不妊(不妊症)の原因と検査 男性不妊と女性不妊

不妊(不妊症)の原因と検査についてです。女性不妊、男性不妊それぞれの原因や検査について解説します。

不妊

不妊あるいは不妊症の定義としては「1年以上性生活を行っても妊娠しない場合」というものが一般的です。(従来は2年)

高齢になるほど不妊になる確率は高くなり、治療を受けても赤ちゃんを授かる可能性は下がります。

不妊(症)の原因

妊娠に至る過程として、男性側は精巣で精子を作り射精後、女性側から排卵された卵子と受精し、着床受精卵が子宮内膜に到着する)して妊娠に至ります。

この過程で何らかの異常があれば不妊となります。

スポンサーリンク

女性不妊について

女性側の問題として年齢が大きく関係してきます。

不妊症の頻度を年齢別にみると20代では10%未満、30~34歳で約15%、35~39歳は約30%、40~44歳で約65%となっており、40代以上では妊娠することが難しいことが分かります。

女性不妊の原因

内分泌・排卵に問題

視床下部、下垂体、卵巣に問題がある場合です。

ストレスや過度なダイエットによる体重減少、神経性食欲不振症高プロラクチン血症、甲状腺機能異常、糖代謝異常、シーハン症候群多嚢胞性卵巣症候群、早発卵巣不全、黄体機能不全などは月経・排卵、卵胞の発育、黄体形成に異常をきたす場合があります。

卵管に問題

卵管の閉塞・狭窄、卵管・卵管采癒着、卵管留水症など卵管に問題がある場合です。

クラミジア感染などの感染症、子宮内膜症、手術によるものなどが原因となります。

このうちクラミジアによるものが最も多いです。
クラミジアに関してはこちらを参照してください。
性病・性感染症の症状と郵送不要の検査キットについて

卵管の問題は女性側の不妊原因として最も多いですが、治療により解決できれば自然妊娠が望めます。

卵管に問題があるかどうかは卵管造影検査で判断します。

子宮に問題

子宮体部に問題がある場合と子宮頸管に問題がある場合があります。

子宮体部

子宮体部に異常があり、主に杯の着床が阻害されることが問題となります。

子宮筋腫、子宮奇形、アッシャーマン症候群などが原因となります。

子宮奇形が原因の場合、子宮形成術が行われます。

アッシャーマン症候群は子宮内膜掻爬など子宮内操作による外傷で子宮内腔に癒着が起こったものです。手術により治療します。

子宮頸管

子宮頸管や頸管粘液の状態が精子通過に不適切な状態であることが問題となります。

頸管粘液産生不全、頸管炎、頸管ポリープ、頸管狭窄などが原因となります。

頸管粘液産生不全にはホルモン療法、炎症には抗菌薬(抗生剤)の投与、ポリープがある場合は切除が行われます。

精子が頸管を通過できるか確かめるためにフーナーテストという頸管粘液内の精子を調べる検査が行われます。

免疫に問題

免疫異常があることが問題となります。

女性の精子に対する抗体として、主なものに抗精子抗体(他に抗透明帯抗体)があります。

抗精子抗体がある場合、妊娠するためには人工授精や体外受精が必要となります。

その他の問題

子宮内膜症の女性の20~40%は不妊症を伴います。
子宮内膜症と不妊の因果関係は不明の部分があります。

不妊の原因が分からない夫婦が10~20%います。
原因不明の不妊は原因不明不妊症あるいは機能性不妊症といいます。

男性不妊について

不妊というと女性側の問題に着目しがちですが、男性側に問題があって不妊となっているものも半数近くあるので、両者共にきちんと調べる必要があります。

男性不妊の原因

造精機能障害

男性が原因の不妊で最も多いものが造精機能障害です。

精索静脈瘤、停留精巣、クラインフェルター症候群などの染色体異常、視床下部下垂体機能障害、化学的・環境的要因、精巣炎などがあります。

精子の通過経路障害

先天的な発育不全、精管欠損症、両側精巣状態炎、医療によるもの、などがあります。

性機能障害

勃起障害(ED)、逆行性射精、遅漏、早漏などがあります。

内性器の炎症によるもの

精嚢炎、前立腺炎、精巣状態炎などがあります。

精液検査と精子の状態について

造精機能障害の有無など精子の状態は精液検査を行って確認します。
以下の異常がみられた場合、妊娠のためには不妊治療が必要となります。
ここではどのような不妊治療が必要かについて言及します。

膿精液症(のうせいえきしょう)

精液中の白血球が増加している場合、膿精液症となります。
抗菌薬(抗生剤)を投与し、改善すれば問題はありませんが、改善しない場合、人工授精による不妊治療が必要となります。

精子無力症

運動している精子が40%未満の場合、精子無力症となります。
人工授精による不妊治療が必要となりますが、運動率が15%以下の場合、顕微受精が必要となります。

また男性側に抗精子抗体(精子を異物とみなしてしまう)がある場合、受精が難しくなるため、顕微受精が必要となります。

奇形精子症

正常な形態の精子が4%未満の場合、奇形精子症となります。

まずは人工授精による不妊治療が必要となります。
異常の程度により体外受精、顕微受精から治療を始める場合もあります。

乏精子症(ぼうせいししょう)

精子濃度が1,500万/ml未満の場合、乏精子症となります。

まずは人工授精による不妊治療が必要となります。
異常の程度により体外受精、顕微受精から治療を始める場合もあります。

精液量減少

逆行性射精で精液が膀胱内へ逆流してしまうと精液量が減少します。
この場合、膀胱内の尿中精子を回収して人工授精を行うことができます。

尿中精子が無く精液量が減少している場合は、乏精子症または無精子症として対応します。

無精子症

精液中に精子が存在しない場合、無精子症となります。

精路閉塞がある場合、精路再建術が行われます。

精路閉塞がない場合、精巣内精子採取術(TESE)により精子を採取し、顕微受精を行います。TESEで得た精子は未成熟なので受精能力が低く、顕微受精が必要となります。 

不妊(症)の検査

女性の場合

女性の検査は種類が沢山あり、一通りの検査を受けると1ヶ月はかかるため3,4回通院する必要があります。

※記載した費用は「不妊治療を考えたら読む本」の著者である浅田先生のクリニックの場合です。

超音波検査

子宮や卵巣の病気の有無などの基本的なことは超音波検査で大体分かります。
費用は1500~6000円くらいです。

卵管造影検査

卵管が正常に通じているかを見る検査です。
通常はレントゲン検査で行いますが、超音波検査でも可能です。

費用は5000~15000円くらいです。

施設によって痛みを伴う場合がありますが、軽い詰まりであれば造影剤が通るときに治ってしまう場合もあり治療にもなり得る検査です。

血液検査

一口に血液検査と言っても様々な種類があり、検査項目によっては月経や排卵に合わせて行わなければならないものもあります。

費用は2~3万円くらいです。

以下は主な検査項目です。

LH-RHテスト

FSH、LHGnRHなどのホルモン分泌が正常かどうかを調べます。

月経周期3日目前後に行う必要があります。

PRL検査

プロラクチンの量を調べます。

月経周期2~5日目に行う必要があります。

プロゲステロン検査

プロゲステロンの量を調べます。

排卵の5~7日後に行う必要があります。

AMH検査

AMH(アンチミューラリアンホルモン:抗ミューラー管ホルモン)というホルモンの量を調べる検査です。

保険適用外で4000~8000円くらいかかります。

AMHの値が高いと卵子の数が多いことを示し、特に体外受精をした時に妊娠率が高いということになります。

AMHはその人の卵巣内の卵子の数を表しますが、自然妊娠の場合、卵子は量より質のほうが重要なため、AMHが低くても妊娠率には変わりありません。

AMHが低い場合、卵子は加齢と共に減少するので、早期閉経する可能性もあるということになります。

男性の場合

男性の場合、基本的な検査は精液検査で、そこにホルモンの状態を調べる血液検査が加わります。

精液検査

精液検査は自宅や病院でマスターベーションにより精液を採取し検査します。
専用クリニックではそのための個室が用意されていることが多いようです。

ただし同一人物でも日によって検査結果は大きく違うので1度の検査では結果を断定することはできません。最低2回は行う必要があります。

検査結果が思わしくない場合、泌尿器科の男性不妊の専門医のいる施設で診てもらうことを浅田先生は勧めています。(下記参考文献を参照してください) 

スポンサーリンク

参考文献

不妊治療を考えたら読む本 科学でわかる「妊娠への近道」 (ブルーバックス)
浅田 義正,河合 蘭 講談社 2016-07-20
売り上げランキング : 5093
by ヨメレバ

「病気がみえる vol.9: 婦人科・乳腺外科」
医療情報科学研究所 (編集)

スポンサーリンク