胃ポリープ(胃底腺ポリープ、胃過形成性ポリープ)、胃腺腫、胃粘膜下腫瘍の原因、症状、治療について解説します。
目次
胃ポリープとは
ポリープとは良性腫瘍の一つで粘膜細胞の異常増殖により隆起した腫瘤(しゅりゅう:できもの、こぶ)のことです。
胃ポリープはポリープが胃粘膜の上皮に現れる病気です。 ポリープの形状によりⅠ型~Ⅳ型まで4つに分類されます。
Ⅰ型 | 滑らかに隆起している |
Ⅱ型 | Ⅰ型より丸みを帯びているが茎は無い |
Ⅲ型 | くびれが出来ている |
Ⅳ型 | くびれがあり茎がある |
胃ポリープは大きく分けて、胃底腺ポリープと胃過形成性ポリープがあります。
胃ポリープの症状
自覚症状はほとんど無いですが、ポリープからの出血により貧血を起こすことがあります。
胃底腺ポリープとは
背景となる胃粘膜と同じ色のポリープです。 胃底腺(ひだのある領域)に発生します。Ⅱ型とⅢ型が多いのが特徴です。
がん化する可能性はありません。
胃底腺ポリープの原因
原因は不明です。
ピロリ菌との関係も無いとされています。
胃底腺ポリープの治療
無症状の場合、治療の必要はありません。
胃過形成性ポリープとは
色は赤く、萎縮した胃粘膜に発生します。
大きさが2cmを超えるとがん化する可能性があるので1cmを超えていれば治療の必要があります。
胃過形成性ポリープの原因
胃粘膜に糜爛(びらん:粘膜がただれること)が発生し、その修復過程で起こると考えられています。
またピロリ菌に感染していると起こる可能性が高くなります。
胃過形成性ポリープの治療
1cmを超えるものは内視鏡的切除が行われますが、小さなものは経過観察となります。
ピロリ菌の感染が認められる場合、除菌することで消失する場合もあります。
胃腺腫とは
胃ポリープ同様に胃粘膜上皮に増殖する良性腫瘍です。
胃ポリープの一種として分類されることもあります。
異型を伴った上皮細胞の2層構造がみられることが特徴です。
早期胃癌と似ている為、判断が難しく、増大傾向にある場合は切除されることも多いです。
症状に関しては胃ポリープと、治療に関しては胃過形成性ポリープと、同様です。
胃粘膜下腫瘍とは
病変が胃粘膜より下の層に存在し、表面を周囲と同様の粘膜に覆われた腫瘤性病変のことです。ほとんどを非上皮性の間葉系腫瘍(かんようけいしゅよう)が占めます。
主なものにGIST(消化管間質腫瘍)があります。
それ以外には迷入膵(めいにゅうすい:胎生期に膵組織が胃内に入り込む良性疾患)、胃悪性リンパ腫(ピロリ菌の除菌が効果あり)などの種類があります。
原因は種類により様々で、原因不明の場合も多いです。
GIST(消化管間質腫瘍)の症状
無症状の場合が多いです。 他に、胃部不快感、腹痛、下血、黒い便が出る、貧血などが起こることがあります。
GIST(消化管間質腫瘍)の治療
2cm以下で症状が無い場合は経過観察、それ以外の場合は外科的切除が行われます。 手術が不可能の場合、イマチチニブ(分子標的薬)という抗ガン剤が使用される場合もあります。
参考文献
「病気がみえる 〈vol.1〉 消化器」
医療情報科学研究所 (編集)