黄体機能不全 月経前症候群 月経困難症の原因 症状 治療について

無排卵周期症、黄体機能不全、月経前症候群 、月経困難症の原因、症状、治療について解説します。

生理

無排卵周期症とは

月経時の出血はあるものの、排卵を伴っていない病気です。
月経周期は不順なことが多く、月経持続期間も短かったり長かったりします。

不妊の原因になることもあります。

無排卵周期症はある程度の卵巣機能は保持されているが排卵が起きない状態です。そのため子宮内膜の増殖と月経様の子宮出血がみられます。

尚、思春期や更年期、授乳期の無排卵は生理的なもので病気ではありません。

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無排卵周期症の原因

思春期では卵巣が未成熟であり、更年期では卵巣の機能が低下するので無排卵になることがあります。

病的な無排卵はストレス、過度なダイエットなどによる体重減少、高プロラクチン血症多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが原因で起こります。

無排卵周期症の症状

頻発月経希発月経過多月経・過長月経過少月経・過短月経不正出血、不妊などが起こります。

無排卵周期症の治療

挙児希望の有無(子供を産みたいかどうか)により治療は異なります。

挙児希望がある場合、排卵を誘発するためのクロミフェン療法ゴナドトロピン療法が行われます。

クロミフェン療法

抗エストロゲン作用をもつ排卵誘発剤クロミフェンを経口投与します。

クロミフェンにより視床下部はエストロゲンの分泌が低いと認識しゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)を分泌します。すると、下垂体前葉から性腺刺激ホルモンである黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されることで卵巣の発育が促進され排卵を起こします。

尚、クロミフェンには抗エストロゲン作用があり、頸管粘液分泌低下、子宮内膜発育不良を引き起こします。このため妊娠が得られない場合、長期投与は避ける必要があります。

ゴナドトロピン療法

クロミフェン療法の効果がない場合、ゴナドトロピン療法が行われます。

FSH作用(卵胞刺激ホルモン)をもつhMG製剤またはFSH製剤を投与して卵胞の発育を促進させます。
一定の大きさまで発育したらLH作用(黄体形成ホルモン)をもつhCGを投与して排卵を誘発させます。

副作用として多発排卵による卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠の可能性があります。

黄体機能不全とは

黄体からのプロゲステロン分泌不全により、黄体期の短縮や機能性出血が起こるものです。

エストロゲン、プロゲステロンに作用不足により子宮内膜の発育が不十分になり、不妊をきたします。

仮に着床しても黄体は早期に退縮してしまうので妊娠が維持できません。

黄体機能不全の原因

詳細な原因は不明ですが、視床下部ー下垂体ー卵巣系の内分泌異常に加え、子宮内膜の発育異常などが絡んで発症すると考えられています。

黄体機能不全の症状

不妊、不育、月経不順が起こります。

基礎体温の変化にて、通常は排卵期以降に体温が上昇する期間が10日以上続きますが、これが10日以内になります。

低温相から高温相の以降に3日以上かかる、温度差が0.3℃以内(通常は0.3~0.6℃)、高温の期間が途絶える、などが起こります。

黄体期中期の血中プロゲステロン値が10ng/mL未満になります。

黄体機能不全の治療

不妊治療として下記の治療が行われます。

排卵を誘発するために、クロミフェン療法、ゴナドトロピン療法が行われます。

黄体補充療法として、黄体賦活療法、黄体ホルモン補充療法が行われます。

黄体賦活療法とは、黄体期にhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を投与し黄体を刺激します。黄体ホルモン補充療法は黄体ホルモン自体を投与します。

高プロラクチン血症がある場合、ドパミン作動薬が用いられます。

月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome)とは

月経前3~10日の間に続くイライラなどの精神症状や頭痛などの身体的症状で月経と共に消失または減退するものです。

40歳以降の更年期に多くみられます。

特に精神症状が強く日常生活に支障をきたすものを月経前不快気分障害と呼ぶことがあります。

月経前症候群の原因

原因は不明ですが、エストロゲンとプロゲステロンの不均衡、中枢ホルモン異常、カルシウム低下などによるものと考えられています。

月経前症候群の症状

精神症状として、イライラ、怒りっぽい、抑うつ状態、不安感などが起こります。

身体的症状として、乳房痛、頭痛、顔や手足の浮腫(むくみ)、腹部膨満感などが起こります。

これらの症状は月経開始と共に消失または減退します。

月経前症候群の治療

症状に応じた対症療法が行われます。

適度な運動、水分・塩分の摂取制限などが生活指導として行われる場合があります。

SSRI(抗うつ薬)、NSAIDS(エヌセイズ:非ステロイド性抗炎症薬)、漢方薬などが処方されることがあります。

低用量経口避妊薬(ピル)による排卵抑制が行われる場合があります。

浮腫症状に対して利尿薬が用いられる場合があります。

月経困難症とは

月経と共に起こる諸症状が日常生活に支障をきたし治療の対象になるものです。

月経直前や開始とともに起こり、月経終了前や終了時に消失します。

機能性(原発性)と器質性(続発性)に分けられます。

機能性は10代後半~20代前半に多くみられ、器質性は30歳以降に多くみられます。

月経困難症の原因

子宮内膜にて産生されるプロスタグランジンが多くなることが分かっています。
この多量に分泌されたプロスタグランジンが子宮筋を過度に収縮させ、血管の攣縮(れんしゅく)や子宮筋の虚血(血流が不足すること)などを引き起こし症状が現れると考えられています。

機能性の場合、骨盤内に器質的な問題はありませんが、子宮頸管の狭小が原因の場合があります。

器質性の場合、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫などが原因となります。

プロスタグランジンとは

プロスタグランジンは、炎症症状の発現時にサイトカインとともに放出され痛みを誘発する物質です。

月経困難症の症状

月経直前や月経開始時と共に、下腹部痛、腰痛、腹部膨満感、悪心、頭痛などが強く現れます。

機能性の場合、月経の第1~2日目に症状が強く、1日で軽減することが多いです。
また、妊娠や分娩を経験すると症状の改善や消失が起こることが多くあります。

器質性の場合、月経4~5日前から月経後まで続き、持続性の鈍痛であることが多いです。

月経困難症の治療

機能性月経困難症の場合、NSAIDs(プロスタグランジン合成阻害薬)や平滑筋を弛緩させるためのブチルスコポラミン、排卵を抑制するための低用量経口避妊薬(ピル)などが用いられます。

器質性月経困難症の場合、対症療法を行いながら原因となる疾患の治療が行われます。

参考文献

「病気がみえる vol.9: 婦人科・乳腺外科」
医療情報科学研究所 (編集)

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