アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)、顕微鏡的多発血管炎、好酸球性肺炎、過敏性肺炎(夏型過敏性肺炎など)の原因、症状、治療について解説します。
目次
アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)
アスピリンをはじめとしたNSAIDs(エヌセイズ:下記)の服用により誘発される喘息(ぜんそく)であり、COX1阻害薬に対する過敏症です。
副鼻腔炎や鼻茸を合併することが多く、女性に多くみられる傾向があります。
NSAIDsとは
NSAIDsとは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)のことです。
抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用がある薬剤の総称です。
風邪薬や鎮痛薬(頭痛薬)が該当します。
アスピリン喘息の原因
アスピリンなどのNSAIDs(風邪薬や鎮痛薬)の服用が原因で起こります。
アスピリン喘息の症状
咳、喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)、鼻づまり、呼吸困難などです。
アスピリン喘息の治療
喘息発作時の治療と同様です。
鼻茸を合併している場合はそちらの治療も行います。
顕微鏡的多発血管炎
小血管(細動脈、毛細血管、細静脈)に壊死性血管炎が起こり、主に肺と腎臓が障害される病気です。
50歳以上の高齢者に多くみられます。
※血管炎とは血管の壁に炎症が起こる病気です。
顕微鏡的多発血管炎の原因
正式な原因は不明です。
自己免疫疾患の原因についてはこちらの記事で言及しています。
⇒アレルギー、自己免疫疾患、自閉症の原因は体内の生態系にあった!
顕微鏡的多発血管炎の症状
喀血(肺胞出血による)、間質性肺炎等の肺症状や、血尿、蛋白尿などの腎症状が起こります。
顕微鏡的多発血管炎の治療
ステロイドの投与が行われます。
原因不明の自己免疫疾患の一つなので、Bスポット治療を並行して行うことをお勧めします。
好酸球性肺炎
白血球の一種である好酸球は本来、主に寄生虫の感染時に増加する免疫細胞です。
この好酸球が原因不明で肺組織に浸潤(しんじゅん:本来その組織に無い細胞が出現すること)するものが好酸球性肺炎です。
好酸球性肺炎には急性と慢性がありますが、全く異なる病気なので急性から慢性に移行することはありません。
急性好酸球性肺炎
原因は不明ですが、喫煙を開始したばかり(1ヶ月以内)の男性に多くみられることが特徴です。
急性好酸球性肺炎の症状
急な発熱、呼吸困難、乾いた咳などです。
急性好酸球性肺炎の治療
ステロイドが良く効きますが、自然治癒することもあります。
通常はステロイドの大量投与を行います。
喫煙を開始した人に多く起こるので、禁煙することが再発防止につながります。
慢性好酸球性肺炎
アレルギー疾患のある中年女性に多くみられます。
原因は不明です。
慢性好酸球性肺炎の症状
発熱、咳、痰が出る、呼吸困難、体重減少、倦怠感などです。
喘息発作が出る場合もあります。
慢性好酸球性肺炎の治療
ステロイドの長期投与を行います。
良く効きますが、減量や中止により再発しやすいです。
原因不明の自己免疫疾患の一つなので、Bスポット治療を並行して行うことをお勧めします。
過敏性肺炎
真菌などを反復吸入(何度も吸うこと)することでアレルギー反応が起こり発症する肺炎です。
原因(抗原)により分類されますが、原因不明のものもあります。
最も多くみられるのは夏型過敏性肺炎です。
過敏性肺炎の種類(原因)
夏型過敏性肺炎
カビの生えた木材や畳が原因となります。
5月~10月、特に夏季に多く起こります。
古くて湿気の多い木造家屋や、エアコンのカビなどが原因で発生します。
旅行中などで家を離れているときは症状が治まるという場合には、家のどこかにカビが発生している可能性が高いので除去する必要があります。
農夫肺
カビの生えた枯れ草や飼料などが原因となります。
鳥関連過敏性肺炎
鳥類の羽毛や排泄物が原因となります。
肺の線維化を招きやすい傾向があります。(肺の線維化については間質性肺炎、肺線維症を参照して下さい)
加湿器肺
汚染された加湿器が原因となります。
薬剤性(化学物質)
ニスなどのポリウレタン樹脂の原料であるイソシアネートが原因となります。
過敏性肺炎の症状
発熱、乾いた咳、労作時呼吸困難(動作時に呼吸困難となる)などです。
過敏性肺炎の治療
原因(抗原)となる真菌などを避けることが重要です。
改善が遅い場合は、ステロイドが効きます。
参考文献
「病気がみえる vol.4 呼吸器」
医療情報科学研究所 編集