閉塞性動脈硬化症 エコノミー症候群 下肢静脈瘤等 血管の病気について

閉塞性動脈硬化症、バージャー病(閉塞性血栓血管炎)、深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症(肺塞栓症)、エコノミークラス症候群、下肢静脈瘤、レイノー病の原因、症状、治療について解説します。

血液

閉塞性動脈硬化症

末梢動脈疾患の一つです。動脈の狭窄(狭まる)・閉塞によって慢性的な血行障害が起こり、皮膚症状や筋肉の虚血症状などが現れる病気です。60歳以上の男性に多くみられます。

閉塞性動脈硬化症の原因

動脈硬化が主な原因です。
また、糖尿病高血圧脂質異常症、肥満、喫煙、ストレスなども原因となります。

閉塞性動脈硬化症の症状

手足のしびれ、冷感(手足など体の一部が冷たく感じる)、間欠性跛行(下記)などです。
安静時の疼痛(とうつう:様々な痛み)、指に潰瘍や壊死が起こる場合は重症虚血肢とされ、下肢切断(かしせつだん:足を切断すること)の可能性があります。

間欠性跛行/間歇性跛行(かんけつせいはこう)

歩いていると足に痛みやしびれを感じるようになるが、休息することで回復するという状態です。早足で歩いたり階段や坂道など足に強い負荷がかかると起こりやすくなります。

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閉塞性動脈硬化症の治療

治療は症状の度合いにより異なります。
末梢動脈疾患の症状は4つの段階に分けられています。(フォンテイン分類)

フォンテイン分類

(1)無症状の場合

動脈硬化の進行を抑えるために生活習慣の改善や、必要に応じて抗血小板薬、抗凝固薬、血管拡張薬、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬などを使用した薬物療法が行われます。

(2)間欠性跛行がある

(1)に加えて歩行・運動療法が行われます。
改善されない場合、血管内にカテーテルを使用し、ステントやバルーンによる血管拡張・血流確保や、人工血管置換術などの手術が行われる場合があります。

(3)安静時に疼痛がある

疼痛とは様々な痛みの症状があることです。
(2)同様の手術や腰部交感神経切除、薬物療法が行われます。

(4)潰瘍、壊死がある

(2)同様の手術が行われます。感染に対して抗菌薬(抗生剤)や抗炎症薬が投与されます。
患部となる足を切断することもあります。

バージャー病(閉塞性血栓血管炎)

末梢動脈疾患の一つで、特定疾患(難病)です。
バージャーとは報告者の名前でビュルガー病と呼ばれることもあります。
四肢の動脈の内側に炎症が起こり血流に障害が生じます。

バージャー病の原因

原因は不明ですが、特に喫煙者に多くみられる為、喫煙が大きな要因になっているようです。
また、白血球や自己免疫と関わりがあると考えられています。
他に、感染、栄養障害なども誘因とされています。

バージャー病の症状

初期症状は指の冷感、しびれ、レイノー現象(下記)などです。
症状が進むと間欠性跛行や安静時疼痛が現れ、指の潰瘍、壊死、静脈に炎症が生じることがあります。

バージャー病の治療

禁煙が重要になります。
閉塞性動脈硬化症の治療と同様フォンテイン分類に応じた治療が行われます。(上記)

深部静脈血栓症

足にうっ血(血液が溜まる)症状が起こる病気です。
病気などで長期間寝たままでいる人や、飛行機の中で長時間同じ姿勢でいる(エコノミークラス症候群)と起こりやすくなります。

深部静脈血栓症の原因

同じ姿勢のまま長時間いることで血液が停滞し、静脈の血流が滞り(とどこおり)、血栓が生じます。手術や外傷などで静脈壁が傷ついた結果血栓が生じる場合もあります。
また、脱水や妊娠、悪性腫瘍、外傷、薬物などで抗血栓システムと血液凝固システムのバランスが崩れ血栓が生じるということもあります。

深部静脈血栓症の症状

足の腫れ(はれ)、疼痛(とうつう:痛み)、熱を持った感じ、といった症状と共に皮膚が赤紫色に変化します。

深部静脈血栓症の治療

必要に応じて薬物療法(抗凝固薬や血栓を溶かす薬の投与)、カテーテルによる血栓の除去、下行大動脈にカテーテル式のフィルターを留置する、といった処置が取られます。

肺血栓塞栓症(肺塞栓症)

主に深部静脈血栓症に合併して起こる病気です。
静脈血栓が肺動脈まで運ばれ、閉塞を起こすものです。
心不全を起こす場合もあり大変危険です。

肺血栓塞栓症の原因

深部静脈血栓症と同様です。

肺血栓塞栓症の症状

突然の呼吸困難や胸痛、頻脈、などが生じます。
血痰、喀血、チアノーゼ(皮膚が青紫色になる)などが起こる場合もあります。

肺血栓塞栓症の治療

まず酸素投与が行われます。
心肺補助装置を用いて、心拍出量や低血圧症の改善を図ります。
肺血栓塞栓症の再発予防と共に、深部静脈血栓症の治療を行います(上記)。

エコノミークラス症候群(エコノミー症候群)

長時間のフライト時、姿勢を変えづらいエコノミークラスでよく起こることからこの名前がついていますが、他の座席や電車、バスなどの乗り物でも起こります。

長時間のフライトで深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症が起こることを指します。
症状や治療は上記の深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症をそれぞれ参照してください。

エコノミークラス症候群の予防

水分不足や長時間の同じ姿勢が血栓を生じさせます。
こまめに水分補給することと、体、特に足を軽く動かすなどの運動をすることで予防できます。

下肢静脈瘤

足の静脈弁(血液が心臓に逆流しないように一定の間隔で静脈に存在する)の機能不全により、皮膚のすぐ下にある静脈(表在静脈)が拡張したり蛇行したりする病気です。
30歳以上の女性に多く見られます。

下肢静脈瘤の原因

長時間の立ち仕事、妊娠、肥満、加齢などで起こりやすくなります。
遺伝やホルモンとの関係とも考えられています。

下肢静脈瘤の症状

血管が浮き出てきたり、皮膚の変色や浮腫(むくみ)が現れたりします。
毛細血管にできるとクモの巣状に浮き出てくることがあります。

倦怠感や足に熱を感じることもあります。
かゆみ、湿疹、潰瘍、夜間のこむら返り、などが起こることもあります。

下肢静脈瘤の治療

必要に応じて以下の治療を行います。

  • 圧迫療法として弾性包帯や弾性ストッキングなどを着用し表在静脈から深部静脈へ血液を流すようにし、血行を改善します。
  • 手術により患部の血管を抜去(ばっきょ:抜き去る)します。
  • 硬化療法として病変部に針で硬化剤を注入し、病変を小さくする方法もあります。
  • 血管内にレーザーを照射して静脈瘤を閉塞させる治療法もあります。

こちらも参考にしてください。
浮腫に関してはこちらも参照してください

レイノー病とレイノー症候群

レイノー病は原因不明の病気で40歳以下の女性に多くみられます。
レイノー症候群は原因となる病気(膠原病等)がありレイノー現象が起こるものです。

レイノー病とレイノー症候群の症状(レイノー現象)

レイノー現象と呼ばれる手足の指の血流低下が起こります。
指が冷たくなり蒼白になります。
しびれ、かゆみ、発汗などが起こります。

レイノー病とレイノー症候群の治療

手足を冷やさないようにして予防します。禁煙も大切です。
治療は血管拡張薬の投与や交感神経切除術などが行われます。

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参考文献

全部見える 図解 循環器疾患(スーパービジュアルシリーズ)
黒澤博身

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