糖尿病性腎症、ループス腎炎の原因、症状、治療について解説します。
目次
糖尿病性腎症
メサンギウム基質の拡大 Original Update by Boonyarit Cheunsuchon
糖尿病性腎症は、糖尿病に伴う高血糖により引き起こされる糖尿病の3大合併症の一つです。
高血糖の状態が続くとあちこちの血管で動脈硬化が起こります。腎臓の糸球体の毛細血管の血管壁も厚く硬くなり、糸球体のメサンギウム基質という部分の拡大により血管の内腔も狭くなります。
糖尿病の発症から5~10年位経過すると、上記したような糸球体の硬化により濾過(ろか)機能が低下し、やがて慢性腎不全へと進行することも多くなります。
尿中アルブミン、尿蛋白、GFRにより第1期~5期の病期に分類されます。
病期 | 尿アルブミン値 (mg/gCr)あるいは 尿蛋白値(g/gCr) | GFR(eGFR) (ml/分/1.73㎡) | 治療・食事・生活 |
---|---|---|---|
第1期 腎症前 | 正常アルブミン尿 (30未満) | 30以上 | 軽い蛋白質制限、 高血圧の場合食塩1日6g以下、 糖尿病の運動療法 |
第2期 早期腎症期 | 微量アルブミン尿 (30~299未満) | 30以上 | 軽い蛋白質制限、 高血圧の場合食塩1日6g以下、 糖尿病の運動療法 |
第3期 慢性腎症期 | 顕性アルブミン尿 (300以上)あるいは 持続性蛋白尿(0.5以上) | 30以上 | 蛋白質制限、 食塩1日6g以下、 原則として運動可 |
第4期 腎不全期 | 問わない | 30未満 | 蛋白質制限、 食塩1日6g以下、 運動制限 |
第5期 透析療法期 | 透析療法中 | ― | 軽い蛋白質制限、食塩1日6g以下、 透析療法または腎移植、 原則として軽運動 |
糖尿病性腎症の原因
糖尿病による高血糖、高血圧、また肥満そのものや遺伝的な体質も要因となります。
糖尿病性腎症の症状
初期段階ではほとんど自覚症状はありません。糖尿病発症後は定期的に微量アルブミン尿検査を受けるようにし、早期発見することが重要です。
第3期位から浮腫(ふしゅ:むくみ)などのネフローゼ症候群の症状が出る可能性が高くなります。さらに第4期になると腎不全の諸症状が現れます。
糖尿病性腎症の治療
血糖コントロールと血圧管理・降圧治療は第1期から始める必要があります。
第3期になると食塩摂取の制限、低蛋白食の摂取を厳格に行う必要があります。
第5期では人工透析療法を行うか腎移植を検討することになります。
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ループス腎炎
膠原病(こうげんびょう)の代表疾患の一つである全身性エリテマトーデスに伴う腎障害(糸球体障害)をループス腎炎といいます。
「ループス」とはラテン語で狼という意味があり、全身性エリテマトーデスによって現れる皮疹(円板状紅斑)が狼に噛まれたように見えることが名前の由来になっています。
ループス腎炎の原因
全身性エリテマトーデス発症により糸球体に免疫複合体が沈着し障害されることが原因です。全身性エリテマトーデスがなぜ発病するのかは原因がよく分かっていません。
ループス腎炎の症状
蛋白尿、血尿(目に見える場合と見えない場合がある)などです。 急性腎炎症候群、慢性腎炎症候群、ネフローゼ症候群を呈する場合があり、腎不全に至る場合もあります。
ループス腎炎の治療
ステロイドの服用が基本となります。
病状に応じてステロイドパルス療法(ステロイドの大量投与)や免疫抑制療法、血漿交換療法などが行われます。
膠原病などの自己免疫疾患の治療にBスポット療法を並行して行うことで症状を緩和することが可能です。
⇒上咽頭炎の症状 体が弱い人はBスポット治療で免疫力アップ!
西式甲田療法
西式甲田療法では、糖尿病や自己免疫疾患が完治した例が多数報告されています。
実行する場合、必ず専門家の監視下で行ってください。
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参考文献
「病気がみえる vol.8: 腎・泌尿器」
医療情報科学研究所 (編集)
「腎臓病の最新治療」