性腹膜炎肺炎、膵仮性嚢胞、膵腫瘍、急性腎不全、麻痺性イレウス、などが引き起こされる可能性があります。

急性膵炎の検査

血液検査、尿検査、腹部超音波検査、腹部X線、CT検査などが行われます。

急性膵炎の治療

保存的治療(手術を行わない治療)が基本となります。 絶飲食、輸液(水分や栄養の補給)などに加え、薬物療法として、蛋白分解酵素阻害薬、抗菌薬、鎮痛薬などが投与されます。

重症の場合、腎不全の対処として血液濾過透析を行い腎機能の回復を待ちます。 黄疸や胆石への対処として内視鏡的治療が行われる場合もあります。
膵臓の激しい炎症や壊死した部分を手術により切除する場合もあります。

急性膵炎の食事について

発症直後は軽症でも膵臓の安静が必要となるので、絶飲食を行わなくてはいけません。
腹痛や吐き気などの症状が無くなり、血液中の膵酵素の値が正常になれば回復に向かっているということなので、口から食事を摂ることが可能になります。 特にお粥などにする必要はありませんが、最初は蛋白質(たんぱく質)を重点的に摂るようにします。カロリーや脂肪は最初は控えめにし徐々に増やしていくようにします。

アルコールが原因の膵炎の場合は、その後のアルコール摂取のコントロールが病気の再発予防につながります。

慢性膵炎(膵石症)とは

慢性膵炎は膵臓の組織に慢性の炎症が生じる病気です。
膵臓の正常な細胞が壊れ、代わりに線維が異常に多くなります。

膵臓の中に膵石と呼ばれる石灰化した石が形成されることも多く、膵石症として区別される場合もあります。

膵臓と十二指腸をつなぐ膵管が不正に広がって膵臓が小さくなり、表面に凸凹が現れます。膵臓の細胞が壊れて減ることで膵臓の働きは悪くなり、食物の消化や吸収力が落ちます。
病気が進むと糖尿病を合併するようになります。

発病してすぐの時期を代償期といい、移行期非代償期と経過により3つの時期に分かれます。

長期にわたってお酒を沢山飲む中高年男性に多くみられる傾向があります。

慢性膵炎(膵石症)の原因

最も多いのはお酒(アルコール)の多飲によるもので、慢性膵炎の約6割を占めています。
2番目は原因不明の特発性のものです。

女性の場合は特発性のものが多く(約4割)、アルコールが原因のものは2番目(約2.5割)です。

他の原因として、胆石、急性膵炎、自己免疫性、膵管非融合、脂質異常症、遺伝性のもの等があります。

慢性膵炎(膵石症)の症状

代償期(初期)は、上腹部の痛み、背中の痛み、膨満感(お腹の張り)、圧痛(手で押すと痛む)などです。
移行期には人によって様々な症状が現れるようになり、非代償期では、口の渇きなどの糖尿病の症状や消化不良による便の悪臭、脂肪便、下痢、体重減少などが起こります。

慢性膵炎(膵石症)の検査

血液検査、尿検査、腹部超音波検査、腹部X線、CT検査、MRI、超音波内視鏡検査。
膵管像の確認にMRCP検査、ERCP検査。
膵臓の機能検査として、PFD試験、便中脂肪量、経口ぶどう糖負荷試験、グルカゴン試験などが行われます。

慢性膵炎(膵石症)の治療

代償期

代償期の治療は痛みを抑えることが主体となります。
その為に、生活習慣の改善として、禁酒、禁煙、低脂肪食、精神的ストレスを避ける、といった指導が行われます。

薬物療法として、NSAIDs、抗コリン薬、鎮痙薬、蛋白分解酵素阻害薬、消化酵素薬などが投与されます。

膵石への対処として、ESWL(体外衝撃波結石破砕療法)や内視鏡的治療が行われることがあります。
また、保存的治療で痛みが取れない場合、外科的治療として、膵管減圧術や膵切除術が行われることもあります。

非代償期

禁酒、禁煙に加え、消化吸収不良を補う為の高カロリー食を摂るようにします。

薬物療法として、消化酵素薬の大量投与、酸分泌抑制薬(H2受容体拮抗薬、プロトポンプ阻害薬)、ビタミン剤などが投与されます。

膵性糖尿病に対する治療として、インスリン治療などが行われます。
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慢性膵炎の食事について

腹痛などの症状があったり、膵臓に炎症が残っている場合は絶食しなくてはなりません。
回復期は禁酒も重要です。アルコールは食欲増進作用もあり、胃腸に負担がかかる上に膵液の分泌を促すので、膵臓に大きな負担がかかります。特にアルコールが原因の膵炎の場合は、飲酒のコントロールが困難になりがちなので注意する必要があります。

脂質は膵臓に負担をかけるので、制限して摂るようにします。
食事の経口摂取が可能になった時期は1日10~15g、普段でも30~40gくらいに抑えるようにします。

糖質は膵臓に負担が少ないので、脂肪の割合を減らし、炭水化物(米や小麦、イモ類)をその分増やすようにします。

たばこや刺激の強い香辛料は控えるようにします。
カフェインは胃液の分泌を促し膵臓にも刺激を与えるのでコーヒーは控えるようにし、緑茶や紅茶も大量摂取は控えます。 自己免疫性膵炎

自己免疫性膵炎とは

自己免疫性膵炎は、その名の通り自己免疫疾患の一つで、自分の体の構成部分を異物とみなした免疫の異常反応と考えられる膵炎です。

45歳以上の男性に多くみられます。

胆汁が流れる胆管が細くなり、リンパ管、耳下腺、甲状腺、腎臓、後腹膜など膵臓以外の多くの臓器や部位に様々な病状が現れます。
膵臓がんや胆管がんと間違われやすいので注意が必要です。

自己免疫性膵炎の原因

なぜこのような自己免疫の異常が起こるのかは不明です。

自己免疫性膵炎の症状

最も多くみられるのは黄疸(おうだん:眼球の白目部分が黄色がかったり、皮膚が黄色く沈着する)で、次に腹痛、背中の痛み、腹部不快感などです。
激しい上腹部の痛みなどは通常起こりません。

糖尿病を新たに発病することも多く、血糖コントロールの悪化や口の渇き、体重減少などが起こる場合もあります。

自己免疫性膵炎の治療

治療の基本はステロイドホルモンの投与です。
一部の症例では自然治癒することもあります。

また黄疸や糖尿病の治療も行われます。

ステロイドを投与し症状の軽減が確認できたら、段々減量していきます。
ステロイドの長期投与は副作用の問題などがあるので注意が必要です。

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温めて治す

膵炎は体を温めることが効果的と医学博士の安保徹先生は述べています。
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西式甲田療法

西式甲田療法では、胃腸病や自己免疫疾患が治った例が多数報告されています。
ただし必ず専門家の指導の元行うようにしてください。

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参考文献

「膵臓の病気 改訂新版 (専門のお医者さんが語るQ&A)」
小泉 勝  著

「病気がみえる 〈vol.1〉 消化器」
医療情報科学研究所 (編集)

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