乳がんを治療せずに放置し、その過程をブログに書いたり本を出版した吉野実香さんについてです。
吉野実香さんの著書「癌と闘わない」を読んでみました。
吉野さんは元美容師で結婚後は同業のご主人の仕事を手伝っていました。
最初に胸のシコリに気づいたのは30代半ばの頃ですが、何も症状は無かったのでそのまま3年間放置していました。
その後テレビの「乳がん特集」を見て不安になり、病院で検査を受けます。
けれど吉野さんが訪れた病院はがんの術後の診察を主に行っているところでした。
そこでの診断は「繊維腫」。
がんではないと安心した吉野さんはそのままさらに3年間放置します。
ある日胸のシコリが大きくなっていることに気づきますが、それでも自分はがんにはならないという思い込みがあり、放っておきました。
やがて胸の奥から強い痛みを感じるようになり、膿や血も出るようになり、ついに病院で診てもらうことになります。
がんを告知される
吉野さんが訪れた病院には診察室に扉はなく、椅子に座って順番を待つ人に診察されている人の様子が丸聞こえになってしまうような所でした。
別室でマンモグラフィーを撮り、診察室に戻るとがんであることを告知され、すぐに手術する旨を伝えられます。
手術は2週間後でしたが、吉野さんには仕事の予定があり、先に延ばして欲しいと頼むと、リンパに転移もみられ、「命の保証はできない」「放っておいたら必ず死ぬよ」と言われてしまいます。
がん治療をしないという選択
がん放置療法といえば近藤誠先生が有名ですが、吉野さんは近藤先生のことを知らず、本も読んだことがありませんでした。
⇒がん治療の問題点!近藤理論による標準治療の危険性と放置療法について
それなのに、がん治療を受けたくないという思いが芽生えます。
不思議なことに、治るかどうかも分からない治療を受け苦しむより、自然に寿命を受け入れたいと考えるようになります。
息子も大学生で成人しているし、母親の役目はもう終わっている、死んでも悔いはないし、死に方は自分で決めたいと吉野さんは思いました。
元世界チャンピオンの竹原慎二さんでも、がんの告知から死の恐怖に苛まれ、必死に治療法を模索しましたが、それとは対照的です。
竹原さんのほうが人間としては普通だと思うのですが、吉野さんは40代にしてなぜか生に執着していませんでした。
⇒竹原慎二の膀胱がんと「見落とされた癌」を読んだ感想!
余命は2年
がん治療を受けないことを決めた吉野さんは、痛みを和らげる治療は受けたいと考えた結果、最終的にお世話になることを考えホスピス科のある病院の外科で細胞検査を受けます。
結果は、悪性のがんで余命は2年と診断され、痛み止めのロキソニンなどを処方されます。
その後も治療はせず、食事療法なども一切なしで好きなものを好きなように食べる生活を続けました。
がんは皮膚を食い破り、膿が出て、血も噴き出すことがあるという状態です。
このような現象が起こることは近藤先生の本に書いてあるので、驚きはしませんでしたが、何の知識もない人がよく治療せずにいられるなと感心してしまいます。
吉野さんは生理用のナプキンを当て医療用のテープで止めるなどの方法で対処しています。
余命を超えて
余命の2年を過ぎ、不思議なことに痛みも消えます。
特に検査もしていないので、転移しているかどうかもよく分かりません。
原因はよくわかりませんが、一度呼吸困難で夜中に倒れてしまいます。
心配した子供が救急車を呼ぼうとしますが、それを拒否、何とかおさまり事なきを得ます。
後で先生に聞くと過呼吸だったそうです。
医者からは末期のがんと言われ、いつ死んでもおかしくない状態のはずでしたが、病院へ行くと「癌の小康状態です」と言われたそうです。
この本は2013年1月の時点までの経過が書かれていますが、吉野さんは今でも存命中です。
ブログのほうは読んでいないので、その後の経過は分かりませんが、吉野さんの治療しないという選択が正しかったのは確かです。
吉野実香さんのブログ
⇒猫と癌と諸々と。。
まとめ
吉野実香さんが実践したのはまさに近藤先生が推奨するがん放置療法です。
近藤理論では、がんには命を奪わないがんもどきと、治すことができない本物のがんの2種類しかありません。
つまり、治らないがんを治療すれば、副作用で命が縮み、お金もかかる上にQOL(生活の質)も下がります。
がんもどきの場合は、放っておいても命に別条はないので、治療することで、逆に副作用で死んでしまう恐れが出てきます。
この理論はまだ本当かどうかは証明されていませんが、H・ジェームス博士という方の研究によると、がん治療を受けた場合の平均余命は3年で、受けない人は12年6ヶ月というデータがあります。
近藤先生は正しいのか?
私は標準治療に対する近藤先生の考えは正しいと思っています。
⇒がん治療の問題点!近藤理論による標準治療の危険性と放置療法について
ただし、完全に放置するだけでなく、副作用の無い治療法で自分に合っていると思えればやったほうが良いと思います。
近藤先生はがんの標準治療に関してはエキスパートですが、「人の健康を考える」という意味では信用できない部分もあります。
例えば、著書の中で過去に「砂糖は体に悪くない」と主張していました。
現在は変わってきているかもしれませんが、この考えは明らかに間違っています。
ということで、がんの場合は、自分で勉強して、どんな結果になっても悔いの無いように治療法を自分で選択する必要があると思います。
どの先生や考えを信用するか、結局は自分の命に関わることだからです。