脊髄の構造 中枢神経と末梢神経 運動と感覚 脊椎 脊髄神経等について

中枢神経と末梢神経、脊髄とは何か、脊髄の構造、脊椎、脊柱、脊髄神経などについて解説します。

脊髄

中枢神経系と末梢神経系

中枢神経系は脳と脊髄からなり運動、感覚、自律機能などを統括しています。

中枢神経

末梢神経系は末梢の各器官と中枢神経系とを結ぶもので、脳や脳幹から伸びる脳神経と脊髄から伸びる脊髄神経(下記)に大別されます。

神経系を構成するニューロンとグリア細胞

神経系はニューロン(神経細胞)とそれを支え、保護するグリア細胞(神経膠細胞:しんけいこうさいぼう)により構成されます。

ニューロンは情報の伝達や処理を行い、グリア細胞はニューロンを保護したり免疫に関与することで神経系が正常に働くことを助けています。

神経細胞

神経細胞の構造図 en:Dendrites=樹状突起、en:Rough ER (en:Nissl body)=粗面小胞体(ニッスル小体)、en:Polyribosomes=ポリリボソーム、en:Ribosomes=リボソーム、en:Golgi apparatus=ゴルジ体、en:Nucleus=細胞核、en:Nucleolus=核小体、en:Membrane=膜、en:Microtubule=微小管、en:Mitochondrion=ミトコンドリア、en:Smooth ER=滑面小胞体、en:Synapse (Axodendritic)=シナプス(軸索樹状突起) en:Synapse=シナプス、 en:Microtubuleen:Neurofibrils=微小管ニューロフィラメント、en:Neurotransmitter=神経伝達物質、en:Receptor=受容体、 en:Synaptic vesicles=シナプス小胞、en:Synaptic cleft=シナプス間隙、 en:Axon terminal=軸索末端、en:Node of Ranvier =ランヴィエの絞輪 、en:Myelin Sheath(en:Schwann cell)=ミエリン鞘(シュワン細胞)、en:Axon hillock=軸索小丘、 en:Nucleus (en:Schwann cell)=細胞核(シュワン細胞)、en:Microfilament=マイクロフィラメント、en:Axon=軸索

Wikiより

シナプス

ニューロン同士の接合部はシナプスと呼ばれ、電気的な情報を神経伝達物質による化学的な信号へ変換します。

神経伝達物質

神経伝達物質は数十種類以上あります。
以下に主なものを挙げます。

アミノ酸系

グルタミン酸

中枢神経系(脳)にてニューロンを興奮させる。

GABA

中枢神経系(脳)にてニューロンの興奮を抑制させる。

グリシン

脊髄、下位脳幹にてニューロンの興奮を抑制させる。

モノアミン系

カテコールアミン
ドパミン

身体の運動、意欲、学習などを引き起こす。

ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)

中枢神経系(脳)にてニューロンを興奮させる。

アドレナリン(エピネフリン)

交感神経を刺激する。

インドールアミン
セロトニン

気分、食欲、睡眠を制御する。

アセチルコリン

運動ニューロン、交感神経、副交感神経を興奮させる。

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脊髄(せきずい)と脊椎(せきつい)の構造

体幹の中心をなす脊柱椎骨が積み重なってできています。 積み重なった椎骨の中には脊柱管と呼ばれる空間があり、その中を脊髄が通っています。 脊髄は脳の延長として伸びる神経の束です。

脊椎

脊椎は7個の頸椎、12個の胸椎、5個の腰椎、5個の仙椎、3~6個の尾椎に分けられます。

脊柱

            背骨の模型

脊髄の模型

脊髄

脊髄は頸髄(8分節)、胸髄(12分節)、腰髄(5分節、仙髄(5分節)、一つの尾髄に分けられ、それぞれの骨節から末梢に脊髄神経が伸びています。

脊髄の構造

脊髄は脳と同様に3層構造の髄膜(内側から軟膜、くも膜、硬膜)に包まれ脊柱管を通っています。 椎骨と椎骨の間には椎間孔という隙間があり、そこを脊髄神経が通っています。 頸髄断面

脊髄(頸髄)の断面 Original Update by Polarlys

1.前角 2.後角 3.灰白交連 4.前索 5.側索 6.後索 7.前白交連 8.前正中裂 9.後正中溝  10.中心管 11.前根 12.後根 13.後根神経節

運動と感覚

運動を起こす(随意運動)とき大脳皮質の運動野(一次運動野)から命令を発し、脳の内包(大脳皮質に出入りする線維が通る部分)→脳幹脊髄または脳神経核運動器(手足、顔、舌など)と伝わっていきます。

このように中枢から末梢に情報が伝わることを遠心性といいます。

感覚を受け取る(温度や痛覚、触覚)ときは、皮膚などの感覚受容期脊髄脳幹視床内包→大脳皮質の感覚野と伝わります。

末梢から中枢へ情報が伝わることを求心性といいます。

脳の構造 大脳 大脳新皮質 大脳辺縁系 大脳基底核について
間脳(視床、視床下部)、脳幹、小脳の構造 場所 働きなどについて

運動

自分の意志で行う運動(随意運動)が起こるときには、最初に視覚(後頭葉)、聴覚(側頭葉)、体性感覚(頭頂葉)などで感じ、次に考える(前頭葉)ということを行い、運動を実行(前頭葉の一次運動野)します。

一次運動野から指令が出る時に大脳基底核では運動がなめらかにいくように調節し、小脳では運動の方向やタイミング、強さ、平衡感覚などを同時に調節します。

反射

反射は刺激によって不随意(意志とは無関係)に起こる筋収縮のことです。
反射には以下の3つがあります。

腱反射

腱などを叩打すると引き起こされる反射です。
腱反射のチェックとして診察時に膝の下をハンマーで叩くと意志とは関係なく足が動きます。

このとき足の動き方が過剰なら(亢進)上位運動ニューロン(錐体路)障害、足が動かなければ①感覚神経②下位運動ニューロンの障害③神経筋接合部の障害④筋の障害、のいずれかが考えられます。

この他に、下顎、上腕二頭筋・三頭筋、アキレス腱などでも同様に腱反射が起こります。

表在反射

皮膚または粘膜を刺激するとみられる反射です。

病的反射

何らかの疾患が原因で正常では起こらない反射がみられるものです。

感覚

感覚は体性感覚、内臓感覚、特殊感覚の3つに大別されます。

内臓感覚は空腹感や便意、血圧、体温等のことをいい、特殊感覚は視覚、聴覚、嗅覚、味覚、平衡感覚等をいいます。

体性感覚

体性感覚には表在感覚深部感覚があります。

表在感覚とは温痛覚や触覚のことです。

深部感覚には体の姿勢や振動など自分で意識できるものと、筋肉にかかる力など自分では意識できないものがあります。

脊髄障害

脊髄は障害された場所(障害レベル)が高い位置になる程ダメージは大きくなります。

頸椎の上部は呼吸に使われる筋肉に影響するので損傷すると致死的となります。
胸椎が損傷すると、手足、胴体の麻痺や感覚喪失につながります。
腰椎が損傷すると、下半身の麻痺や感覚喪失につながります。

また、感覚の伝導路は脊髄内で場所が異なります。
脊髄内のどこが障害されるかにより感覚障害のパターンは変わってきます。

以下、図の赤い斜線は脊髄内の損傷した場所です。

横断性障害

全面的に損傷がある場合、障害レベル以下の全感覚低下となります。

背中側

脊髄横断性障害

腹側

仮に頸椎で横断性障害となれば、全身麻痺や全身の感覚障害となり、腰椎の横断性障害ならば下半身の麻痺や感覚障害となります。

前方障害

前方部分の障害では障害レベル以下の温痛覚低下となります。

脊髄前方障害

温痛覚の伝導路は皮膚・粘膜→後根神経節→外側脊髄視床路→視床→体性感覚野とニューロンがつながっているので、外側脊髄視床路(がいそくせきずいししょうろ)が損傷すると温痛覚に問題が生じます。

後方障害

後方部分の障害では障害レベル以下の深部感覚低下となります。

脊髄後方障害

意識できる深部感覚(位置覚、振動覚)の伝導路は、皮下組織・筋・腱など→後根神経節→後索→視床→体性感覚野とニューロンがつながっているので、後索損傷すると意識できる深部感覚に問題が生じます。

尚、意識できる深部感覚大脳皮質の体性感覚野まで伝導されることで意識可能となりますが、意識できない深部感覚は大脳皮質ではなく小脳へ伝導されるので意識することはできないということになります。

中心部障害

中心部の損傷は主に脊髄空洞症により生じます。
障害レベルの温痛覚低下となります。

脊髄中心部障害

半側障害

左右の半分が障害されるものをブラウンセカール症候群といいます。

脊髄半側障害

図のように自分から見て左側が障害された場合、障害レベルの左半身の全感覚低下、障害レベルより下の左半身の深部感覚低下、障害レベルより下の右半身(反対側)の温痛覚低下となります。

温痛覚の影響が反対側の半身に現れるのは、脊髄にて温痛覚を伝導するニューロンは交叉し反対側の側索を走行しているからです。

温痛覚ニューロン

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参考文献

病気がみえる 〈vol.7〉 脳・神経
医療情報科学研究所 (編集)

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