絨毛、胞状奇胎とは何か、胞状奇胎の原因、症状、治療について解説します。
絨毛とは
絨毛(じゅうもう:絨毛膜絨毛)は胎盤の一部であり、胎児(血管)と母体(血管)の栄養素や老廃物を交換するための場所です。
Original Update by?BruceBlaus
絨毛膜
絨毛膜は絨毛細胞層(栄養膜細胞層)と絨毛間質からなる胎児性膜です。
⇒胎児の成長 妊娠週数、胎盤とは?絨毛、羊水、臍帯などについて
胞状奇胎とは
胞状奇胎(ほうじょうきたい)は、絨毛が水ぶくれのように大きくなってしまう(水腫状腫大)病気です。
絨毛膜を構成する絨毛細胞層の栄養膜細胞の増殖と絨毛間質の浮腫により起こります。
すべての絨毛が異常なものを全胞状奇胎、一部正常な絨毛が存在するものを部分胞状奇胎といいます。
胞状奇胎では赤ちゃんを出産することはできません。
40歳以上の高齢妊娠で多く起こります。
胞状奇胎が子宮筋層内に侵入してしまうものを侵入胞状奇胎(侵入奇胎)といいます。
胞状奇胎は絨毛がんに移行する可能性があります。全胞状奇胎は部分胞状奇胎よりその可能性は高くなります。
胞状奇胎の原因
DNAの遺伝情報に異常があることで起こります。
全胞状奇胎は核のない卵子(ゲノム欠損卵子)に1つの精子または2つの精子が受精して発生します。
精子由来の遺伝子しか持たないため父親の遺伝情報しか持たないということになります。
部分胞状奇胎は、正常な卵子に2つの精子が受精して発生します。
胞状奇胎の症状
妊娠初期から不正出血(不正性器出血)、妊娠悪阻(つわり)が起こります。
部分胞状奇胎の場合、このような症状が出ないことが多いです。
胞状奇胎の治療
子宮内容除去術が行われます。
子宮内容除去術は流産や中絶時に行う手術と同様で子宮内を掻爬(そうは:掻き出す)します。
治療後も侵入奇胎や絨毛がんなどを発症することがあるので、hCG値を測定し経過を管理します。
※hCGとは絨毛の細胞から分泌されるホルモンです。
hCGの値が高く経過が順調でない場合、再度子宮内容除去術が行われる場合があります。また、侵入奇胎の場合、化学療法や子宮全摘術が行われる場合があります。
参考文献
「病気がみえる vol.9: 婦人科・乳腺外科」
医療情報科学研究所 (編集)