止血機構と血小板の働き、一次止血、二次止血、線溶などについて解説します。
止血機構について
血管が損傷され出血が起こると、止血血栓による止血、血管の修復、不要になった血栓が溶かされる線溶、といった一連の止血機構が働きます。
一時止血
出血が起こった際、最初に起こる止血作用を一次止血といいます。
一次止血では主に血小板が働きます。
血小板は最初に血管壁のコラーゲンに粘着し、顆粒内物質であるADPやトロンボキサンA2(TXA2)を細胞外へ放出します。
ADPには血小板をさらに活性化する作用があり、TXA2は血小板凝集作用と血管収縮作用を持ち止血を促進します。
血小板同士は互いに凝集し血栓を作ります。これを一次血栓といいます。
血小板
血小板は巨核球の細胞質から作られ、通常約10日間血液中を循環後、主に脾臓で処理されます。
普段は円盤状ですが、活性化すると球状になり突起(偽足)を出して互いにくっつきあいます。
赤血球の間の小さな青い点が血小板
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二次止血
一次止血だけでは強度が弱いので二次止血により補強します。
二次止血は血液凝固反応ともよばれ、凝固因子により行われます。
凝固因子は全部で14個あり、それぞれが活性化し凝固反応が起こります。
最終的に凝固因子の一つであるフィブリノゲンが活性化した活性体であるフィブリンが一次血栓を覆うことで強固な二次血栓となります。
また凝固反応が損傷部位でのみ行われるよう、凝固阻止因子というものもあり、この働きにより正常部位にて凝固反応が起こらないよう制御されています。
線溶
線溶とは血栓を溶解させる仕組みのことです。
損傷した血管が修復された後、過剰な血栓は線溶活性化により溶解されます。
線溶を行うのはプラスミンという蛋白質分解酵素です。
プラスミンがフィブリノゲンやフィブリンを分解し血栓を溶解します。
血管修復前に血栓を溶かしてしまうことがないよう、線溶阻止因子というものもあります。
参考文献
「病気がみえる vol.5: 血液」
医療情報科学研究所 (編集)