がん・癌とは何か、現代医学(西洋医学)におけるがんの定義などについて解説します。
がんと癌の違い
一般的に「がん」と言った場合、すべてのがんを指しますが、「癌」と漢字で書いた場合は上皮(皮膚や粘膜、器官の表面を覆う組織)にできたがんを意味します。
「がん」には上皮の癌以外に「肉腫」や白血病のような液性のものがあります。
がんとは何か
「がん研が作ったがんが分かる本」によるとがんとは、
体の細胞に異常が起き、自ら無秩序に増え続けるようになったも
の
と書かれています。
がんとは細胞の病気であり、正常な細胞はアポトーシス(計画的に自ら死ぬ)により増殖をストップしますが、がん細胞は無限に増殖して生き続けます。
また、「決定版 がんのすべてがわかる本」には、
細胞が増殖する過程で生じる100種類以上の病気の総称
と書かれています。とすると、がんとはこれだという単純なものではなさそうです。
進行状態によるがんの種類
体内のある場所に最初に発生したがんを原発がんといい、がんが粘膜層にとどまっているものを早期がんといいます。また、最初に発生した臓器内にとどまっているものは限局がんと呼びます。
がんが粘膜層にとどまらず筋肉の層に達したものは進行がんです。他の臓器に新しくがんができることを転移といい、そのがんは転移がんと呼ばれます。
また、がん細胞が正常な組織の中に染み込むように広がることを浸潤(しんじゅん)といい、そのがんは浸潤がんと呼ばれます。
進行がんが浸潤や転移により広がってしまい、治療が困難な状態になると末期がんと呼ばれるようになります。
末期がんなどがんが進行すると急激な体重減少や貧血、免疫不全などが起こるようになります。この状態を悪液質(あくえきしつ)といいます。
進行度を表すステージ
がんの進行度を表すステージは一般的には4段階で示されます。
ステージⅠ 最初に発生した場所にとどまる(限局)
ステージⅡ 近くのリンパ節への転移がある
ステージⅢ 近くの臓器への浸潤や少し離れたリンパ節への転移がある
ステージⅣ 遠くの臓器への転移がある
人類はまだがんのことを分かっていない
がんは細胞あるいは遺伝子の病気と考えられることから、遺伝子解析による分子標的薬の開発などが進められていますが、研究が進むほどにがんのことが分かる反面、がんを完治させることは難しいということも分かってきてしまったというのが現状のようです。
自身が膀胱がんを患い、「がん生と死の謎に挑む」の著者でもある評論家・ジャーナリストの立花隆さんは、がん研究の第一人者であるワインバーグ博士への取材などを通して、自身が生きている間に人類ががんを克服することはないだろうと述べています。(立花氏の膀胱がん発見は2007年67歳のとき)
参考文献
「がん研が作ったがんが分かる本」
「決定版 がんのすべてがわかる本」
矢沢サイエンスオフィス (編集)