唾液を増やすための唾液腺マッサージや舌の体操など唾液と健康に関して解説します。
歯科医の森昭先生という方の著書、『体の不調は「唾液」を増やして解消する』という本を読んだのでここに書かれている重要なポイントをご紹介します。
唾液が少ないと全身の病気に発展してしまう可能性があることは以前の記事でも書きました。ドライマウスをご存知ない方は一読してみてください。
⇒唾液が少ないと虫歯や病気になる?唾液を増やして口臭予防!
唾液を増やすということは口の中の問題にとどまらず全身の健康に大きな影響を与えるという点でとても重要です。
唾液が少ない人の特徴
- 歯肉が腫れている、出血しやすい
- 歯肉や舌がかゆいことがある
- 口内炎がよくできる
- 滑舌が悪い
- 水分を奪われる食べ物(パンやクッキーなど)が飲み込みにくい
- 唇が渇く、または唇から出血しやすい
- 口内が乾燥していると感じる
- 急に虫歯になるようになった
- ほっぺたをよく噛む
- 舌に痛みを感じることがある
これらに一つでも当てはまれば唾液が減少している可能性があります。
ドライマウスで起こる可能性のある病気
歯周病、糖尿病、動脈硬化、がん、肺炎、インフルエンザ、食中毒、高血圧などが唾液不足で引き起こされる可能性があります。
このうち歯周病が糖尿病、動脈硬化を引き起こすことについては以前の記事を参照してください。
⇒唾液が少ないと虫歯や病気になる?唾液を増やして口臭予防!
がん
様々な発がん性物質を唾液に30病間浸けると、発がん作用が急激に低下するとのことです。
肺炎
唾液が少なくなり、口内の病原性細菌が気管に感染すると肺炎を発症します。
インフルエンザ
喉の粘膜には糖たんぱくというバリアーがあり感染を防いでいます。しかし、唾液が減少するとそのバリアーが破壊されてしまうとのことです。
食中毒
O157のような毒性の強い病原菌でも胃酸がしっかり働いていれば胃で殺菌することができます。
胃酸がしっかり働くスイッチが唾液にあり、まずよく噛んで唾液を出すことで食べ物の表面積を増やして唾液の殺菌効果によって殺菌できます。すると胃酸のスイッチが入り強力な殺菌力で病原菌を死滅させることができるそうです。
高血圧
年齢を重ねると一般的には薄味を好むようになるのですが、唾液が減っていると反対に濃い味を好むようになります。そのような人は高血圧を招きやすくなります。
唾液が減る原因
ドライマウスになる原因は様々です。下記に当てはまるものがあれば改善することで唾液を増やすことができます。
口呼吸
口呼吸をしていると唾液が蒸発します。
⇒口呼吸の危険性と治し方 アデノイド顔貌とは?
運動不足
血液の循環が悪くなり、唾液の出が悪くなります。
日頃からウォーキングなどの有酸素運動を生活に取り入れるようにしましょう。
姿勢が悪い
前かがみ、猫背など姿勢が悪いと血液の循環に影響し唾液も減少します。
胸を開いていつでも深呼吸できる姿勢でいることが唾液分泌につながります。
猫背は下顎が後ろに下がり唾液腺を圧迫してしまいます。
立ち方
立ち仕事などを続けていると足がむくみますが、これは血液循環が悪くなり血液が足に滞ってしまうからです。立っているときは親指の付け根に重心をかけるように立つと血流が改善されます。
かかとや後方に重心をかけているとふくらはぎの筋力をうまく使えず、リンパ液がたまり冷えやむくみの原因となります。
座り方
座る時も後ろにふんぞり返るような姿勢は唾液が減ってしまいます。足を床につけふくらはぎに力が入るような、やや前傾姿勢が唾液分泌を促します。骨盤に体重を預けず、前傾でふくらはぎの張りを意識するように座ります。
歩き方
お尻を意識的に上げ肛門を締め、やや大股で歩くことが唾液分泌につながります。8度程前傾して歩くのがコツです。そのためには腹筋、背筋が必要となります。
マイナス思考、笑わない、しゃべらない
ため息をつくことは口呼吸と同じで唾液を蒸発させます。口の周りの筋肉が弱ると唾液の出が悪くなるので、しゃべったり笑ったりすることが大切です。
よく噛んでいない
よく噛んで食べることは唾液を分泌するだけでなく全身に様々な影響を及ぼします。
⇒よく噛むことの重要性
一口につき30回噛むことを心がけ、水やお茶で流し込むような食べ方はやめましょう。
不規則な生活、冷暖房の効いた部屋にずっといる
自律神経のバランスが崩れると唾液が減少します。規則正しい生活や自然に触れることが大切です。
お風呂に入らない、湯船につからない
お風呂に入ることはリラックスにつながり唾液も分泌されます。 体を温めることは全身の健康にとって大切です。
⇒免疫力低下の原因は?免疫力を高める 冷え性を治す血流改善方法!
アルコールの飲み過ぎ、タバコの吸い過ぎ
お酒の飲み過ぎは口の中の乾燥を招きます。タバコの煙に害があり、唾液腺が萎縮してしまいます。
パソコン、ゲーム、スマホのやり過ぎ
ドライアイはドライマウスと関係しています。
上下の歯をつけるクセがある(TCH)
これはTCH(上下歯列接触癖)と呼ばれるもので、顎関節症の大きな原因となることは以前紹介しました。
⇒顎関節症の原因 症状 治療方法 治し方は簡単?TCHとは
普段から上の歯と下の歯をくつけている人は交感神経が緊張し、唾液も減るとのことなので、矯正するようにしましょう。上記のリンクに簡単なTCHの是正訓練法が書いてあります。
唾液の量を増やすエクササイズ
唾液腺マッサージ
唾液が分泌される3つの唾液腺をマッサージして分泌量を増やします。
1日3回食前に行うと効果的です。
①耳下腺 ②顎下腺 ③舌下腺
耳下腺マッサージ
耳下腺は左右にあります。全唾液の25%がここから出ます。 人差し指と中指の間をあけ、手の平で両耳を挟みます。
少し圧を加え、手の平ごと前回しを10回、後ろ回しを10回行います。
顎下腺マッサージ
全唾液の70%がこの顎下腺から分泌されます。
顎の骨に沿って顎下腺があるので、両手の親指の腹で顎の骨に沿って30回押していきます。
舌下腺マッサージ
3つの唾液腺の中では一番小さく、舌の裏側の付け根付近にあります。
両手の親指の腹で顎の骨の下を真上に10回押し上げます。
舌体操
舌の体操を行うことは唾液を分泌する以外にも、全身の筋力が上がる、という効果があります。1日3回食前にしましょう。
舌体操(1)
口を閉じて舌を歯茎(はぐき)と唇の間に置き、歯茎に沿ってグルグル回します。右回り10回、左回りも10回行います。
舌体操(2)
- 真正面を向き、舌を思い切り前に突き出したまま10秒間そのままでいます。
- 上を向いて舌を鼻先につけるつもりで突き出し10秒間。
- 真正面を向き、舌を思い切り下に伸ばし10秒。
- 真正面を向き、舌を思い切り右に伸ばし10秒。
- 真正面を向き、舌を思い切り左に伸ばし10秒。
歯茎マッサージ
歯茎を直接マッサージすることで唾液の分泌を促し、歯茎の血行が促進され腫れの改善や歯周病予防などの効果があります。 人差し指の腹で優しく小さな円を描くようにマッサージします。 口内の粘膜を傷つけないようにする為にニトリルグローブを使用することをお勧めします。
参考文献
まだまだここに紹介しきれない様々な唾液に関することが書かれているので是非本を読んでみてください。
体の不調は「唾液」を増やして解消する | ||||
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