ギラン・バレー症候群とは何か、ギラン・バレー症候群の原因、症状、治療について解説します。
ギラン・バレー症候群はニューロパチー(末梢神経障害)の一つです。
多くは感染症をきっかけに発症します。
難病ですが予後は良好で完治することが多い病気です。
男女年齢を問わず起こります。
ギラン・バレー症候群の原因
約70%は最初に感染症にかかることが原因となります。
最も多い病原体はカンピロバクター・ジェジュニで他にCMV、EBV、マイコプラズマなどがあります。
これらに感染後、免疫細胞であるB細胞は病原体に対する抗体を産生します。
この抗体が末梢神経の軸索(じくさく:神経細胞から伸びている突起)・髄鞘(ずいしょう:軸索の周りに存在する層)にも結合してしまい、免疫系による攻撃を受けてしまうことで神経伝導が障害されることが原因と考えられています。
ギラン・バレー症候群の症状
最初に感染症の症状として鼻水、発熱、下痢、胃腸炎などが起こります。
その1~3週間後にギラン・バレー症候群の症状として、足の軽度のしびれ、手足の筋力低下・脱力などが起こります。
まれに血圧・脈拍異常などの自律神経障害が起こり死亡することもあります。
他に脳神経麻痺による顔面神経麻痺、構音・嚥下障害、外眼筋麻痺などが起こる場合もあります。
ギラン・バレー症候群の治療
多くは6ヶ月以内に自然回復します。
約80%は完治しますが、20%は筋力低下や麻痺などの後遺症が残る場合があります。
まれに死亡することもあります。
他の自己免疫疾患と違いステロイドが効きません。
症状が中等度の場合、免疫グロブリン静注療法(下記)、血液浄化療法(下記)などが行われます。
呼吸筋麻痺など重症の場合、上記に加え、人工呼吸器の使用など全身管理が行われます。
免疫グロブリン静注療法
ヒト由来の血液製剤で大量投与されることがあります。
免疫グロブリンとは抗体のことで、免疫グロブリン静注療法ではヒトのIgGが抽出されたものが用いられます。
血液浄化療法
血液中の有害物質を除去するための治療法です。
単純血漿交換、二重膜濾過血漿交換、免疫吸着血漿交換などがあります。
参考文献
「病気がみえる 〈vol.7〉 脳・神経」
医療情報科学研究所 (編集)