理想的な妊娠中の食事、効果的な妊婦の運動、西式お産とは何か、などについて解説します。
以前紹介した西式甲田療法の甲田先生による、妊婦が取るべき食事や運動方法、西式お産とはどういうものか等についてみていきます。
この記事は「自然お産のすすめ―西式お産17人の体験集」(すこやかな子供を育てる勉強会 甲田光雄 監修)を基にしています。
目次
理想的な妊娠中の食事
朝食は摂らない
西式甲田療法では朝食を抜くことが基本です。
前の晩から次の食事までの時間を十分に空けることで、臓器は休息を取り、腎臓や大腸は排泄機能を高めます。
排泄により腸管はきれいなりますが、ここで十分時間を空けず朝食を摂ってしまうと老廃物がたまり万病のもととなります。
朝食を抜くと腎臓の機能が高まるので浮腫み(むくみ)がおきません。
また空腹感があるときは赤ちゃんが元気な証拠である胎動が活発になります。
午前中は十分に水や柿の葉茶を摂取するようにします。
空腹感が強い場合は青汁を飲んでもよいです。
尚、2食にすると体重が極端に減ってしまう人や元々体重が増えない体質の人、脱力感が強い人などは無理に2食にせず専門家に相談するか3食食べるようにします。
過食することは最も良くないので腹8分の食生活を守るようにします。
理想的な食事
最も良いとされるのは玄米や生野菜などの自然食品で、和食が良いでしょう。
玄米は水に一定時間浸水させて発芽状態にしてから炊きます。
⇒玄米は正しく食べましょう♪
おかずには丸ごと食べられる自然に近い食品が理想です。
魚の場合、頭から食べられるチリメンジャコやメザシ、丸干しなどです。
大根やにんじんは葉の部分も食べます。
根はおろし、葉はミキサーでジュースにすると吸収がよくなります。
りんごなどは皮の部分も食べるようにします。その他の野菜も同様です。
普段MEC食のような食事をしている人でも妊娠するとご飯が食べたくなることが多いようです。そういう人も無理せず玄米を食べるとよいでしょう。
未精製の糖質は健康に良いものが多いので、糖質制限の場合、精製された糖質を制限すると解釈したほうがよいと思います。
精製された糖質とは主に白砂糖、小麦粉、白米を指します。
調味料も精製された塩や砂糖を避け、未精製のものを選びます。
醤油の場合、丸大豆醤油を選びます。ラベルの原料名に脱脂大豆と書かれたものは避けましょう。ブドウ糖果糖液糖などが添加されているものも避けるべきです。
砂糖は純黒糖の黒砂糖を選びます。
塩は天然塩や自然塩と呼ばれる焼塩、天日塩、藻塩などがよいでしょう。
これらにはミネラルが含まれていて栄養があります。
玄米や野菜、生野菜を食べると体調が悪くなる人は体質に問題がある可能性があるので、専門家に指導を受けるとよいでしょう。
西式甲田療法では、肉、卵、乳製品は極力避けるようにしますが、痩せている人や貧血気味の人は適度に摂取したほうがいい場合があります。甲田先生も貧血の人にはレバーを食べさせたり、体力をつけるために玄米粥に卵を入れたりしていました。
この辺は自分の体質によって判断すべきところです。
飲水について
生水(火を通していない水)を十分飲むようにします。
甲田療法では1.5~2リットル位飲むことが推奨されます。
当サイトでは体重(kg)÷30(ℓ)を推奨しています。
体重45kgの人は1.5リットル、60kgの人は2リットルです。
⇒水を飲むだけの健康法!病気を治す飲水法 水ダイエットの効果は?
この飲水量には柿の葉茶も含まれます。
柿の葉茶は天然のビタミンCが摂取できるので、1回150ml前後を1日数回飲むとよいでしょう。
体に悪いものを摂らない
甘いものを食べ過ぎることは非常に体に悪いのでやめましょう。
白砂糖は使わないようにします。
市販のお菓子や清涼飲料水は極力控えるようにしてください。
どうしても甘いものを食べたいときは、果物を食べるのがよいですが、白砂糖のかわりとして純黒糖の黒砂糖や良質なハチミツを使ってもよいです。ただし食べ過ぎには注意です。
ファーストフードやジャンクフード、インスタントラーメンなどの加工食品は控えます。ハムやソーセージ、かまぼこ、ちくわなども普通に売られているものは添加物が使われています。無添加のものを探すか、控えたほうがよいでしょう。
また市販のお菓子や加工食品、コンビニ弁当、マヨネーズなどには体に良くない植物油が多量に使われている場合が多いので油という観点からも避ける必要があります。
タバコやアルコールは当然控えるべきものですが、コーヒーなどカフェインが入ったものもなるべく控えましょう。
妊娠中の効果的な運動
運動は妊娠前から行っておくことが理想ですが、妊娠してからの運動もとても大切です。
まず、こまめに動くようにします。
家事をやることもよいですし、買い物はなるべく歩くようにするとよいでしょう。
流産を恐れて安静にしておくというのは良くない考えです。
妊娠中に適度な運動をしている人のほうが丈夫な赤ちゃんが産めるというマウスの実験データが本の中で紹介されています。
重要な西式運動
西式の運動療法の中でも妊婦に特に重要な3つの運動を毎日行うようにします。
金魚運動
便秘を防ぎ快便に効果があるのが金魚運動です。
つわりの原因は宿便にあるとのことで、本当は妊娠前から断食や金魚運動で宿便を排泄しておくとつわりが軽くなり、人によっては全くつわりが出ない人もいるそうです。
宿便を排泄すると、頭痛、肩こり、冷え性、易疲労性などの症状も消失します。
ただし宿便の排泄までは時間がかかることが多いので妊娠してからでは間に合わないかもしれません。それでも、毎日行っておくことが大切となります。
金魚運動がうまくできい人は膝立て金魚運動をやってみてください。
⇒【図解】ひざ立て金魚運動のやり方
毛管運動
毛管運動には血液循環を良くするという効果があります。
また足の筋肉が短時間で鍛えられるという効果もあります。
妊娠高血圧腎症(本では妊娠腎)は足の故障からくる病気だそうです。
毛管運動により足を鍛えることで妊娠高血圧腎症の予防・治療になります。
毛管運動がうまくできない人は足を壁や机などにくっつけて支えながら行ってもよいです。
合掌合蹠運動
合掌合蹠運動は足腰を丈夫にし、足の不揃いを矯正します。
足の不揃いがあると難産になりやすいとのことです。
本当は妊娠してからでは遅いようですが、それでもやったほうがいいのは当然です。
また子宮の血流を良くするという重要な効果があるので、妊婦さんが最も重点的に行う必要がある運動でしょう。
⇒子宮筋腫を治す運動療法
逆子も治る
さらに逆子の人はこの運動を毎日数百回行うことで正常に戻った例が沢山あるそうです。
西式お産とは
西式お産・西式出産は現在の出産の常識とは大分かけ離れたものかもしれません。
しかし、甲田先生のお子さん達をはじめ多くの人がこの方法で無事健康に育っている実績があります。
裸で放置する
まず赤ちゃんが生まれたらそのまま1時間40分~2時間裸のまま放置します。(理想は一昼夜とのことです)へその緒(臍帯)は切らずそのままにします。
寒い時期などは暖房で室温を25度くらいにしておきます。最低でも15度以上だそうです。
温冷浴させる
へその緒を切ったら、次に温冷浴を行います。
⇒通常の温冷浴
通常の温冷浴は水浴から行いますが、新生児の場合はお湯から入ります。
湯→水→湯→水→湯→水、と1分間ずつ浸かります。
寒い時期は最初の湯は1分間ではなく、皮膚の色が十分を赤みをおびるまで待ちます。
湯の温度は40度前後、水の温度は30度くらいにしておきます。
こうすることで新生児黄疸を防ぐ、あるいは出ても軽くて済むとのことです。
なぜ黄疸が起こらないかについては本に詳細に理論が説明されているので参照してください。
犬や猫などは服を着ない裸の状態でいるため、人間のように黄疸が出ることはないそうです。なので最初は裸で放置し、さらに服を着る前に温冷浴を行っておくことで自然に近い状態になるようです。
胎便の排泄
新生児は一般に生後数時間から暗緑黒色の無臭な胎便(カニババ)を排泄します。
胎便は胎児が羊水とともに飲み込んだ産毛や腸粘膜の上皮細胞、胎脂、胆汁、粘液などから成ったものです。
これを完全に排泄しておかないとアレルギー疾患や喘息等にかかりやすくなるとのことです。
病院によって胎便の排泄を意識しているところと軽視しているところがあるようなので、気をつける必要があります。
胎便をしっかり出す為に少なくとも1日できれば2日(48時間)断食させます。
2日間の断食くらいは新生児には何ともないので安心してください。
胎便を確実に排泄させるために断食中に緩下剤であるスイマグ20ccを180ccの水でうすめ、チビチビ飲ませます。
スイマグはマグネシウムなので基本的に副作用はありません。
これらができなかった場合でも生後2週間から始めて胎便が出た例が紹介されています。
胎便を出してから授乳するというのが正しい順序とのことです。
赤ちゃんをすこやかに育てる
母乳で育てる
まず、母乳で育てるということがとても大事です。
特に生後3週間は母乳オンリーで育てるのが最も安全です。
母乳の出が悪い場合、他のお母さんから「もらい乳」してでも母乳を与えるのが良いということです。
母乳が出ない人の改善方法
生菜食療法により母乳は出るようになります。
これはご飯やおかずは食べず、生の野菜と生玄米だけの食事を続けるものです。
葉のほうはミキサーで泥状にし、根のほうはオロシ器でおろして食べます。
葉のほうが食べにくい場合は、リンゴやレモンを少々加えたり、ハチミツを大さじ1杯くらい入れます。
現代の医学では栄養が足りないと言われそうですが、甲田療法では沢山の人がこのような食事で母乳の問題や難病を克服しています。
乳腺炎の治療と予防にもなります。
西式を治療に取り入れている石原結實先生の著書によると、乳汁分泌に効果がある食材は、ニンジン、鯛(タイ)、アワビ、シジミ(特に味噌汁)とのことなので、ニンジン以外は生菜食になりませんが、これらを食べてみるのもいいでしょう。
生菜療法の例
1)朝食は抜くこと
2)柿茶を飲むこと 1日合計約1升(1.8ℓ)
3)食事
(昼食)
A. 生野菜
①葉…ホウレンソウ
シャクシナ
レタス・チシャ 300g
ニンジン葉
レモン半個
ミキサーで細かく泥状にしてそのまま食べる、もし食べられなかったら、数日間は汁だけを飲んでもよろしい。
②根…大根オロシ 120g
ニンジンオロシ 130g 300g
ヤマイモ 50g
B.生玄米の粉 90g
C.食塩 5g(夕食)
昼食と全く同じ4)板の上に寝て木枕をする
5)裸療法 1日3回
6)温冷浴(水5ヘン・湯4ヘン)1日1回
7)金魚運動 1日3回 1回2分
8)毛管運動 1日3回 1回2分
9)合掌合蹠 1日3回 1回100ペン
10) 手当て療法1日2回(朝晩) 1回30分
手当て療法(触手療法)
施術者(夫あるいは自分)は、合掌四十分行を行っておきます(毎回やる必要はなく1生に1度でいいとも言われています)。
⇒合掌四十分行
⇒合掌四十分行 と 触手療法
手当てをする前に手の毛管運動を1分間行います。
患部(この場合は乳房)に手を30分間当てます。
終わったら手を下方に垂れて、4~5回振ります。
薄着で育てる
子供の皮膚を鍛えるためになるべく薄着で過ごさせるようにします。
裸療法や温冷浴はとても効果的で、日頃やっておくと薄着でも寒さを感じづらくなります。
板の上に寝かせる
赤ちゃんは板の上に寝かせます。
堅い板の上に夏なら敷布1枚、冬は毛布1枚を敷き、その上に寝かせるのです。
柔らかいベッドや敷布団は背骨を狂わす原因となります。
西式健康法では背骨の狂いは万病の基と言われています。
健康体操
これらは生後すぐに始めることが必要です。
自分でやれるようになるまでは、お母さんがやってあげます。
金魚運動はお母さんが腰を左右に揺するだけの腰金魚を行います。
合掌合蹠は合蹠運動だけになります(足だけ行う)。
玄米自然食
離乳の時期には玄米クリームを食べさせます。(下記を参照してください)
また、生野菜の搾り汁を飲む練習もします。
最初はキャベツ、レタスのような飲みやすいものを選び、リンゴ汁やハチミツを加えると喜んで飲みます。
十ヶ月頃になったら玄米がゆを食べさせます。
柔らかめに炊いた玄米をさらにお粥にして与えます。
あまり噛まずに食べ、便中に玄米の粒が消化されずに出ても心配しなくてよいとのことです。
1歳以降は大人と同じ玄米を食べさせますが、量は多すぎないように注意します。
おかずはチリメンジャコやごまめ、黒豆、ごまなど家で料理したものを与えます。
“理想的な食事“に記したように丸ごと食べられるものがよいです。
玄米クリーム
玄米クリームはミルサーを使用し細かく粉にした玄米を炊いたものです。
作り方はリンクや動画を参照してください。
市販のものもあります。