つわりと妊娠悪阻(にんしんおそ)の違いや原因、症状、治療、対策、つわりの期間などについて解説します。
つわりは妊娠初期に起こる代表的な異常です。
妊娠すると誰にでも起こり得るもので、治療の必要はなく病気ではありません。
一方、妊娠悪阻(にんしんおそ)は病気として分類され、治療が必要とされるものです。
両者を明確に区別する基準はなく症状によって分類されます。
つわりとは
つわりとは、妊娠によって起こる悪心・嘔吐などの症状を中心とする症候のことです。
特に初産婦(しょさんぷ:初めて出産する人)に多くみられます。
つわりの症状が悪化し治療が必要となるものが妊娠悪阻です。
つわりの期間
妊娠5~6週頃から症状が現れ、多くは一過性で妊娠12~16週頃までに自然消滅します。
つわりの原因
つわりの原因は明確ではなく、ホルモンなど内分泌の変化や代謝性変化、精神的なものなどが原因と考えられています。
西式甲田療法による見解
西式甲田療法の甲田先生によると、つわりの原因は宿便にあるとのことです。
つまり腸の状態が悪い人(食生活が良くない、運動不足)ほどつわりがひどくなる傾向にあるということです。
宿便を排出するためには少食や断食などの食事療法が必要となります。
また、妊娠前から西式健康法を実施しておくことでスムーズなお産を迎えることができます。
⇒難病 原因不明の病気が治る西式甲田療法とは 少食 断食の効果について
つわりの症状
悪心(吐き気、気持ち悪い)、嘔吐、唾液が増える、全身倦怠感(だるい)、頭痛、眠気、食欲不振、嗜好の変化(食べ物の好き嫌いが変わる)などが起こります。
早朝空腹時に多くみられる傾向があります。
つわり対策
医学書(病気がみえる vol.10)によるつわりの対策は以下のようになっています。
- 朝起きたときすぐにつまめるように、枕元に軽食(クッキーなど)を用意しておく
- 食べたいものを食べたいときに食べる
- 安静にしたり、趣味などの集中できるものをみつけたりする
- 外出時は空腹を避け、糖質補給を心がける
- 家事や仕事で無理をしない
甘いものを食べるとき
本には妊婦がソフトクリームやキャンディーをなめているイラストとともに上記の対策が書かれていますが、市販のお菓子や清涼飲料水を飲食することは避けたほうがよいでしょう。
甘いものが食べたいときはフルーツを食べるのがよいでしょう。
西式甲田療法によるつわり対策
動物のように四つん這いになって部屋の中を8の字に歩くことが効果的だそうです。
このとき両膝は床につけないようにします。膝はなるべく伸ばすことがポイントです。
右手と右足を同時に前に出し、次は左手と左足を同時に出して歩きます。
びっくりするほど効果があるということなので、ぜひ試してみてください。
妊娠悪阻とは
つわりの症状が悪化し、栄養障害、体重減少など様々な症状により治療が必要となる状態のことをいいます。
妊婦の抑うつや不安などが関係しています。
若年者や過去に妊娠悪阻、胞状奇胎、多胎妊娠、妊娠高血圧症候群を発症している人に起こりやすい傾向があります。
妊娠悪阻を発症すると早産が多くなる傾向があります。
妊娠悪阻の症状
嘔吐を繰り返し、食事摂取が困難になったり、脱水、飢餓状態になる場合があります。
尿中ケトン体陽性となります。
5%以上の体重減少が認められます。
症状は1日中現れます。
妊娠悪阻の治療
食事指導として、少量を複数回に分けて摂ることが勧められます。
輸液療法として、糖を含んだ電解質液で脱水や電解質異常の補正を行います。
これらの治療が無効の場合、薬物療法として制吐薬であるメトクロプラミドやピリドキシンの投与を行います。
ウェルニッケ脳症など母親が重篤な状態となった場合、人工妊娠中絶が行われます。
参考文献
「病気がみえる vol.10: 産科」
医療情報科学研究所 (編集)
「自然お産のすすめ―西式お産17人の体験集」
すこやかな子供を育てる勉強会 (編集)