下垂体後葉と下垂体後葉ホルモンであるオキシトシンとバソプレシンについて解説します。
目次
下垂体後葉と下垂体後葉ホルモン
下垂体後葉では、視床下部神経核にて産生された下垂体後葉ホルモンの貯蔵・分泌が行われます。
下垂体と下垂体前葉ホルモンについてはこちらを参照してください。
⇒脳下垂体と下垂体前葉ホルモン 成長ホルモン プロラクチン等について
下垂体後葉ホルモンにはオキシトシンとバソプレシンの2種類があります。
これらのホルモンについて、ここでは臨床の場で重要な機能・作用について基本的なものを取り上げます。
オキシトシン(OT)
オキシトシン(OT)には乳腺の平滑筋細胞を収縮させ、乳汁を放出する射乳作用があります。
また、子宮では子宮平滑筋を収縮させることで分娩を促進し、胎盤娩出後の出血を抑えます。
オキシトシンの分泌を増加させるもの
分娩や授乳の吸引刺激によりオキシトシンの分泌は増加します。
オキシトシンの分泌過剰・低下などにより起こる病気や症状は特に存在しません。
⇒オキシトシンとは ストレス緩和 社交性を高める愛情ホルモン
バソプレシン(AVP)
バソプレシン(アルギニンバソプレシン)は腎臓に働きかけることで集合管における水の再吸収を促進します。そのため抗利尿ホルモン(ADH)とも呼ばれます。
血漿浸透圧や循環血液量の変化に反応して分泌されます。
バソプレシンの分泌を増加させるもの
血漿浸透圧の増加、循環血液量の減少、血圧低下、ビンクリスチン(抗ガン剤)・クロフィブラート(コレステロールの薬)・クロルプロパミド(糖尿病の薬)・カルバマゼピン(抗てんかん薬)・抗うつ薬等の薬剤、悪心、喫煙などによりバソプレシンの分泌は増加します。
バソプレシンの分泌を抑制させるもの
血漿浸透圧の低下、環血液量の増加、アルコール、フェニトイン(抗てんかん薬)などによりバゾプレッシンの分泌は抑制されます。
バソプレシンに関わる病気や症状
バソプレシン分泌過剰
SIDAH(バソプレシン分泌過剰症)の発症につながります。
ババソプレシン分泌低下
尿崩症の発症につながります。
⇒オキシトシンとは ストレス緩和 社交性を高める愛情ホルモン
参考文献
「病気がみえる vol.3: 糖尿病・代謝・内分泌」
医療情報科学研究所