森下敬一博士の自然医学(千島・森下学説)によるがん(癌)へのアプローチについて解説します。
以前、千島学説について記事にしましたが、今回は同じ学説を唱える森下敬一博士の著書からがんについての考え方を紹介します。
目次
千島・森下学説とは
千島博士により千島学説が発表されたのとほぼ同時期に血液の研究を行い同じ結論に辿りついたのが森下博士です。現在では、千島・森下学説と呼ばれることも多いようです。
その内容は、白血球や体のすべての細胞は赤血球から分化して作られる、血液は骨髄で作られるものではなく腸管で作られる、バクテリアやウイルスは親がいなくても自然発生する、細胞は分裂により増殖するのではなく赤血球から新たに新生される、等、現代医学の定説とは大きく異なるものです。
千島・森下学説は東洋医学界から大きく支持されており、東洋医学を論理化した学説と言えるかもしれません。
千島学説について詳しくは以下を参照してください。
⇒千島学説とは?腸管造血説と赤血球の本当の働きについて
がん細胞は分裂で増殖するわけではない
細胞分裂の概念を唱えたのはドイツの病理学者であるウィルヒョウ(フィルヒョウ)ですが、森下博士はこれを完全に否定しています。
がん細胞の誕生は正常細胞の突然変異などではなく、無制限に分裂して増殖するわけでもないとしています。(千島・森下学説ではがん細胞も正常細胞同様に赤血球から分化する)
根本的に間違った概念を基にがんを考えているのだから、現代医学(西洋医学)でがんの原因や完全に治す方法が見つかるわけがなく、いくら遺伝子を分析しても開発される薬は対症療法の域を出ることはないということでしょう。
よって早期発見して早期治療を行ったからといって完治できるわけではなく、早く見つけても標準治療(西洋医学)では早期死亡を招くことになりかねないとしています。
この辺りは近藤理論と結論が似ています。(近藤先生の考えのベースは西洋医学にありますが)
⇒がん治療の問題点!近藤理論による標準治療の危険性と放置療法について
汚れた血液ががん細胞になる
千島・森下学説では血液は腸粘膜の絨毛(じゅうもう)で作られるとしています。これは食べたものがダイレクトに血液になることを表します。
質の良いものを食べれば血液は綺麗になる一方、質の悪いものを食べれば血液は汚れてしまいます。
食物が赤血球になりそれが細胞になるということは、血液が汚れ続けると結果的にがん細胞が生まれてしまうということになります。
著書の「ガンは食事で治す」には実際に汚れた血液の画像が掲載されています。大気汚染の公害物質、農薬、食品添加物により汚された画像を見ると、私達が普通に暮らしているだけで血液は容易に汚れてしまうことが分かります。
がん患者の血液はこの他にカビ、バクテリア、ウイルスなどで汚染されているとのことです。
クリニックでは実際に自分の血液の汚れを確認できます。
⇒森下血液生態医学に基づく血液の解析
白血病や再生不良性貧血が起こるメカニズム
千島・森下学説では赤血球が細胞に変化し体が作られていきますが、その過程は赤血球→白血球→細胞というように白血球を経由して変化していきます。
⇒第一原理 赤血球分化説
例えば大量の放射線を浴びてしまうと、腸粘膜の絨毛がダメージを受け腸造血が困難になります。造血ができなければ赤血球が不足し貧血となりますが、重症の場合再生不良性貧血となります。
放射線により組織がダメージを受けると、赤血球がその組織に分化することができなくなり、分化の途中の白血球や組織球という中途半端な状態の血球が増えることになります。
さらに、各組織は不足した赤血球を補うため逆分化して赤血球に戻ろうとしますが(⇒第二原理 赤血球と組織との可逆的分化説)、放射線のダメージによりこれも中途半端となり細胞と赤血球の間の白血球(あるいは白血球のできそこない)が増えることになります。
この赤血球⇔細胞の分化や逆分化が正常に行われない状態が白血病(中途半端な血球が増殖する)ということになります。
がんとは何か
現代医学ではがんは遺伝子や細胞の病気と考え、手術などで除去したり薬で殺してしまおうとする治療が施されます。
これに対して森下博士は、がんの背景には血液の汚れにより全身が毒に侵されたような状態があり、慢性炎症による全身病と捉えています。そしてがん自体は安全弁であり浄化装置であるとしています。
ということは治療対象は腫瘍などがんそのものではないということになります。本当の治療は全身の血を綺麗にすること、すなわち浄血が必要ということになります。
標準治療の場合、浄血装置のほうを破壊することに懸命になり、毒化した全身に対するケアはおざなりになっているのが現状です。
自然医学でがんを治療する
森下博士は自然医学の第一人者と言われています。
自然医学とは人間が本来持っている治癒力を最大限に発揮させ病気を治そうとするものです。
西洋医学は薬や手術などで病気の治療を行いますが、これらの治療法は免疫力を低下させます。がんに対する考え方でいえば、がんが出現したということは、その人の免疫はがんに負けたわけだから、もはや免疫に頼ることはできないとして、人間の手による治療を行おうとするわけです。
これに対して自然医学の考え方は、自然に反した生き方により低下した治癒力を、もう一度本来の自然の姿に戻して病気を治そうとするものです。
森下博士は綺麗な血液を作る為には食事が重要であると力説しています。
そして自然医食療法に基づいた正しい食事を摂ることでがんを治せるとしています。
森下博士が院長を務める「お茶の水クリニック」では8割以上の患者さんががんを克服しているとのことです。
自然医食療法について
がんを発生させる食事
森下博士はがんを発生させる食事として以下の食物を挙げています。
●動物性タンパク食品ー肉、牛乳、卵とこれらの加工品(ハンバーグ、ハム、チーズなど)
●精白食品ー白米、白パン、精白小麦粉製品(ラーメン、うどん、パスタ、ピザ、スナック菓子など)
●化学調味料類ー化学塩、化学調味料、だし類など
●白砂糖食品ー白砂糖、チョコレート、アイスクリーム、ケーキ類、市販の惣菜類
●食品添加物入り加工食品ー結着剤・人工甘味料入りのかまぼこ・はんぺん類、保存料入りのみそや醤油、人工着色料で色づけしたタラコやタクワンなど
●動物性脂肪ーバター、ラード
●不自然な植物性脂肪ーマーガリン、化学的抽出剤使用の植物油
●油の酸化が気になる食品ー市販の天ぷら、フライ類、ポテトチップス、その他揚げ菓子類
●大魚の部分食ー刺身、切り身
「ガンは食事で治す」より
こられは腸の中で腐敗し腸内細菌に悪影響を与えるとしています。
特に現代日本人が当たり前に食べている肉、卵、牛乳は良くないとして警鐘を鳴らしています。
がんを治す食事
自然医食療法では主食に玄米(精白されていない黒パンでも可)を食べることを強く推奨しています。
米は日本人に合っているのですが、多くの人が食べている白米では逆にがんの要因になってしまうとのことです。玄米の胚芽部分には豊富な栄養が含まれ、これを食べることで健康が維持できるようになっていますが、白米はこの大事な部分をそぎ落とし糖質のかたまりになってしまうからです。
がんの治療食とする場合は玄米を5割以上にし雑穀を4~5割加えます。キビ、アワ、ハトムギ、アズキ、クロマメなどを体質や病状に応じて組み合わせるそうです。
玄米は100回以上噛んで食べることが推奨されています。
副食
主食を玄米・雑穀にするだけで栄養的にバランスが取れるので副食は摂り過ぎないことに注意し、「季節の野菜」「海草」「小魚」「発酵食品」を自分の体質や季節に応じて組み合わせます。
小魚には小型のイカ、タコ、エビ、貝なども含まれます。
また発酵食品には味噌汁も含まれます。
調味料に注意する
塩
塩は非常に大切な栄養素であり、しっかり摂る必要があります。
ただし、精製された化学塩は発がん物質の一つなので、これは避けるようにします。
森下博士は岩塩などの自然塩を1日15g位摂ることを推奨しています。
巷で言われているような健康の為に減塩するというのは間違った考えだそうです。ただし肉(ナトリウムが含まれている)や精製した塩を摂っている人はそれらをやめる必要があります。
醤油・味噌
これらは発酵食品なので無添加のものを選べば健康増進になります。
酢
昔ながらの製法の穀物酢、果実酢を使うようにします。
体を冷やす作用があるので摂り過ぎには注意する必要があります。
ソーズ・マヨネーズ・ドレッシング類
素材を吟味して手作りするようにします。
市販の添加物が入ったものはなるべく控えます。
甘味料
なるべく使わないようにし、どうしても甘味が必要なときは黒砂糖やハチミツ(ただし麦芽糖などで水増しされていない本物に限る)、羅漢果、メープルシロップなどを使うようにします。
絶食療法
「浄血すればガンは治る!」には絶食によりがん細胞を赤血球に逆戻りさせ、質の良いものを食べることで綺麗な血液すなわち細胞に戻していけるということが書かれています。
絶食をするとがんを縮小させることができますが、体の自然治癒力も落としてしまうため、やみくもに断食するようなことは危険とのことです。
がんの縮小と自然治癒力の低下は速度が違うため、専門家の指導の下に自然治癒力に余力がある状態で短い絶食を反復していきます。
がんが治るときには体質改善反応が現れる
自然医食療法を続け血液の性状が変化してくると毒素が排泄され、体の物質代謝が活発になるとともに様々な症状が現れるようになります。
頭痛、肩こり、発熱、めまい、歯茎の痛みやゆるみ、口内炎、手足のしびれ、胃痛、腰痛、発疹、昔かかったことのある病気など、人によって症状は異なります。
このような症状に対して薬を用いず症状に応じた自然の手当法を行います。例えば発熱時にはクズ湯を飲むなどです。
薬は発がん物質
一般に用いられている漢方薬を除いた薬は自然のものではなく合成化学物質であり、発がん作用があるので、自然医食療法では薬を用いません。
飲んでいた薬は服用を中止します。これらの薬剤は症状のある臓器を改善させる効果があっても正常な臓器には毒であり、添加物や農薬と変わらないそうです。
まとめ
掲載されている体験談の中にはステージ4の卵巣がんがお腹のあちこちに転移していて手術もできず、勧められた抗がん剤治療を断って森下博士の元を訪れたという人もいます。
この人は食事制限により副食も無しで玄米・雑穀だけを食べて余命3カ月といわれたがんを克服しています。
がんが浄血装置なら治すのはがん細胞ではなく、体質のほうであるということは説得力があります。
食事に関しては断糖療法と比べると矛盾するところもありますが、この辺は自分の体質にどちらが合っているかを判断する必要があるでしょう。
⇒がん(癌)を完治させる高濃度ビタミンC点滴+断糖療法とは!
とにかく発がん物質の疑いがある物を私達は体に取り込み過ぎているので、多くの人がいつがんになってもおかしくない生活をしているといっていいでしょう。
自然医食療法はがん予防としても大切なことなので、健康なうちから実践していくと良いと思います。