副甲状腺機能亢進症(原発性副甲状腺機能亢進症、二次性副甲状腺機能亢進症)、副甲状腺機能低下症、特発性副甲状腺機能低下症、偽性副甲状腺機能低下症の原因、症状、治療について解説します。
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副甲状腺機能亢進症とは
副甲状腺ホルモン(PTH)の産生・分泌が増加することで様々な疾患を引き起こす病気です。
副甲状腺自体に問題がある原発性副甲状腺機能亢進症と他の疾患などが原因で起こる続発性副甲状腺機能亢進症(二次性副甲状腺機能亢進症)があります。
原発性副甲状腺機能亢進症の原因
原因の約80%は腺腫(せんしゅ:腺細胞にできる腫瘍)によるものです。
次いで多いのが過形成(組織の肥大)によるもので10~15%、がんが原因のものが1~2%です。
原発性副甲状腺機能亢進症の症状
自覚症状は無いことも多く、検査などで見つかることも少なくありません。
副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌されると血中のカルシウム濃度が高くなるので、高カルシウム血症が起こりやすくなります。
またリンを排泄しようとするため、低リン血症が起こる場合もあります。
⇒副甲状腺とは 副甲状腺ホルモン(PTH)とカルシウム代謝について
高カルシウム血症の症状として、悪心・嘔吐、食欲不振、胃潰瘍、喉の渇き、多飲・多尿、夜間頻尿、尿路結石、筋力低下、うつ状態、疲れやすい等の症状が現れる場合があります。
関節痛、骨の痛み、病的骨折、線維性骨炎(石灰化したカルシウムにより骨が作られることで骨がもろくなる)などが起こる場合もあります。
原発性副甲状腺機能亢進症の治療
原因が腺腫の場合、腺腫の摘出を行います。
過形成では、副甲状腺を全摘出(4つの腺全部)する場合と一部を残す場合があります。
また全摘する場合、一部を皮下(腕など)に自家移植し腺を残すことがあります。
高カルシウム血症によるクリーゼ(PTH過多による複数臓器の機能不全)がみられる場合、脱水への処置とビスホスホネート製剤(骨吸収を抑制する)の投与などが行われます。
続発性副甲状腺機能亢進症(二次性副甲状腺機能亢進症)の原因
ほとんどの場合、慢性腎不全が原因となります。
他の原因としてはビタミンD作用不全、PTH不応症、薬剤によるものがあります。
慢性腎不全などにより血中のカルシウム低下やリンの増加が起こることで、副甲状腺ホルモン(PTH)がされます。
腎不全による活性ビタミンDの低下や、引き起こされるPTHの分泌増加により骨吸収が促進され石灰化(血管その他にカルシウムが沈着する)が起こり骨がもろくなります。
続発性副甲状腺機能亢進症(二次性副甲状腺機能亢進症)の症状
血管石灰化(血管にカルシウムが沈着する)、線維性骨炎(石灰化したカルシウムにより骨が作られることで骨がもろくなる)、骨軟化症等が起こります。
骨の石灰化による症状として関節痛、皮膚のかゆみなどが起こります。
続発性副甲状腺機能亢進症(二次性副甲状腺機能亢進症)の治療
原因となる疾患の治療に加えて、活性型ビタミンD製剤、リン吸着薬、カルシウム受容体作動薬などの投与が行われます。
また必要に応じて原発性副甲状腺機能亢進症同様、副甲状腺の摘出手術などが行われます。
副甲状腺機能低下症とは
副甲状腺機能低下症は副甲状腺ホルモン(PTH)の不足により様々な疾患を引き起こす病気です。
PTH分泌不足による特発性副甲状腺機能低下症及び続発性副甲状腺機能低下症(二次性副甲状腺機能低下症)と、PTHが分泌されているのにも関わらず起こる偽性副甲状腺機能低下症があります。
特発性副甲状腺機能低下症・続発性副甲状腺機能低下症の原因
特発性とは原因不明を指す言葉です。
自己免疫異常によるものや先天性形成不全によりPTHの分泌が低下するものが特発性副甲状腺機能低下症と呼ばれます。
続発性副甲状腺機能低下症は、甲状腺や頸部の手術によりPTHの分泌が低下することが原因です。
PTHの不足は血中のカルシウム不足、リンの増加につながり、低カルシウム血症や高リン血症を引き起こします。
⇒副甲状腺とは 副甲状腺ホルモン(PTH)とカルシウム代謝について
特発性副甲状腺機能低下症・続発性副甲状腺機能低下症の症状
低カルシウム血症によるテタニー症状などが現れます。
特発性副甲状腺機能低下症・続発性副甲状腺機能低下症の治療
活性型ビタミンD製剤の投与やカルシウムの静脈注射が行われます。
自己免疫が原因の特発性副甲状腺機能低下症の場合、Bスポット治療を試してみることをお勧めします。
⇒上咽頭炎の症状 体が弱い人はBスポット治療で免疫力アップ!
偽性副甲状腺機能低下症(PHP)の原因
遺伝子の異常が原因です。 PTHの分泌は正常でも臓器の方で感知できず血中カルシウム濃度が上がらない為、低カルシウム血症や高リン血症を起こします。
偽性副甲状腺機能低下症(PHP)の症状
低カルシウム血症による症状として、全身けいれん(てんかん)、感覚異常、テタニー症状、不安、抑うつ、精神発達遅滞、認知症、皮膚乾燥、湿疹、白内障、歯の発達障害、大脳基底核石灰化などが起こります。
⇒低カルシウム血症 高カルシウム血症の原因 症状 治療について
また偽性副甲状腺機能低下症に特徴的なものとして、Albright遺伝性骨異栄養症(AHO)があります。
これは遺伝子によるもので、低身長、丸顔、肥満、薬指や小指が短い、精神発達の遅れ、などが現れるものです。
低カルシウム血症や高リン血症が起こらない偽性偽性副甲状腺機能低下症では、身体的特徴としてAHOがみられます。
偽性副甲状腺機能低下症(PHP)の治療
活性型ビタミンDの投与が行われます。状況に応じてカルシウム製剤が投与されることもあります。
参考文献
「病気がみえる vol.3: 糖尿病・代謝・内分泌」
医療情報科学研究所