慢性腎臓病(CKD)と慢性腎炎症候群 腎臓の数値GFRの正常値は?

慢性腎臓病(CKD)と慢性腎炎症候群について、腎臓の数値、GFRの正常値・基準値などについて解説します。


腎臓

慢性腎炎症候群・慢性糸球体腎炎とは

蛋白尿(タンパクにょう)や血尿、浮腫(ふしゅ:むくみ)、高血圧などが1年以上持続し、腎臓糸球体の機能が低下する病気を慢性糸球体腎炎といい、慢性糸球体腎炎の特徴が見られるものを総称して慢性腎炎症候群と呼びます。

慢性腎炎症候群には、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、IgA腎症糖尿病性腎症紫斑病性腎炎、アミロイド腎症、ループス腎炎、良性腎硬化症などがあります。

慢性腎炎症候群は徐々に病状が進行し最後には腎不全になることもあります。

急性腎炎症候群・急性糸球体腎炎はこちら

慢性腎臓病(CKD)とは

腎臓病は非常に多くの種類があり、分類も複雑で分かりにくいと言われていました。
そこで個々の病気の種類に関わらず、腎臓の機能がどれだけ維持されているかを基準に考える慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease 以下CKD)という概念が生まれました。

これにより従来の慢性腎不全という概念では病気とされていなかったものに対しても早期に治療を開始することができる、ということがこの概念が作られた理由のようです。

CKDの診断基準

CKDと診断されるのは、(1)尿検査、血液検査、画像検査、病理検査などで腎障害の存在が明らかな場合、(2)糸球体濾過値(GRF)が60ml/min(分)/1.73㎡未満の場合です。
(1)か(2)のいずれか、あるいは両方当てはまればCKDということになります。

糸球体濾過値とは・GFRの正常値・基準値は?

糸球体濾過値(GRF)とは1分間に糸球体が血液を濾過(ろか)する量のことです。
GFRの単位はml(ミリリットル)/min(分)/1.73㎡で表します。正常値及び基準値は90以上です。

自分のGRFを知りたい場合、健康診断などの血液検査でクレアチニン(血清クレアチニン)の値が分かれば性別と年齢から算出することができます。
クレアチニンの値からGRFを計算する

※クレアチニンは蛋白質が代謝されてできる老廃物の一つで常に一定の量が尿中に排泄されますが、濾過機能が低下していると十分に排泄されず血液中に残ってしまいます。 

CKDの重症度

CKDの重症度はGFRとアルブミン尿・蛋白尿を元に分類されます。

原疾患がある場合、蛋白尿区分によりA1~A3の段階に分けられます。A3が最も重症度が高いことを表します。

GFRの値からG1~G5の段階に分けられます。G5が最も重症度が高いことを表します。

原疾患が糖尿病の場合、「糖尿病G2A2」のように表します。 原疾患が無い場合は「G3a」のように表します。

CKDの重要度分類 (エビデンスに基づくCKD診療ガイド2013より引用)
原疾患 蛋白尿区分 A1 A2 A3
糖尿病 尿アルブミン定量 (mg/日) 尿アルブミン/Cr比(mg/gCr) 正常 微量アルブミン尿 顕性アルブミン尿
30 未満 30から299 300以上
高血圧、腎炎、多発性嚢胞症、腎移植、その他 尿蛋白量(g/日) 尿蛋白/Cr比(g/gCr) 正常 軽度蛋白尿 高度蛋白尿
0.15未満 0.15 – 0.49 0.50以上
GFR区分 (m L/分/1.73m2)
G1 正常または正常高値 90以上 付加リスク無し 低リスク 中等リスク
G2 正常または経度低下 89以下、60以上 付加リスク無し 低リスク 中等リスク
G3a 軽度から中等度低下 59以下、45以上 低リスク 中等リスク 高リスク
G3b 中等度から高度低下 44以下、30以上 中等リスク 高リスク 高リスク
G4 高度低下 29以下、15以上 高リスク 高リスク 高リスク
G5 末期腎不全(ESRD; 旧CRF) 15未満 高リスク 高リスク 高リスク

(分類表はWIKIより抜粋)

ステージ3がG3aとG3bに分かれているのはGFRが45未満になると死亡や心疾患、末期腎不全などへの進行リスクが急激に上がるためです。

慢性腎臓病(CKD)の原因

一つには先天的な問題です。生まれつき腎臓が一つしかない、あるいは腎臓の機能が低いという人達です。

次に加齢によるものがあります。原疾患の一つに高血圧がありますが、血圧も加齢と共に上がります。高齢はリスクファクターであり、加齢と共に生活習慣に気をつける必要があることを意味します。

そして注意が必要なのは、高血圧、糖尿病メタボリックシンドロームと診断されている人です。メタボの診断基準でもある、体脂肪・内臓脂肪の多い人や脂質異常症の人も同様に注意が必要です。

これらの要因となる喫煙、暴飲暴食、運動不足などの生活習慣の乱れが主な原因ともいえるでしょう。

この他に、近親者に腎臓病の人がいる人、出生時に低体重だった人、膠原病の人、過去に健康診断等で腎機能の低下を指摘された人も注意が必要となります。

慢性腎臓病(CKD)の症状

原疾患の有無やステージ(重症度)により異なりますが、尿の色や臭いの異変、排尿回数の異変、むくみ、貧血、倦怠感などが起こりやすくなります。

初期段階では無症状であることも珍しくありません。

慢性腎臓病(CKD)の治療

ステージに応じた治療が行われます。
原疾患がある場合、その治療が重要です。

最も大切なことは生活習慣の改善です。具体的には肥満、喫煙、運動不足などを改善します。

食事療法として、食塩の摂取制限、低蛋白食、カリウムの摂取制限などが行われます。

薬物療法として、降圧薬、利尿薬などの投与が行われます。

ステージ5まで進むと、人工透析や腎移植などが検討されます。

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参考文献

「腎臓病の最新治療」
川村 哲也、湯浅 愛 (監修)

「図解でわかる腎臓病―腎臓を守る2週間メソッドつき」
川村 哲也 著

「病気がみえる vol.8: 腎・泌尿器」
医療情報科学研究所 (編集)